メアリと魔女の花のレビュー・感想・評価
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変身願望文学
①メアリの成長
メアリは願望の発散と道具の獲得を達成しました。それらはメアリが素直に自分の気持ちを言葉にする大切さを学ぶことと自分にあったものを自分で選ぶ主体性への成長でした。
②学校
技術だけを磨くと無個性になり存在が透明化する風刺があります。マダムとドクターが個性的な理由は強い願望があるからです。
③ありのまま的なこと
動物は本能で自ずと生きます。メアリの周囲の大人はテレビがなくても平気でした。自ずとやることをもっているからです。メアリのように自分のやることを暇つぶしのお手伝い感覚で決めては何もうまくいかない。魔法のようなご都合主義に頼ってもうまくいかない。本作品は主体性の大切さを示しました。
④表象
変態・変身の記号として男体的表象と女性の成長表象(鏡)が語られました。特に、メアリが鏡に向かって自分のしたいことを言葉に出した後の鏡の様子は、後戻りのできない変化=成長(主体性を持つこと)の表象としてすばらしく機能していました。
⑤魔法とは何か
魔法はコンテンツの比喩。ドクターとマダムは魔法の力を危惧する台詞を言います。それらは子供の夢を魔法でかなえようとする本人たちに返ってきていきます。コンテンツ大好きな自分には辛い描写でした。
・自分にとって
新鮮なアニメーションのアイディアがいくつかありました。音楽もメアリの様子が楽器で表現されていました。孤独ながらも熱いエネルギーを感じました。何がしたいのかよくわからない。何のために変わりたいのかよくわからない。そんな自分に、焦らず目の前のことを自分の意志でやってみろ!とに言われた気分です。
風景(背景)と音楽は流石
比較するべきではないのだが・・
純粋に楽しめる
元気の良い魔法アニメとしてよかった。
良かったのは、速さ、重さ、衝撃、などが、宮崎作品より、「リアル」だったところです。宮崎駿監督の猛烈に理想化デフォルメしたキャラや身体能力よりも、等身大です。
飛ぶシーンも、魔女宅などと違い、本当に危ない感じがしました笑
ケルト的なサントラも、素敵でした。
やはり、全体では、登場人物や話に説得力がなく、細かいところが練り不足といった印象。
映画には多くの要素の統合が必要で、多くの人の力を1つにして作ると思うのですが、
単純に何もかも自前で揃えようとしても無理しているように思えました。
素晴らしい動画の技術は活かす。背景画の密度も活かす。
しかし、キャラクターデザイン、シナリオ、レイアウト、、などは、特化したプロを起用してほしいと思いました。内情は知りませんが、そう感じました。
宮崎駿監督は、超人的なイマジネーションで、全ての映画要素に強いイメージをもって、それを現実化する時間と人手があればいい、という特殊な方だと思います。
でもその下で仕事をしていると、疑ってかかる批判精神を持てなくなる、のかなと。
もっとどんどん米林監督から滲み出る個性を見ていきたいです。
得意の背景などでも、ところどころ、やはり、ジブリではこうだったから。という部分が見えてしまいました。
ジブリがいっぱい
メアリと魔女の花
門出
冒険がいっぱい詰まってて面白かった。
まるでジブリの初期作品を観ているようではあったが、ジブリという名を植え付けたのは、その初期作品群たちだ。
培ってきたものはそのままに、原点回帰を果たしたような…。
卒業制作なようなものでもあり、自分達の意思を記した旗のようなものでもあった。
なんだか「おかえりなさい」と呟いてた。
新しいんだけど懐かしい作品だった。
有名な俳優さんを使う弊害とでも言うのだろうか…スッとが当てはまると問題はないんだが、「アレ誰だっけ?ここまで出てんだけどなあ」とかになると、その登場人物が出てくる度にその思考に囚われる。
若干、煩わしい。
声優さんは、声を幾つも持ってるから、そういった探索をハナからしないって利点があるのかなと、今回思った。
だけど、こういう作品には、声優より俳優なんだろうなあとボンヤリ考える。
感想
過去のジブリを知らなければ楽しめる
総合的に、アリエッティやハウルよりは面白かったです。
躍動感があり、子供が楽しめる様な不思議要素も画面の隅々に登場します。
良く言えば、ジブリらしい魅力的な演出を取り入れた。
悪く言えば、ジブリらしさに拘ったのみでオリジナリティがない。
ラピュタや千と千尋、魔女の宅急便、トトロなど
栄光を駆け抜けた個性的なジブリ作品と比べられるレベルではありません。というより、それらの栄光ジブリ要素をあちこちに堂々と散りばめられているので、終止、亜流だなぁという印象です。
作品独特の個性が無いために、キャラクターの魅力は今ひとつ。
主要キャラにパンチがなく、モブに至っては存在感がありません。
( 脇役が魅力的なのはラピュタが良い例です。 )
設定が甘く、特に物語の柱になるはずの魔法学校が投げやりです。多数在籍するはずの生徒の今後に全く触れていません。
ただ、
ひとりよがりにならずに大衆の心を射止めようという必死さは
物語の構成やテーマ曲からもひしひしと伝わったので
冒頭の2作品よりも個人的に好感がもてました。
