忍びの国のレビュー・感想・評価
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読み解けるかが評価を分ける
この映画は登場人物の心情等、細かい説明がされていない。それは、キャストの演技で説明が出来ると監督が判断してシーンをカットしたからだと言う。それに気づけた方は「深い」「何度も見たい」と思える。気づけない方は「なんだこれ?」「全然面白くない」となる。
読み解ける鍵は十分ばら撒かれています。「そんなに面白かったですか?」と聞いている人がいるならば「ええ!!面白かったです!!」と答えたい。
「わかってたまるか」の意味を。「可哀想に」の意味を。登場人物における「名前」の意味を。そして、無門の変化を。もっと考えてみて欲しい。そして、現代に生きる私達に投げかけられた言葉を、ちゃんと感じ取ってほしいです。
ジャニーズがどうとか、そういうのは一切忘れて謎解きの気持ちでもう一度観に行ってみてはいかがですか?
かくいう私にもまだ見落としがありそうなので、もう一度読み解きに行きたいと思います。
面白かった
「のぼうの城」が面白かったので期待してました。伊賀忍者と織田信雄との闘いがあったことさえ知らずにいました。忍者社会の描き方や十二家評定衆議とのかかわり方など、興味深かった。飄々とした無門を大野君が演じたのもあっていたように思います。
大野智と言う人は・・・
恐らく、忍びの術にまんまとかかってしまったと思う。何度観ても、又直ぐに観たくなる。
正直、自分の意思で又観たいと思った映画で、それを実行したのは初めてである。
はっきり言って公開されてからずっと大野くん演じる無門が頭から離れない。あれからずっと「つなぐ」以外は聴く気にならない。サビの部位のみ公開された時は、あまり好みではないかなと少し残念に思ったものだが、フルで聴き、尚且つ大野くん自らの振り付けを観て見事に嵌ってしまった。忍びの国の世界観に実に合っている。
大野くんの魅力に気付いたのは2010年秋頃――― 正直アイドルには興味がなく軽く見ていた存在だったので、自分の今ある状態に正直ショックを隠せず、この気持ちを周りに暫く言えない状態が続き、かなりのストレスを抱えていた。
そんな生活が嫌で、最近は勇気を出して職場でも素直に言える自分になれたが。
概ね7年間観てきたが、大野智と言う人は底がしれないなと。歌でもダンスでも芝居でも・・・
アイドル主演映画と言う概念を捨てて欲しい。鈴木亮平くんとの一騎打ち、いわゆる川での戦いは、身体能力が遺憾なく発揮されているし、無門の心の動きが垣間見れる。お国役の石原さとみちゃんは、他のドラマを観て苦手な存在だったが、お国役は見事だった。無門の最愛の唯一心を許せる無二の存在であるお国が石原さとみちゃんで良かったと今は思う。
無門のラスト間際の叫びは、いつまでも頭から離れない。
今の自分が望む事は、大野くんが命を削った映画・忍びの国をもっともっと色んな人に観て頂きたい。
「嵐」の一員だから、この世界に留まってくれているが、早く50、60代になりたいと。
その頃にはもうアイドルはやっていないだろうと思っての発言。芸能界にいるかも分からないです。と
常日頃から自由になりたいと言っている大野くん・・残りの人生は縛られずに世界を放浪したい様だ。自由に普通に生活をしたい願望は変わらない。
幸せを願ってはいるが、これからもずっと大野智という人を見ていたいので、芸能人で居続けて欲しいが、そう長くはこの願いも続かないかもしれない。
望む事は、大野智の本気をいつまでも観ていたい。こんな人は二度とは現れないと分かっているから。
同じ時代に生まれて良かったと。
ファンの期待をはるかに超えた!
いきなりだけど・・・
無門(大野智)が平兵衛に言うのよ。・・・(=^・^=)にゃにを?
あっけらかんと人を殺していた無門がさ。
あの殺人ゲームのような「川」のシーンで。
・・・だから(=^・^=)にゃにを?
