ブラッド・ファーザー : 特集
MAD! 荒野! バイカー! アル中リハビリ! アウトロー!
元祖マッドマックス=“俺たちのアイツ”が《最高の設定》で完全復活!!
メルギブ育ちの「6月頭」は本作で確定
監督としても評価を受けるメル・ギブソンが、アクションスターとして完全復活を果たした「ブラッド・ファーザー」が6月3日より全国公開。荒野、バイク、アルコール依存症のリハビリ、アウトロー──まさに俺たちが大好きだった“元祖マッドマックス”をほうふつとさせる、あのギブソンが帰ってくる1本だ。
L・ニーソン? B・ウィルス? いや、“最強オヤジ”を塗り替えたのはやはりこの男
本作「メルギブ版96時間」こそ、最新・最高の《怒りの父親アクション》だ!
第89回アカデミー賞で6部門にノミネートされ、編集賞、録音賞を受賞した「ハクソー・リッジ」(6月24日公開)で、オスカー監督ならではの高い能力を発揮したメル・ギブソン。だが、長年彼を見続けてきた映画ファンなら、映画監督として絶賛を受けるギブソン以上に、“アクション・スター”としての勇姿をやっぱり見たい!と感じているに違いない。そんな“メルギブ育ち”の熱い期待に応えて、待望の主演最新作が登場。本作「ブラッド・ファーザー」は、かつてアウトローだった父親が、生き別れだったひとり娘を守るため、麻薬カルテルを相手に死力を尽くすアクション作。リーアム・ニーソン、ブルース・ウィリスが演じてきたレベルなど軽く吹き飛ばす、新たなる“最強オヤジ”の誕生だ。
“俺たちのメル・ギブソン”が荒野に帰ってきた。元犯罪者の過去を清算し、アルコール依存症のリハビリを続けながら、荒野で暮らすひとりの男を演じる本作のギブソン。過去の栄光とは対照的に、公私に渡り長くスランプに苦しんできた彼の姿をほうふつとさせ、そんな男が、愛する娘のために命を懸ける姿が描かれる。人生の酸いも甘いもかみ分けてきた男の中の男が、ついに本作で完全復活を遂げた。
メガホンをとったのは、ジョン・カーペンター監督の傑作「要塞警察」のイーサン・ホーク主演リメイク「アサルト13 要塞警察」を手掛けたジャン=フランソワ・リシェ監督。アメリカ社会の暗部も盛り込み、単なるアクション作にとどまらない重層的なドラマをベン・アフレック監督作「ザ・タウン」の脚本を担当したピーター・クレイグが生み出した。ギブソン完全復活のお膳立てに、サスペンス・アクション好きなら思わずうなるスタッフ陣が集結した。
主人公の娘を追う麻薬カルテルの敵役として、まさに“生きる伝説”とも言えるアクション・ヒーロー、ギブソンと真っ向から勝負するのは、「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」でフェリシティ・ジョーンズ扮するヒロインとともに決死のミッションを遂行するキャラクター役で鮮烈な印象を残したディエゴ・ルナ。「ファーゴ」のベテラン俳優ウィリアム・H・メイシーの共演も見逃せない。
血なまぐさい裏社会から足を洗い、アルコール依存症のリハビリを続けながら、トレーラーハウスで細々と暮らすジョン・リンク(ギブソン)。彼のもとに、数年前から行方不明となっていたひとり娘のリディア(エリン・モリアーティ)が突然現れる。麻薬組織の幹部だった恋人と起こしたトラブルにより、警察、殺し屋から追われているリディアを守るため、ジョンは、かつて身につけたサバイバル術で迎え撃つことを決意する。
今は静かに暮らす刺青師、だが……過去は誰もが恐れる裏社会のならず者!
全ては娘を守るため──封印した《超・極悪スキル》を今、解放するとき!!