「 今までのジブリを混在させた 」を、
良しとするか悪しとするか、というところですが
ピュアな子供さんなら問題なく楽しめると思います。
遊園地の絶叫マシンの様に刹那的な面白さを求めるなら良いですが、しみじみと長きにわたり心に残る作品となるのは難しいでしょう。
余談ですが
映画館に メアリのヘアゴムが750円くらいで売ってました。
それは何の特徴も無い、ロゴやチャームもついていない百円均一に売ってそうな紫のリボンゴムで
グッズとしての気合いを感じませんでした。
マーニーが特別だったのか…
爽快
宮崎アニメの衣鉢は継いだ
スタジオジブリの製作部門閉鎖後に立ち上げられたスタジオポノックの第1回作品。
予告編から、ジブリ時代のヒット作を彷彿とさせるモチーフを多数用いた感があり、米林監督の前2作に感心しなかったこともあって、劇場へ足を運ぶかどうか迷っていました。
が、賛否半ばする評価が、これは観てみなければ、と思ったものです。
英国の田舎、大叔母さんの家にやって来た赤毛の少女メアリ。
両親は遅れてやって来ることになっているが、それまでは退屈極まりない毎日。
学校が始まるまでには、まだ一週間もある。
そんなとき、近所に住むピーターの家の黒猫と灰色猫の二匹に誘われて森に入ったところ、7年に1度しか咲かない不思議な花を見つけた。
その花は「魔女の花」だという・・・
というところところから始まる物語で、その後、メアリは花の力を借りて、異世界にある魔法学校に辿り着く。
物語の骨子は『千と千尋の神隠し』に似ているし、魔法学校のモチーフは『ハリー・ポッター』シリーズに似ている。
まぁ、あの映画のあのシーンに似ているというのを指摘するのは野暮というもの。
そもそも、この手のハナシは似たり寄ったりが当たり前なのだから。
じゃ、どこをどう観て楽しむかというと、主人公に共感できるか、感情移入できるかというところ。
お定まりのパターンのハナシなのだから、ここが一番のポイント。
で、米林監督の前2作では、これが全くできず、ストーリーは面白いのに、観ていてつまらないという結果だったのだが、今回はまるで違って、メアリの冒険にハラハラドキドキしっぱなしだった。
とにかく、メアリの表情、動作が過剰ともいえるほどで、その分、観ている側に感情が伝わってくる。
表情もさることながら、動作も大仰で、カットによっては手足のバランスが実物大ではないところもあったのではなかろうか。
これはたぶん、宮崎駿の十二分に再度研究して、絵コンテの切り方からなにから模倣することに徹したからではないかと推測する。
新しいアニメスタジオの第1回作品、それも、本家ジブリを思い出さずにはいられない題材。
ならば、ジブリの衣鉢を継ごう、それには師匠に倣うのが一番いい。
プロデューサーの西村義明は、そう決断したはず。
彼がジブリ時代に手掛けたのは米林監督の2作品と高畑勲監督の『かぐや姫の物語』。
つまり、非宮崎アニメ。
宮崎アニメを継ぐのを第一目標とし、米林監督らしさ、スタジオポノックらしさを出すのは第2作でいい。
そう思ったとしか思えない。
その結果は・・・
大成功だと思う。
女校長とドクターが昆虫脚型の乗り物で壁を走ってくるシーン、メアリが箒で空を飛ぶシーン、そのほか至るところに躍動感が溢れている。
そして、もうもうひとつ。
宮崎アニメの要石ともいうべき、文明に対する警鐘。
すべてを可能とする魔法をもつ人間以上の何か、得体の知れないものになって(いや、なりきれず)コントロールが効かずに暴走してしまう少年の姿は、原作が1971年に書かれたことを思うと、原子力の暗喩なのだろう。
人間が制御できない力を持つことは・・・と後悔し、持たない方がいいと結論付けるあたり、米林監督作品の前2作にはなかったことだ。
と、絵コンテから始まる外観の仕様のみならず、物語の核心・隠れ主題という内面の仕様も宮崎アニメから受け継ぎ、満足できる一篇であった。
なお、物語的には、魔法学園へ行って帰ってくるまでが少々冗漫なので、ここはもう一工夫欲しかったところ。
スポンサーの影がみえた
ジブリファンの私が行きました。
声優ほとんど全員タレントさんでしたね。
特にメインキャストは声でタレントさんの顔が浮かぶほどそのままだったので、まぁ辛かった。
キャラに入り込めなくてなんだか損した気分になりました。そのまますぎるよね。
スポンサーの関係でいれなきゃいけないのはわかりますが、せめて1.2人にしてほしい。こんなに入れるならアニメじゃなくていい。
物語としてはジブリ好きが見ると、
このシーンは◯◯のオマージュ?
と思うシーンであふれていました。
間違い探しみたいにそれを楽しめるならありですが、
溜め息ついちゃうならなし。
少女の成長、というのを出したいのは感じましたが、冒頭なんだかイライラしてしまったなぁ。
私が歳をとったのかなぁ??
電気も魔法の一部、という言葉は印象に残りました。まるで核融合のような魔法シーンは、
なんだか今の科学に問いかけをしているみたいでしたね。
映像は綺麗だし、アニメとしてところどころ面白さはありました。いつまでもジブリだけではなく、これからに期待したいです!
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