「教えない」
私、今日で二回目でしょ。
だから「見とどけてやる」って覚悟してたのに
どうしても「川」の場面を正視できなかった。
「これは演技だから・・・」とわかっていても・・・
それほど凄すぎるの。クライマックスの「川」はさ。
平兵衛と無門の心がワンカットの中で変わっていくの。
その心の変化が辛くて見てられない。
「もうやめろ!」「誰でもいいから、二人を止めろ!」
って叫びたくなるのを抑えるの。やっとの思いでね。
もしかすると、変わっているのは、二人ではなくて
観ている私の方なのかもしれない。
「君の名は」を観たときもそうだった。
変わってくのは主人公の高校生たちなのに
もしかしたら、観ている私が変わって行くような・・・錯覚?
それを確かめたくて、何度も劇場に行った。
「忍びの国」は、だから、特別な作品だと思う。
点数で評価するような映画ではないかもしれない。
自分で見て確かめるべきものがある映画だよ。
・・・でも(=^・^=)きみがお金出すわけじゃないからにゃあ。
「うるさい!」
実は・・・
お国(石原さとみ)も伝えるのよ。
無門が平兵衛に言ったのと同じ言葉で。
「本当の名前を教えて?」と頼んで、無門からその答えを聞いた後にね。
言うだけじゃないんだけど・・・(=^・^=)にゃに?
「自分で確かめろ!」
・・・じゃあ、何て言った(=^・^=)んにゃ?
「それも、自分で確かめなくちゃだめ。」
現実の世界では、ありふれている。
日常生活では、フツーに使う言葉だわ。
そして・・・その言葉には、中身がない。
あっても、薄っぺらい感情だ。
そんなもの2日もすればどこかに飛んで消えてしまうくらい軽い。
だから・・・
本当につらくて仕方がないときは決して使わない。
使っちゃいけない言葉だと思ってた。わたし。
それなのに、あえて
この作品の中で・・・
たぶん、2度。それを言わせているんだよ。
それって・・・「届けたい!」ってことでしょ?
その言葉のほんとうの意味とほんとうの使い方を。
忘れてない?忘れるべきじゃないんじゃない?
・・・って感じでさ。わたし・・・
無門やお国に、命がけで教えられたような気がするわ。
「君の名は」を観終わったときも似たような思いがした。
忘れている、忘れかけている大切なモノを見つけたような。
教えられたような。
PS.監督の演出雑過ぎない?
後は好きにやって!的な演出ばっかじゃん!
・・・と初回のときに感じたことは
私が浅はかでした・・・かも。
最高に楽しくて、泣けて、ハンカチがベットベト。
はまっていくから。
「もう一度、観に行けたらいいなあ。」
また、ハンカチで手がふけなくなったら。
監督の演出は正解だって言ってあげるわ。
嵐ファンの期待をはるかに超えた!
大野智と言えば「怪物くん」って時代は、今日で終わった!
初回を観た日。
エンドロールをぼんやりと見ながら・・・
自分の感動を整理できなくて言葉が出なかった。
エンディング「つなぐ」を聴きながら・・・
心地よく余韻につつまれていたい。
不思議なエンターテインメント作品だと感じた。
でもまだ・・・受け取れきれた気がしない。
そのくらい感じるものにあふれた作品だと思う。
もう一度観たいと感じる・・・3度目は
もっと深く感じるかも・・・と、思ってしまう。
何度もリピートさせる魅力にあひれた作品なのだ。
そう感じている人が私だけじゃないことがうれしい。
「君の名は」のように。
言いすぎかなあ?
ま、(=^・^=)どうかにゃ?
ジワンジワンと...
