サバイバルファミリー

劇場公開日:

サバイバルファミリー

解説

「ウォーターボーイズ」「ハッピーフライト」の矢口史靖監督が、原因不明の電気消滅によって廃墟寸前となった東京から脱出した一家の奮闘をコミカルに描いたサバイバルドラマ。東京で暮らすごく平凡な一家、鈴木家。当たり前のように電化製品に囲まれた生活を送っていたある日、電気を必要とするあらゆるものがなぜか使えなくなり、東京は大混乱に陥ってしまう。交通機関や電話、ガス、水道まで完全にストップした生活に人々が困り果てる中、鈴木家の亭主関白な父・義之は、家族を連れて東京を脱出することを決意するが……。ベテラン俳優の小日向文世が父親役で主演を務め、母親役を深津絵里、息子役を「秘密 THE TOP SECRET」の泉澤祐希、娘役を「くちびるに歌を」の葵わかながそれぞれ演じる。

2017年製作/117分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:2017年2月11日

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(C)2017 フジテレビジョン 東宝 電通 アルタミラピクチャーズ

映画レビュー

3.0滑稽な彼ら、そして私たち

2017年3月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

最近あまり聞かなくなったけれど、「滑稽」という言葉には、なかなかに複雑な意味合いが含まれているように思う。笑いだけではない、その底や裏にある悲しさ、苦しさ、必死さ、真剣さなど…。矢口監督と言えば、明るく楽しく。心の底から大笑いして、ぱっとしない親近感を持てる登場人物たちの頑張りを応援して、最後はスカッと爽快! そんなイメージが強い。一方で、「ひみつの花園」や「雨女」など、笑っていていいのか分からなくなる、ちょっと居心地悪さや薄気味悪ささえ覚える、一途すぎるヒロインが登場する作品もある。忘れ難い、滑稽な彼女たち。だからこそ私は、矢口監督作品をずっと追いかけている。おもしろそうだよね、と誰かを誘いやすい反面、いざ観てみたら、ゾワッとする体験に出くわすのではないか。その時、連れは何を感じるのか。そんな、少し悪趣味な期待を持って、作品を観続けているように思う。 朝起きたら、原因不明の一斉停電。さらには、ガスも水道もダメになる。当たり前の生活が当たり前でなくなり、そのうち何とかなるとは思えなくなってきたとき、さてどうするのか…。主人公一家は、答えが見えないまま、とにかく西へ西へと流れていく。 矢口監督作品の主役は、常に(望んだわけではないが、行き掛かり上)何かに一生懸命だ。一生懸命でいると、自分のことで精一杯で、周りが見えなくなる。そのくせ、彼らの頑張りは、必ずしも100パーセント報われるわけではない。端から見たら、どこか可笑しく、悲しく、奇妙でもある。大抵の人は、(たとえ周りには伝わらなくても)何かを一生懸命やった経験がある。だからこそ、映画の中の彼らの行く末が、他人事でいられなくなるのでは…などと思う。 震災6周年の前月から公開が始まり、ロケ地のひとつが仙台…ということもあるかもしれないが、本作を観ていると、幾度となく震災のことを想起せずにいられなかった。それも、「日常としての震災」を。ラップを掛けた食器で食事をし、ラップを剥がして後片付け終了、という単調な繰り返し。調味料しか残っていないスーパー、様々な行列、買い物の個数制限、久しぶりに寝た布団の感触など、心がざわつかずにいられないエピソードが、次々に登場する。 ロードムービーということもあり、一家は、行く先々で個性豊かな面々と出会う。あんな有名俳優さんがこんな端役に!と感じられるほどの大盤振る舞いだ。(個人的には、彼らの一部はやっぱり一般人には見えず、ちょっと残念。)様々な出会いで主人公は成長し…が定石だけれど、本作は、さほどの変化はない。その分、心震わす感動も待ち受けない(良い意味で)。物語は、ある意味当然、な帰着をする。そこが、個人的には少し物足りなく思えた。最後の最後は、文字通り蛇足ではなかったか、あのまま振り切れた方がよかったのに…などと。とはいえ、原状復帰というのは、一見ハッピーエンドのようで、実はかなり薄気味の悪い、皮肉な結末なのかもしれない。 もっとあからさまに爽快さを掻き消し、モヤモヤや引っかかりをたっぷり残して欲しかった、というのが正直な思いだ。けれども、ロボジー=ミッキー・カーチスさんの飄々とした佇まいに再会できた分、評価は甘く…。せっかく取っつきよく、明るく楽しいコメディタッチに仕立てた以上は、よりたくさんの人に観てほしい!と強く願わずにいられない。忘れないため、滑稽であり続けるために。

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cma

4.5コロナ禍の経験で、味わい増したサバイバル喜劇

2020年5月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

幸せ

久しぶりに再見。初めて観たときはあくまでもフィクショナルな設定のサバイバルとして気楽に笑っていた気がする。しかし新型コロナの影響でスーパーやコンビニからマスク、紙製品、乾麺などが消え、繁華街から人がいなくなったのを目にした後では、謎の大停電で起きる集団パニックや荒廃した都市の風景が奇妙なほど味わいを増していると感じた。 本作は設定上、大規模災害が発生した日本で右往左往する人々や懸命に生き延びようとする家族の姿を描いているが、そうした状況設定の上で遊び心と想像力を発揮したコメディであり、行動心理などにリアリティーを追求しているわけではない。そうした遊びを大らかに楽しむ心がないと、「あの行動はありえない」「つっこみどころ多すぎ」と批判的になってしまうのだろう。 これだけの未曽有の大災害を描きながら、劇中で死ぬ人がまったく描かれない点も、矢口史靖監督の優しさだと思う。

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高森 郁哉

4.0想像力次第

2024年11月19日
Androidアプリから投稿

いち映画としてはただのコメディ。でもちょっと待って、もし同じ状況になったらどう対応する?誰かに頼るんじゃなく自分たちだけでどう対応出来るか、しかも長期間。具体的に考えられるかどうかでこの映画の評価は大きく変わる。

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あらそね

4.0ストーリーと同じ世界を想定して考えてみるのも良い

2024年9月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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うずら森