ハドソン川の奇跡のレビュー・感想・評価
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【コンピューターシミュレーション基準による疑惑を、熟達した経験、知識で吹き飛ばしたサリー機長の職人の腕に溜飲を下げる】
2009年1月15日 サレンバーガー機長(サリー)はその経験・技術に裏付けされた的確な判断で、バードストライクにより両エンジンの機能を失ったUSエアウェイズ1549便の155名の乗客をハドソン川へ不時着させ、救う。
一躍ヒーローになるサリー。
だが、国家運輸安全委員会はその判断の是非について、執拗に公聴会で追及する。
事故究明、再発防止のためには必要な事である。
が、委員会メンバーはコンピューターのシミュレーション結果から、サリーの咄嗟の判断に疑問を抱く。
徐々に追いつめられるサリー・・。
ー コンピューター VS 熟練の人間の”経験と勘” ー
<自らの感性、”勘”を信じ、映画を撮り続けるクリント・イーストウッド監督がシニカルな視点も交え作り上げた、”熟練の技”が発揮された見応えのある作品>
<2016年9月23日 劇場にて鑑賞>
単なる救出劇ではないのがよい。
ハドソン川に不時着した飛行機で1549便155人全員無事だったという奇跡の物語。
ただ、不時着して救出するシーンはそんなに多くなく、川に不時着しなくても空港に引き返して無傷で着陸できたのではないか、というシミュレーションやPCの計算が公聴会などの検証が主な流れになっている。
バードストライクがあり引き返すということが出発前から分かっているならば起こった時点ですぐその動作へ移るが、実際はこういうことが起こることを想定して運航しているわけではないし、何が起こって何をすべきか計器の数値はどうかを判断するわずかな時間が必要となる。そのことをシミュレーションなどは想定してない。
ウッドくんの映像の組み立て方は相変わらずスムーズに物語へと導いてくれる。
フィクションでは生まれないであろう脚本
実話ということですが、フィクションでは絶対にこんな脚本は生まれなかったであろう面白さがありました。
検証シーンをストーリーの軸に添えたことでサスペンス的要素もあり、より深みのある演出になっていたと思います。
そして機長役のトム・ハンクスと副操縦士役のアーロン・エッカートの演技が素晴らしく、やはりいい映画は脚本はもちろんですが役者の占める比重も高いと改めて認識しました。
さすがに山田洋次監督作品の手持ちが尽きたので今度はこれで。 名優ト...
さすがに山田洋次監督作品の手持ちが尽きたので今度はこれで。
名優トム・ハンクスを主演に迎えたイーストウッド監督作品。
ハドソン川の奇跡の裏にあった機長の苦悩、実話なので重みが違う。目の付け所が凄い。イーストウッドは齢を重ねるにつれ進化していきますね。
英雄か失格者か、紙一重の判断、驚きの連続でした。そしてラストの粋なジョーク。最高!
イーストウッド監督、今度は主演もするという最新作、こちらもまた楽しみですね。
ドキュメンタリーとして・・・
空港までもたないと判断したチェズレイ・“サリー”・サレンバーガー機長(ハンクス)は緊急にハドソン川への不時着を決断し、みごと着水させたおかげで乗員は軽傷者だけで全員の命を守ることになった。この偉業は「ハドソン川の奇跡」として讃えられ、サリーは英雄として人々に迎え入れられたのだ。しかし、その後、その判断が正しかったのかという疑義が生じ、事故調査委員会の厳しい追及を受けることになった・・・
冒頭ではハドソン川への不時着はほんの少し。いきなり厳しい質問を受けるサリーとスカイルズ副機長であった。シミュレーションでは離陸したニューヨークのラガーディア空港に戻れたという結果が出たためだ。
あくまでもドキュメンタリーとして見るべきか、聴聞会の様子が中心になるため、英雄から犯罪者みたいな扱いになるところがイマイチだったから、事件の総括として気楽に鑑賞するのがいいのだろう。
良い意味で予想を裏切られた
事故後に焦点が当たっていたのが意外で、良い意味で予想を裏切られた感じです。見る前はなんとなく、事故それ自体を追う半アクション的な要素が濃いのではないかと、敬遠していました。
データとシミュレーションで繰り返されし導き出された「答え」は、機長の判断が間違いだと示す。しかし、そこには欠落した重要な要素が存在する。
熟練のパイロットの判断がそれら情報処理を凌駕する。そこにこの作品の気持ちよさがあり、監督がこの題材を取り上げた理由もそこにありそうな気がします。
コンピューターにはない人間の能力、それを感じられるように、という。
4に近い3.5点
いきなり事故後の葛藤から始まり、フライトのシーンも抑制的なので、パニックものやオーソドックスなヒーローものを想定していると肩透かしを食らうかも。
いまどきのハリウッドムービーにしてはCGはちゃちに感じられた。
トラブル時のアナウンスや機内の様子はそれこそ生存者の証言からリアルに作られているのだろう。そのためか割とあっさりしておりあまり緊迫感はない。顛末を知っていることもあるだろうが。CAもあまり動揺が見られず落ち着いて粛々と行動する。リアルに徹したらそうなったのか、表現力不足でそうなったのかわからないが、もう少し逼迫したテンションが伝わる演出があるとよかった。また、トラブル前に事故の日のNYがいかに極寒かを表す描写も欲しかった。ラストのジョークにも影響するので寒さの強調は重要だ。
が、この作品の見どころは後半、公聴会から。ロジカルにではなく咄嗟にした本能的な判断だったため、矛盾するデータを突きつけられ判断の正しさへの自信がゆらぎかけた機長の巻き返しには高揚した。
この作品はプロフェッショナリズム賛歌である。
ナイスチーム
これが実話なのは知っていましたが、機長がまるで犯罪者扱いにされていたことは知らなかった。
この状況で全ての人を救った事実だけで充分と思うが、そうではないのか?