観終わったあと、両手をあげて「めっちゃ良かった~!!」となる作品ではありませんが、なんとなく心に残って、場面場面を思い出して、結局原作本まで買ってしまって、、、
「あぁ、良い映画だったなぁ~」と、ジワンジワンくるものがあります。
嵐の「つなぐ」が、しばらく頭から離れませんでした。
原作を読み終わったあと、また観に行こうかな♪
忍びの国最高(≧∇≦)年代性別問わず楽しめます。
忍術にかかったのか、何回観ても飽きない、感動、笑い、涙、新しい発見、とにかく素晴らしい映画です。私は、40代ですがこんなに気になる映画ありませんでした。これで6回観てます。こんなに映画館に足を運んだこと無いくらい、詳しく言えませんが、1800円払っても見る価値あり!田舎の小さな映画館で、観客10人の内女性が私一人だったのはびっくり(笑)杖ついたおじいちゃん、60〜70代の女性、年代性別問わず楽しめます。こっそり観客の方の反応見てましたが、男性の方も涙を拭っていました。大野君の最後のシーン大泣き間違いなし!演技素晴らしいですね。普段の大野君は、おっとりしたイメージですが、鈴木さんとの川のシーンも、スタント無しで3日間撮影...あの時の無門の目の演技も惹きつけられ、ジッとハンカチ握りしめ見ました。素晴らし闘いでした。よく見ると地面が濡れてたから、汗なのでしょうか?迫力ありました。前半の無門はかわいくて笑えるけど、合戦場に参集した所からガラッと変わり、素早い動き、感動しました。早送りじゃないんですよね。無門役は大野君ぴったり。監督に普段の大野君で..と言われたそうですが、あの猫背もそのまま活かされ、流石中村監督!わかってますよね。大野君の殺陣は最高です。小栗君も言ってましたね。昔京都で辛い思いしたから、今となっては、舞台もそうですが、経験して良かったですね。他の俳優さんも素晴らしい。伊勢谷さんはこの映画で初めて演技見ましたがカッコいいし、迫力、演技力最高です。時代劇合いますね。鈴木さんも、コミカルなイメージでしたが、引き込まれる演技力最高です。役によって身体を作りあげる役者魂に完敗です。石原さんは、綺麗!可愛い!いい女優さんになりましたね。夫婦のあり方、愛情考えさせられました。あの様な愛情表現もあるんだなぁと..甘やかしてはいけないなぁ〜(笑)
お国の愛情に大泣きしました。目の演技怖かった(笑)知念くんはあんなに怒りを露わにする所見たこと無いので凄くびっくり。これからもっといい役者になりそうですね。マキタさん、でんでんさん、きたろうさん、談春さん、満島さんも笑い、感動ありがとうございます。その他の下忍の方達も最高です。笑いましたよ。いい役者さん達、スタッフに恵まれて最高の作品を作って頂きありがとうございました。こんなに何回も繰り返し映画館に足を運んだこと無いのでこの映画に巡り会えて本当に良かった。歴史にも興味出たし、ロケ地にも行って見たい、人との触れ合い、映画に対する興味、映画を通じて色々学ばせてもらいました。沢山の人に見て頂きたい。私は、一人で何回も観に行ってますから、大丈夫ですよ。子供にも見てもらいたい。今の時代と、昔の時代..幸せとは?愛情とは?感じとって貰えると思います。グロいシーンはそんなに気にならないくらいです。
中村監督!素晴らしい作品ありがとうございました。大野君を選んで頂きありがとうございました。これからも年代性別問わず楽しめる映画、感動する映画楽しみにしてます。最後にまだ観てない方!とりあえず映画館の前に足を運んで下さいm(_ _)m(笑)大野君も言ってましたね。よろしくお願いします。そして皆さんのご意見聞きたい。段々狭い箱になりますが、また観に行きますよ!私は。
残念
伊賀出身の私としては、現代の風刺に使われる忍者の扱いが軽いように感じて仕方なかった。
ロケは関東で行われ、伊賀の雰囲気はいまいち分からない。
ラストカットのドローン?でパンアップする映像には海が見えた。伊賀に海はありませんが…伊勢も伊賀から見えるほど近くありませんが…
忍者は薬の調合が一つの特技なので、毒と共に解毒剤を持ってるとかあってもいいのに。
いろいろ残念でした。
深い。
嵐の大野くん主演で話題性もあったので観に行きました。
最初はあまり期待してなかったのですが、観終わってみると、、、深いですね!
