レディ・バード : 映画評論・批評

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レディ・バード

劇場公開日 2018年6月1日
2018年5月22日更新 2018年6月1日よりTOHOシネマズシャンテほかにてロードショー

“インディ映画の女王”の青春映画は、フレッシュでモダンな感覚がきらめく

グレタ・ガーウィグ初の単独監督作となる「レディ・バード」は彼女の故郷、カリフォルニアのサクラメントを舞台とした青春映画である。時は2000年代初め。カトリック系の高校に通いながら都会に出ることを夢見るヒロインの境遇はガーウィグ自身のプロフィールと重なり、彼女が脚本を書き主演してきた作品の主人公の前日譚のようでもある。道で何かにつまずく映画のヒロインは少なくないが、ガーウィグが創造するヒロインはよく派手に転ぶ。「フランシス・ハ」のフランシスは道で走って転び、「ミストレス・アメリカ」のブルックはレストランを立ち上げようとして大失敗をする。「レディ・バード」のタイトル・ロールで本当の名前はクリスティンというヒロインも、登場して早々に走行中の車から飛び出して怪我をする。後先を考えずに疾走する、それがガーウィグの主人公なのだ。

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自らに“レディ・バード”という新しい名前をつけたヒロインは、高校の最終学年で失敗を重ねる。その過程で自分を見出していく彼女を丁寧に追うこの作品は普遍的なビルドゥングスロマンであり、あまりに自然なのでその新しさが分かりにくいかもしれない。しかし、低予算のインディ映画の女優・脚本家としてキャリアをスタートさせたガーウィグが青春映画に持ち込んだナラティブはフレッシュだ。自分自身の経験をきれいごとでパッケージしたり、定石に落とし込んだりしない、オート・フィクション的でモダンな感覚がそこにある。

登場人物たちの身振りや、女性同士の関係性や会話の中には、今まで映画の中では描かれてこなかったような小さな真実が含まれていて、それがきらめいているのだ。シアーシャ・ローナンは若くして既にベテランの域に達しているが、にきびをメイクで隠すことなく、レディ・バードという女の子が持っている本質的な痛々しさを表現した本作のような演技は他の映画では見られないものだ。彼女と母親役のローリー・メトカーフ、そして親友役のビーニー・フェルドスタインとのシーンの一瞬一瞬が素晴らしい。

山崎まどか

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