副機長の最後の一言。完璧な仕事を成し遂げた最高の男が放った最高級のジョークは、この映画の完成度を高めていた、
びっくりするぐらい面白い
お堅い社会派映画かなぁ〜と思ったら、この映画、びっくりするぐらい面白い。何よりも圧倒的にリアル、それにつきます。
トム・ハンクス目当てで見たのですが、彼の魅力が存分に発揮されていて大満足です!
事件は有名であったが、乗客の顔や公聴会の事情などは知らなかった。単...
事件は有名であったが、乗客の顔や公聴会の事情などは知らなかった。単なるヒーロー美談で終わらせず、機長の苦悩や乗客の事情も交差した素晴らしい作品。
クリントイーストウッドの新しい境地か。
悪くないが…,
DVDを借りて鑑賞。
過度な着色が無く、シンプルな味付けで楽しめたが映画では無くテレビの特集でやっても…なんていう思いが頭をよぎった。
ただシンプルテイストなので眠気覚ましに観たり、過度な期待を持って鑑賞しない事。
んーん…。
レビューが良かったので期待したのですが…。DVDで観たというのも大きいと思いますが、あまり面白いとは感じませんでした。また、実話で結果を知っているというのも大きいでしょうが、予想が立てられるのでスリルも薄いように感じました。
良かった点は、、、あの人は助かったのかな!?みたいなドキドキが一瞬あったことくらいです。(※あくまで個人の映画素人の意見です。)
巨匠と名優ここにあり。
どれだけ奇跡を起こしても、命を救っても、必ず疑いの目は向けられてしまう。これは人びとの利害が複雑に絡みあう現代では避けられないことなのでしょう。
美談として語り継がれる「ハドソン川の奇跡」。本作ではその舞台裏を丁寧かつ簡潔に描かれており、まさに巨匠・C.イーストウッドさんの手腕が見事に発揮されています。また、主演のT.ハンクスさんの絶妙な表情に加え、劇中では航空の専門用語も頻繁に登場したり、乗客の描写も丁寧で、よりリアリティのあるノンフィクションとなっています。
エンドロールも含め見応えのある96分です。
結果的にコンピュータと人間のせめぎ合いのようになっていて、そこが最大の見どころだった。
旅客機がハドソン川に不時着したのは知っていた。
でも当時は「ふーん、そうなんだ、助かってよかったね。」くらいにしか思わなかった。
まさかこんなことになっていたとは知らなかった。
その後のことはまったく報道されていないか、報道されていたとしても見ていなかった。
そんなに面白そうな事件ではないので、原作本を見たとしてもたぶん読まないし、師匠(特別に尊敬しているので、イーストウッド監督を師匠と呼ばせていただきます。)の映画でなければ見なかった。
見てみたら師匠の映画はいつもそうだけど、すごく面白い上にいろいろ勉強になる素晴らしい映画だった。
考えてみたら、事故によりとんでもない損害が出ているわけだから、機長の判断が正しかったかどうか調べるのは当然だ。
しかしその調べ方がコンピュータシュミレ-ションというのに驚いた。
データ(たぶん全ては把握できない)を入れたコンピューターが空港に戻れたから機長に過失があるというのなら、最初から全部コンピューターにやらせろ、あるいは指示させろ、ということになる。
でも、もしコンピューターが操縦あるいは指示していたら、川に不時着などということをあらかじめプログラムされているということは考えにくく、それこそ大惨事になっていた可能性が高い。
結果的にコンピュータと人間のせめぎ合いのようになっていて、そこが最大の見どころだった。
そして何が正しいのか間違っているのかよくわからないところが、師匠の一連の映画のテーマにも合っていた。
内容的には、事故のシーンを分割して、機長のフラッシュバックとして、少しづつ全編にわたって入れていく手法がよかった。
これが、現実感を失わずにパニック映画的な面白さを出していて、最後まで飽きずに見られた。
そして最後の最後に一番盛り上がるシーンを持ってきていて、ラストシーンに一番感動、続くエンドロールにも余韻が残り引き続き感動、本当に最後の最後まで無駄なく作られていて、素晴らしい仕上がりだった。
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