ただのエンタメ作品だと思ったら、大間違いですよ。
アクションシーンも満載でしたし、何よりも、無門の人としての成長を見ることが出来て、感動でした。
織田VS忍者の戦いは、失ったものは大きかったのでしょうが…伊賀最強の忍者である無門に人間の心を与えてくれたのですね。
伊賀の忍者を自己中な現代人とダブらせてるラストのワンシーンも、何だかドキッとしました。
忍びが生き生き
手に汗握る、映画です。原作を全く知らなかったのですが、どのシーンも、目を離すことは出来なかったです。大野君ふんする無門は、いい味出してるし、伊勢谷さんは、正統派武士でカッコいいし、鈴木亮平さんは、迷いつつ、信念のまま命について考える実直な男性。配役もぴったりで、それぞれ魅力的です。たくさんの忍びたちも出てくるのですが、パルクールの名手や、身体能力の高い人がいっぱいで見ていて楽しいです。無門の一声で、忍び達が集まってくるところは、わくわくします。壮大な映画なので、映像も見ごたえがあって、細かいところまで、監督のこだわりを感じます。無門が活躍している後ろでも、個性豊かな下忍たちがユニークに活躍していたたり、表情豊かで、見るところが多すぎて、飽きることはありません。そして、やっぱり、川のシーンは、大野君と鈴木亮平さんの身体能力の高さに驚きです。アクションが凄い。笑ったり、泣いたり見ごたえのある、エンターテーメントだと思いました。
エンディングで気持ちダウン
本編はその当時の忍者の価値観とか考え出すと結構深いテーマがあり、唸らさせられる映画でした。
アクションもほんとに見事であれだけ近い間合いでするのはほんと演者も大変だったと思います。
内容は素敵だったし、出演者の演技もみんな見事だったのですが、エンディングをいかにもなアイドル曲で締められると申し訳ないけど、なんだか安っぽくなりますね。(別に嵐は嫌いじゃないですよ)
アイドル映画の枠を抜けきらない感じがもったいない。最後から二番目ぐらいでエグゼクティブPでジュリーkのや名前が出てくるのも興ざめ。
本編は星4.5ですが、エンディングでマイナス1.5です。
無門は怠け者じゃない
初回は、ただ、ただ、おもしろかった!!
びっくりしたり笑ったり、ドキドキしたり、イライラしたり、、、
大感動!!とはいかないけれど、なぜか後を引いて、再度見たくなる。
見終わって、友達に変なところはないかと聞かれ、答えに詰まる。
変なところがない。
いや、実はおかしな所ばっか。
監督も言うように、ワイヤーにしても忍びの術にしてもわざとらしい(笑)
それをすんなり受け入れてしまっている自分に驚いた。
ドラマやアニメでも細かいことが気になる質なんだけど気にならなかった。
「忍びの国」は史実ではあるが、
忍び達は私の考えの及ばない世界で生きている、
ある意味ファンタジー的な、つまり「人間ではない」存在であると捉えてしまったのかもしれない。
十二家評定衆、まじ、妖怪並に怖え~し、
忍び達も、金、金、金の人非人だけど、どこか愛嬌があって全力否定できないし、違和感も感じない。
喋りひとつとっても現代風だし、いわゆる「時代劇」感はあんまなくて
凄惨な出来事も、冷酷無比な行いも
そういう風に描かれていないので、その残酷さが伝わってこない。
笑いながら見ていて、ふと、
それを残酷だと思うことなく見ている自分に怖くなる瞬間もあった。
映画を4回見た後で
原作小説流し読み →コミック →原作小説
と読んだ。
映画では描ききれていない背景もわかって、キャラが肉厚になった気がする。
その上で再度、映画を見ると、また余計にぐっとくるものがあった。
無門は怠け者じゃない
私の結論。
「切り合いなんかしたら、死ぬかもしれん」
門を開け、帰ろうとしたところを呼び止められ、そう答える。
映画では出てこなかったけど
無門はお国をさらって来て2年、仕事(殺し)をしていないらしい。
