私はあなたのニグロではない

劇場公開日:

私はあなたのニグロではない

解説

黒人公民権運動の活動家で、いずれも暗殺されたメドガー・エバース、マルコムX、マーティン・ルーサー・キングの3人の軌跡を通して、アフリカ系アメリカ人の激動の現代史を描き出したドキュメンタリー。アメリカの作家で公民権運動家であるジェームズ・ボールドウィンの未完の原稿をもとに、ボールドウィンのテレビでの発言や講義などの映像、映画や音楽の記録映像を交えながら、公民権を得てもなお差別の本質が変わっていない現実を浮き彫りにする。監督は「ムルンバの叫び」のラウル・ペック。ナレーションはサミュエル・L・ジャクソン。第89回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー部門にノミネートされた。日本では山形国際ドキュメンタリー映画祭201のインターナショナル・コンペティション部門で上映され、優秀賞を受賞。

2016年製作/93分/アメリカ・フランス・ベルギー・スイス合作
原題または英題:I Am Not Your Negro
配給:マジックアワー
劇場公開日:2018年5月12日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第89回 アカデミー賞(2017年)

ノミネート

長編ドキュメンタリー賞  
詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

映画レビュー

5.0黒人差別の構造問題

2018年6月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

公民権運動時代に活躍した黒人作家、ジェームズ・ボールドウィンの原稿を通してアメリカ黒人差別の歴史を紐解く作品だ。ただのニュース映像をつないだドキュメンタリーではない、ボールドウィンの文章を再構成し、彼の精神性に現代まで続く差別の構造問題に焦点を当てるような作品だ。

この映画には、黒人の出演するアメリカ映画の断片がいくつも挿入されている。白人の観客のための黒人のキャラクターはどんなものか、そこからアメリカのリベラルの潜在的な欺瞞を暴き出すために映画の引用は実に有効に作用している。

招かれざる客のような人種間の融和を訴えたとされる映画にさえ、そうした欺瞞が隠れていることをボールドウィンは示唆している。ニガーという役割を必要としていたのは白人だった、それはなぜなのか。この映画はそれを問う。

差別をテーマにした映画で最も考察の深い作品の一つと言っていいと思う。映画と合わせてボールドウィンの「悪魔が映画を作った」を読むとさらに理解が深まるだろう。

コメントする (0件)
共感した! 4件)
杉本穂高

4.0ジェームス・ボールドウィン!

2022年7月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

黒人差別や公民権運動の映像に、ジェームス・ボールドウィンの言葉を重ねて紡いだ作品。黒人差別は白人側の問題。白人にとって必要だから差別している。なぜ差別をせざるを得ないのか、その理由を問うべき。としている。「ヒルビリーエネジー」を併せて読みたい。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
Maamiifuu

4.5BLACK IS  BEAUTIFUL !

2022年4月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

面白いとかではないが、共感出来る。シドニーポワチエとオバマが出ているので、ある程度話を終わらせようといていると見たが。
マルコムXを登場させるのは良いが。ブラック・パンサー党を嫌う黒人も沢山いたはずだ。

公民権法が制定された理由は、ベトナム戦争が激化したからと、このドキュメンタリーは言っていると思う。黒人をベトナム戦争に投入したかったからと言う事だ。その点をまわりくどく言い切っていると僕は思った。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
マサシ

4.0【”自由と正義の国”で400年もの間、行われてきた差別と暗殺の歴史を、ハリウッド映画シーンを絡ませながら描いたドキュメンタリー作品。】

2021年8月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

ー サミュエル・L・ジャクソンの、抑制した語りで、”自由と正義の国”で400年もの間、行われてきた差別と暗殺の歴史が語られていく。
  軸は、黒人の人権を手法は違えど、訴え、1960年代に次々に暗殺されてしまった、
  ・メドガー・エヴァース
  ・マルコムX
  ・キング牧師
  の生き様を、この映画の原作を記したジェームズ・ボールドウィンの視点から語っている所である。ー

 ・そして、語りの中で1920-1970年代のハリウッド映画
  『キング・コング』
  『駅馬車』
  『昼下がりの情事』etc.で描かれる、公開当時は普通だった、黒人や原住民の描き方を通して、”自由と正義の国”では、白人の幸せ、勝利がメインとされてきたことが、語られる。

<ラスト近くで流れる、ジェームズ・ボールドウィンが記した
”向き合っても、変わらない事もある。だが、向き合わずに変える事は出来ない”と言う言葉は金言であり、この現代日本でも十分通用するものであると、私は思う。>

コメントする (0件)
共感した! 1件)
NOBU