ハドソン川の奇跡のレビュー・感想・評価
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英雄となった機長の苦悩を描く作品
癖のない映画
航空シュミレーターによる検証シーンは必見です。
2009年1月に実際起きたUSエアウェイズ1549便不時着水事故の映画化。
「パニック映画で事故のシーンが大半なんだろ?」と思っていた。
しかし、内容は予想を覆す興味深いものでした。
機長であるサレンバーガー(通称サリー。俳優トムハンクス)の事故後心境&行動と事故の回想シーンがうまく交互に切り替わる。
トムハンクスも他の作品とは違い、おとなしく冷静判断する人物像を演じ好感が持てた。(逆にこんな役も出来るんだとビックリ)
96分と短い映画だが、それを微塵も感じさせない。
不思議である。色々内容が詰まっているのにも関わらずだ。
やはり見せ場は事故調査委員会での事故検証シーンだろう。
航空シュミレーターによる検証および事故調査委員会vs機長&副機長とのやりとりには眼を見張るものがある。
見終えて「、、、面白かった!」と落ち着きながら思えた映画は久しぶりでした。
落ち着いてゆっくりとティータイムしながら観たい映画ですね。ほっこりしました。
裁判と真実
俺は好き
実は全然奇跡じゃないって話
こんな邦題ですが、余りにも有名な1549便の事故からの生還が実は奇跡でもなんでもありませんでしたという話。さらにはサレンバーガー機長がハドソン川に着水するという判断が正しかったのか、実は全然空港に戻れたのではないかということが国家運輸安全委員会に徹底的に追求される様はまるで宗教裁判のようで、苦境に立たされた人間の尊厳を問うクリント・イーストウッド監督の個性が滲み出ていました。
クライマックスの舞台が公聴会という地味さにも驚きますが、ここで詳らかにされる紛れもない事実に瞼が熱くなり、スカルズ副機長が最後に添える一言で会場大爆笑と痛快極まりない映画でした。実録モノなので最後に1549便の乗務員と乗客の同窓会がオマケについてきますが、ここで涙がダダ漏れになりました。
アメリカ人の映画
イーストウッドは現代アメリカの代表的映画作家であることは言うを待たない。イーストウッドの映画を観ればアメリカが分かる。
本作はストレートにヒーローを描いている。いつものイーストウッド映画のひねりはない。こういったイーストウッド作品は「硫黄島からの手紙」と「インビクタス 負けざる者たち」くらいしかない。しかしこの2作はアメリカ人の物語ではないのでアメリカ人のストレートなヒーローを描いたのは初めてだ。イーストウッドの描くアメリカはいつも屈性しているから。
だからと云ってイーストウッドの演出の腕の冴えに曇りがある訳ではない。いつものように簡潔で無駄がない。トム・ハンクスはイーストウッドの作品世界の人ではないと思うが、本作ならば納得できる。ハンクスはジェームズ・スチュアート、ヘンリー・フォンダといった誠実なるアメリカンヒーローの系譜に属する人でイーストウッドが演じた屈性したヒーローとは全く異なる。
誰でも知っている事件、結末を知っている事件をどう描くのかが本作の眼目だ。主人公のサリーは150人の人命を救いながら窮地に立たされる。こんな裏話があったのかとは思うが、イーストウッドのいつもの映画のような重い話ではない。その意味で物足りない。イーストウッドの今の気分はアメリカ礼賛なのかな。
夜のニューヨークをジョギングするハンクスの横に巨大な「グラントリノ」の看板が。ハンクスとイーストウッドの共演!これは楽しい。アーロン・エッカートがホテルのベッドに座ってスニッカーズをかじりながら5ドルもするとつぶやくシーンが良い。イーストウッドの映画は実はこういった何でもないシーンの呼吸が堪らなく良いのだ。
イーストウッドの映画としては軽い作品だが流石に十分楽しめる。「アメリカンスナイパー」と対で観るとアメリカンヒーローのネガとポジということになるだろう。
さすが
外さないと思いきや
こんな葛藤していたんだ
やっと見れました。ハドソン川に緊急着水した航空機のキャプテンを主人公とした話です。当時は英雄としてマスコミから報道されていたので知りませんでしたが、裏では本当にその判断で良かったのか、別の空港まで行けたのではないか、乗員を危険な目に晒してしまったのではないかという葛藤に苦しんでいる姿が描かれていました。調査機関は機械的に判断の誤りを発見しようとする。それに対して自らの正当性を主張し、人為的な要因が重なりその判断ができ、逆に別の判断ではダメだった、そしてその人為的要因とはキャプテンだけでなく全員の協力があったからだと話す結末は感動的でした。
葛藤する姿が主人公の幻想や家族との会話などからよく表されていて共感できました。
着水タイミングは緊張感があり、機内に水が入ってくる恐怖感、極寒の中パニックに陥る様子が怖かった。だからこそすぐに救助に駆けつけた方の姿勢が素晴らしくやはり感動できました。
英雄譚の裏側
当時、世界的にメディアが取り上げていた、奇跡の不時着水事件。その裏側では、英雄であるはずの機長が犯人に仕立て上げられそうになっていたというお話。事故をどうしても機長の人為的ミスにしたかった、保険会社の露骨な圧力を告発しています。事故発生から着水まで200数秒という一瞬の出来事ですが、そのため何度も再現映像が繰り返されます。しかし話の構成が巧みで同じような映像にも飽きることはありませんでした。
しかし、機長みずからが疑惑を払拭しなくてはならないあたり、なんともしんどい。一歩間違えれば冤罪事件だったわけで、本来「あってはならない」実話なんですね。もちろん機長はじめクルーは英雄なんですが、それで終わらないところが本作の核心。
訴訟社会アメリカの暗部を見せられた気がしました。
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