忍びの生業は、術を買われて他国に行き、
諜報活動や暗殺などを行う。
凄腕の無門ならば、引く手あまたで稼げる筈なのに
それをしないのはやっぱり・・
お国の為、それ以外にない。
(原作で) 小屋に来た木猿と入れ代わりに外に出ようとするお国に
「三間より離れんでくれよ。気配がつかめん」
いやいや。5メートル離れるなって・・・ 子どもか!(笑)
一瞬くすっとしたけど、
よくよく考えると夜だし、ここは伊賀だ。
そして、無門は、里の者からつま弾きにされているともあった。
それでなくてもよそ者の女
そして、つま弾き者の無門が連れて来た気位の高い女
里の者がよく思っているわけがない。
心配で仕方ないんだね。
もし、無門が他国で死んでしまったら、
お国はこの虎狼の族の中にひとりで残されてしまう。
無門が働かない(刀術を使わない)のは
自分の命が惜しいのではなく
お国の傍にいる為なんだと思う。
お国に惚れる前は、他国での仕事のついでに
女を術にかけ、遊んでいた。
しかし、お国には術がきかず
あれこれ口説いているうちに「夫婦に」と言ってしまった。(笑)
映画では二回とも術に失敗し、見ていた息子は「下手すぎ」と呟いていたが
原作では、「無門はしくじったことはない。」とある。
思い通りにならない女は初めてで、が故にどうしても手にいれたかったのかもしれない。
くどき倒した挙げ句、「夫婦に」などと口走っちゃったんだね(笑)
で、術のかかってないお国ちゃんと一夜をすごし、完全に虜になったんやな(笑)
お国もさらわれたというよりは自分の意志でついてきたみたいだし。
だいたいその気がないなら、口説かれてる間にいくらでも人を呼べた筈だから
なんならお国が「夫婦になれ」という言葉を誘導したんじゃないかとすら思えてくる。
要するに、お互い一目惚れじゃんか。
One day One way One time
「つなぐ」の歌詞
無門の人生は、まさにその通りだった。
次の瞬間、死ぬかもしれない身
今日、この一瞬が楽しければよかった。
「名前がないってどういうこと?」
私は、不思議で仕方がなかったが、やっと合点がいった。
ハサミやボールペンには名前をつけない。
上忍にとって、下忍は、本当にその程度の価値しかないのだと。
原作に、無門は
「この男は自らの心を欺き続けていた。この男がもし自らの半生を直視していたならば、とうの昔に狂い死にしていたことだろう。この男の半生は直視するには余りに過酷であった。やがて一人前の忍びに成長し「無門」という道具としての名を与えられたとき、この男は自らを韜晦していることにも気づかぬ男になり果てていた。」
とある。
だから、無門には平兵衛の悲しみが理解できなかった。
下山と百地の戦で、忍び達がゲラゲラ笑って人を殺している。
何人やっつけたかで高得点が出るゲームをやっているような感覚かもしれない。
人を人として見ていない。
彼らは自らをすら「人間」として扱ってないんだろう。
人を愛すると、世界が違って見える
大切なものができると、他人の痛みにも鈍感でいられなくなる
お国と接するうち、無門の何かが少しずつ変わって行ったんだと思う。
原作では、「無門の想い女」と表現されている。
絶妙な表現だと思う。
まだ女房でもなし、恋人というには奇妙な関係だし(笑)
うっかり「夫婦に」と連れてきてしまった彼女だったかもしれないが
日に日に存在が大きくなり
おそらく、お国の為に生きているといっても過言ではないだろう。
まるで幼児が母親の顔色を伺うが如く、お国の機嫌を気にする無門。
叱咤激励し、無門を導こうとするお国は、
母を知らない無門にとって「母」をも思わせる存在だったのかもしれない。
自分よりもお国。
ただ、彼女が笑顔でいてくれたらいい。
「愛」だ。
「わかってたまるか」
北畠の牢で平兵衛の言葉にそう呟き返していたが
たぶん、自分の本心に気づかぬように吐いた言葉なのでは?
