勝手にふるえてろ

劇場公開日:

勝手にふるえてろ

解説

芥川賞作家・綿矢りさによる同名小説の映画化で、恋愛経験のない主人公のOLが2つの恋に悩み暴走する様を、松岡茉優の映画初主演で描くコメディ。OLのヨシカは同期の「ニ」からの突然の告白に「人生で初めて告られた!」とテンションがあがるが、「ニ」との関係にいまいち乗り切れず、中学時代から同級生の「イチ」への思いもいまだに引きずり続けていた。一方的な脳内の片思いとリアルな恋愛の同時進行に、恋愛ド素人のヨシカは「私には彼氏が2人いる」と彼女なりに頭を悩ませていた。そんな中で「一目でいいから、今のイチに会って前のめりに死んでいこう」という奇妙な動機から、ありえない嘘をついて同窓会を計画。やがてヨシカとイチの再会の日が訪れるが……。監督は「でーれーガールズ」の大九明子。2017年・第30回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品され、観客賞を受賞した。

2017年製作/117分/G/日本
配給:ファントム・フィルム
劇場公開日:2017年12月23日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第42回 日本アカデミー賞(2019年)

ノミネート

最優秀主演女優賞 松岡茉優
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(C)2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

映画レビュー

4.0松岡茉優のための、松岡茉優にしかできない映画

2021年4月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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共感した! 8件)
momokichi

4.0松岡茉優と愉快な仲間たち♪

2018年1月2日
iPhoneアプリから投稿

この映画は、松岡茉優あっての映画。ぎゅっと直球!のポスター&ちらし写真を見てから、これは観逃せないとそわそわしていた。監督は、松岡とはこれで3作目という大九明子。女性監督だから、という括りはしたくないが、主演と同性だからこそ、の強みは確かあると思う。演じ手と創り手、この2人ならではの化学反応が随所に光り、爆発し…最後はスカッと爽快な気分で席を立つことができた。
長男6歳は、「ストレイヤーズ・クロニクル」あたりから松岡茉優さんがお気に入り。そのくせ、「今日の映画に出ていたね」と教えても、ピンとこないと首をかしげることがある。作品ごとに、雰囲気がここまで異なる若手俳優さんはなかなかいない。今回、彼はかなり翻弄されており、隣で興味深くちら見させてもらった。
幸福と不幸、情熱と滑稽さは紙一重…という法則と、それに裏打ちされた若気の至り。映画や小説で語り尽くされたような題材を、松岡茉優演じるヨシカとその仲間たち?!が、ミュージカルシーンも織り交ぜながら、身体いっぱいで体現し、ぐいぐいと惹きつけられた。変わり者扱いされても自分に満足、日々は幸福…だったはずのヨシカの生活は、同僚「ニ」の出現で突然揺らぎ始める。キラキラしていたはずの隣人たちとの関係が、実は…というくだりは、現実を思えば当然と思いつつも、ため息をつかずにいられなかった。(駅員さん、バスの隣の席のおばさん、釣り好きのおじさん…と、こちらも魅力的・個性的な顔ぶれが揃っている。)だからこそ、ヨシカがおばさんに話しかけ、帽子を褒めるところは本当に心温まった。帽子、前から被ってたっけ? 気づかなかっただけ?見ようとしてなかっただけ?と反芻しながら、顏がやわやわとほころんだ。(ヨシカ、かわいい!)
迷走の末にたどり着く「ニ」との結末も言わずもがな。にんまり。幸せ。映画を観終えたあと、「一とニどっちが好き?」と愚問を投げ掛け、「もちろんニ!」「ニみたいな男の子になってね!」と私と友人に即答されて「ええー」と戸惑う6歳児。まだまだ青いな…と思う年の瀬に。じんわりと体温が上がる映画なので、公開時期通り冬向けながら、敢えて灼熱の真夏にも観てみたい。あわよくば、「ニ」演じる渡辺大知さん主演の「色即ぜねれいしょん」と二本立てで!

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共感した! 3件)
cma

4.0松岡茉優の撮影当時のベストパフォーマンスを引き出した大九明子監督に喝采を送る

2021年3月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

記念すべき松岡茉優の初主演映画である。芥川賞作家・綿矢りさの小説を映画化したもので、恋愛経験皆無の主人公・ヨシカが2つの恋に悩み暴走しまくるさまを描いたコメディ。
メガホンをとった大九明子が、撮影時点での松岡のベストパフォーマンスを引き出すことに成功した意欲作でもある。役者にとって「初」の付くものは等しく1度しかやってこない。松岡にとって忘れられない初主演映画になったことは言うまでもないことだが、その後もアップデートを繰り返していることも忘れてはならない。
今後の出演作を楽しみにしながら、今作や原点ともいうべき「桐島、部活やめるってよ」を時おり思い出したかのように再鑑賞するのは非常に素敵な時間の使い方といえるのではないだろうか。

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共感した! 4件)
大塚史貴

4.0夢女子の生態をここまで観察した映画はなかった

2018年1月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

自らの脳内の中の男子を愛するヨシカが、現実の恋愛に踏み出すまでを描くラブコメディ。
いわゆる「夢女子」を松岡茉優が熱演。池袋とかに行けばこういう人、たくさんいるよなあ、とリアルに思わせる松岡茉優の演技が絶妙。

脳内ではものすごく饒舌にしゃべるが、現実には圧倒的に口下手。脳内で肥大化した理想の王子様像と現実とのギャップに勝手に落ち込んだりする滑稽さを嫌味なく演じられるのは流石。ヘタな役者がやったら観ていられないだろう。

敢えて難点を挙げると、松岡茉優がこの役には美人すぎること。しゃべっている時は、いい感じに負のオーラを出すが、黙ったふとした瞬間にものすごい美人で、松岡本人の正のオーラが隠しきれていない。まあホリプロ製作の映画なので、メイクで少し不細工に、というのは許されなかったのかもしれない。

ただ、彼女レベルの演技力がなければこの役が務まらないのも確かで、その意味でこのキャスティングは大正解。芸人出身の監督のセンスもグッド。

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杉本穂高