本作の大きな見どころは、ギブソン演じる主人公ジョンが清廉潔白な正義のヒーローではなく、過去に凶悪犯罪を行っていた元アウトローであるという点。誰もが恐れた裏社会のならず者として培ってきた「超・極悪スキル」を駆使して、麻薬組織の面々を上回る暴力と謀略、そしてすごみで、「悪で悪を制する」戦いを繰り広げるのだ。
現在はおんぼろトレーラーハウスに暮らし、近所の仲間たちにタトゥーを入れてやるしがない刺青師だが、技術と知識はハンパではなく、タトゥーのモチーフやデザインによって、入れている者の出身地や所属グループまで見抜けてしまうのだ。娘リディアを追ってきた者の正体も、タトゥーから凶悪なメキシコ麻薬カルテルと看破する。
所属が分かれば、その構成員や活動している範囲、特徴なども知っておきたいところ。ジョンはこの諜報戦にも長けており、その情報の源は、なんと刑務所の中にいる囚人たちなのだ。刑務所暮らしで培った重犯罪者との友情ネットワークは強固。塀の外から要望を伝えるメモがどうやって所内の囚人に届くのか、劇中で登場するその過程が興味深い。
銃で武装し、殺人などなんとも思わない凶悪な麻薬ギャングたちが相手だが、そんなことでひるむジョンではない。数々の修羅場をくぐってきた元アウトローだけに、若僧どもの脅しにビビることなど決してないのだ。「お前らみたいな青二才には銃の弾がもったいない」と言わんばかりに、にらみつけ、罵倒して威嚇するすごみがワルよりもワル。
ジョンは元々、凶悪バイカー軍団の一員で、幹部にまで上り詰めた男。知略と戦闘能力に長けているのはもちろん、大排気量の大型バイクを駆る技術も天下一品なのだ。リディアを後ろに乗せ、ノーヘル&サングラス姿でビッグ・バイクを手足のように操り、追いかけてくる殺し屋のバイクたちと壮絶なチェイスを展開。「誰も俺の前を走らせねぇぜ!」
極悪アウトローとしてのスキルを見せつけるジョンだが、もちろん銃器の扱いも完璧。拳銃を片手で連射するほか、二連ショットガンまで片手打ち。一目で「この男、あらゆる武器を使いこなしている!」と分かる銃さばきを披露する。そして爆薬の扱いもプロフェッショナル。やったぜ!と思わずにはいられない、敵の目をあざむく爆破トラップに注目だ。
「マッドマックス」が! 「リーサル・ウェポン」が!
アクション映画ファンに向けた“分かってる”《最高のオマージュ》の数々!
なぜ本作が、“メルギブ育ち”にとって最高の1本なのか。それは、80年代のアクション映画界を席巻したメル・ギブソンを知るアクション映画ファンなら「分かってる!」と歓喜の声を上げずにはいられない数々のオマージュが込められているからだ。
かつては栄光の美酒を味わいながらも、現在は平穏ながらもさびれた暮らしを続ける主人公という設定そのものが、ギブソンの人生の浮き沈みを知るものにとってはまず泣ける。そして彼がトレーラーハウスで暮らしているというのが、「リーサル・ウェポン」シリーズでギブソンが演じたリッグス刑事と同じ設定なのだ。そのトレーラーがギャングの銃撃に遭いハチの巣になる様子は、同シリーズの2作目「リーサル・ウェポン2 炎の約束」のトレーラーハウスの襲撃シーンと重なる。
そして砂塵舞う荒野が続く展開は、ギブソンの大出世作「マッドマックス」を思い出さずにはいられない。ストックを短くした2連ショットガンの片手打ちとくれば、同作の主人公マックスそのものの姿であり、大型バイクで繰り広げられる高速チェイスシーンでは、対向車線の大型トラックにバイクが正面衝突するという、ズバリなクラッシュシーンが登場するほどだ。まさにギブソン主演最新作に相応しいお膳立てとリスペクトが、ジャン=フランソワ・リシェ監督によって用意されたと言って過言ではないだろう。
リッグスお得意の「噛みつき攻撃」まで網羅された本作は、ファンが本当に待ち望んでいた、ギブソン完全復活に相応しい必見作だ。