平兵衛の言葉に納得するということは、
自分の今まで、存在を否定することになってしまうから。
気づき初めてはいるが、それを意地でも認めたくないのだ。
平兵衛との「川」のあと
原作では、
"信雄よりお国を危険に晒す事態を招いた十二家評定への怒りを優先した"
ってニュアンスで書かれていたけど
私は、何度見ても(映画の)平兵衛と無門は戦いを通して何かしら繋がった気がしてしょうがない。
伊賀一というのだから、互角に戦える相手は少ないだろう。
確実にどちらかは死ぬ。
紙一重の死闘の中で平兵衛の心に触れたんだと思う。
険しい表情で戦っていた二人が
ふっと緩い顔になってお互いの力量を認め合ってた。
瀕死の平兵衛が降り下ろした鞘をよけなかった無門。
勝敗は決まっており、容易によけられるのに。
鞘が木っ端みじんになったときの無門の平兵衛を見る目が好きだ。
「わかったから もう怒るな」
無門の顔が切なすぎる。
殺した平兵衛を哀れに思っていることが既に周りの忍び連中とは違う。
無門は静かに怒っているように見えた。
激しく怒っているというよりは、悲しすぎてどうしていいかわからない。
昔の無門には「悲しい」という感情すらなかっただろう。
自分の中に沸き立っている初めての感情。
なぜ、人を殺してこんな気持になるのか、わからないから余計に苛立つ。
そうだ、やつらだ。
全て十二家評定が余計なことをしたせいだ
そして、伊賀にも、自分にも、戦国の世にも
いろんなものに苛立っているように見えた。
平楽寺で上忍のひとりを刺したのが
平兵衛のクナイ(短刀)だと気づいたとき、はっとした。
はやり、無門は「思い」を受け取ったのだと。
刺したあと、平兵衛のクナイをしばらく見つめる無門に胸が熱くなった。
「虎狼の族か・・・」
共に戦い、伊賀を守り、今しがた連れ立って帰ってきたばかりの者どもが、金の為に自分に刃を向ける。
以前の無門ならば、それが当たり前だと感じただろう。
しかし、無門は、ほんの一瞬落胆してしまったのかもしれない。
そして、落胆した自分を嘲る。
そうだった、こういう奴らなのだ。そもそも腹を立てることが間違っている。
ついこの間までは自分もあっち側だったろうよ。
そんな複雑な思いが混じった言葉に聴こえた。
「わしはなんという馬鹿だ─── 」
上忍からは道具として扱われ
他国の武将からは蔑まれ
同じ里の者からも孤立している無門
お国は無門を「人」として扱ってくれる唯一の存在だった。
心の拠り所だった。
それに失ってから、やっと気づいてしまった。
次郎平兵衛を殺された平兵衛は無門に切りかかった。
無門は、それすらもしない。
ただ、お国を抱えて去っていく。
人間、本当に大事なものを失ったとき、心に穴があく。
最後の瞬間にも無門に人として「名」を聞いてくれたお国。
殺したヤツらよりも、そんな事態を招いてしまった、自分に怒っていたんだろうか。
そして、無門は人間として生きる道を選ぶ。
原作では、「鉄」という鍛冶屋の子どもを連れて伊賀を出るが、
映画では、お国が気にかけていた「ネズミ」という子になっていて、「父」「母」と呼ばせていた。
原作よりも、より人らしく描かれていると思った。
無門は、少年を育てることで人として生きた。
助けるというよりは、無門には少年が必要だったんだと思う。
映画のエンドロールで
手を引いていた少年が「離せよ!」と言わんばかりに手を抜き離れるが
やがて、自分から近寄り、無門の手を握る。
このときの無門の気持を思うと涙が止まらなくなる。
骨太な男のドラマ。
骨太な男のドラマ。物語の尊いテーマをテンポ良く、時に軽快に描いていく、監督の手腕が見事!
幾重にも伏線がしかれていて、忍びの術に観る側も嵌まっていく。
脚本が原作者 和田竜氏本人なので、しっかりと本筋の流れを踏まえた上でのセリフが、これまた、魅力的な演者と相まって、鑑賞した後でも、セリフが色鮮やかに甦る。 とりわけ、無門が後半言ったセリフが、ものすごく壺に嵌まった! セリフまわしも絶妙! その部分だけで、無門の背負ってきた背景と闇、心境の変化などが読み取れ、涙を誘う。
アクション面では [川] という独特の戦い方が行われるが、この戦い方にも無門の流儀たるものがあるのか? 冒頭の[川]の戦いと、最後の[川]の戦いでは、戦う相手の強さなりによって、全く違った戦い方ではあるが、最後はどちらも同じ一打で止めをさす。 そして、相手が倒れ [川] が完成し、綺麗に成立しているのには痺れた。
「 嫁さん以外、怖いものはなし 」
ここに無門最強の忍者が成立した。
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