劇場公開日 2016年9月24日

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ハドソン川の奇跡 : 特集

2020年12月21日更新

【マジ素敵な企画】名作の日本語版を新たに制作!
…て何故!? ザ・シネマが放つ“新録版”の魅力とは

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新作・話題作はもちろん、懐かしの名作やソフト化されていないお宝作品まで、映画の魅力にどっぷり浸かることができる専門チャンネル「ザ・シネマ」。同チャンネルが取り組む “新録版”をご存知だろうか? 映画ファンにとってハチャメチャに魅力的なプロジェクトなのだが、「なにそれ?」とピンときていない読者のために、詳しく説明していこう。

新録版は、古今東西の名作洋画、その日本語吹き替え版に焦点を当てる。劇場公開時に制作された吹き替え版とは別に、新たな声優を起用した「新録吹き替え版」を、ザ・シネマが独自で制作し放送している。例えば「LIFE!」では、主演ベン・スティラーの声を岡村隆史(劇場公開版)から堀内賢雄(スティラーを多く担当するベテラン)に、という具合だ。

この企画の何がすごいのか? 私たち映画ファンにとってどんな良いことがあるのか? 本特集では新録版の魅力について、12月27日午後9時から放送「ハドソン川の奇跡」を例にわかりやすく解説していく。

キーワードは、「映画ファンのための本気の企画」。記事後半には、トム・ハンクスの声を多く担当する声優・江原正士の特別インタビューを掲載している。

※12月27日午後9時放送の新録版「ハドソン川の奇跡」を見たいならこちらをクリック!


【映像】吹き替え見るなら、ザ・シネマ! マジで素敵な企画を贈ります

Q:“新録版”って、そもそも何?
A:過去作の日本語吹き替え版を、新たに制作する企画

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○なぜ新たな声優で、新たに日本語吹き替え版をつくるのか?

繰り返しになるが“新録版”とは「劇場公開時の日本語吹き替え版とは別に、新たな声優を起用した吹き替え版を独自で制作し放送する」企画だ。なぜ、わざわざ新たな吹き替え版をつくるのだろうか?

幼少期にテレビで見た洋画(吹き替え版)がきっかけで映画ファンになった、という人は多いだろう。筆者も「ターミネーター2」「ホーム・アローン」をVHSで録画し、テープが擦り切れて画面が砂嵐同然になるくらい何度も何度も鑑賞した。

当時はスター俳優を固定の声優が担当する場合が多く、例えばアーノルド・シュワルツェネッガーといえば玄田哲章、トム・ハンクスといえば江原正士という感じで、作品を横断して俳優=声優が一致した洋画を数多く目にする構造になっていた。その結果、映画ファンたちの間で「この俳優にはこの人の声だよね」という集合的無意識が形成されてきた。

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しかし昨今はさまざまな理由により、劇場公開時の日本語吹き替え版で「この俳優にはこの声優」のセオリーが当てはまらないことが増えている。それでも、映画ファンの間で「あの人の声で見たかった」というニーズは根強い。そこでザ・シネマが、ファンの希望に120%こたえる“新録版”をスタートさせたのだ。

2011年3月に「ブレードランナー ファイナル・カット」(ハリソン・フォードを磯部勉が担当)、17年に「プロメテウス」(ノオミ・ラパスを佐古真弓)、19年2月に「LIFE!」(ベン・スティラーを堀内賢雄)、同年7月に「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(トム・ハーディを宮内敦士)を制作・放送している。

そして20年12月27日に、トム・ハンクスの声を江原正士が担当した新録版「ハドソン川の奇跡」が、ザ・シネマで放送される。この企画の魅力に気づいたあなたは、ぜひこの機会に鑑賞してみてほしい。

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○新たな気づき…新録版は“字幕派のあなた”にオススメ 日本語で洋画を見ると物語の理解度が段違い

映画.com編集部に所属する筆者は、ひと足先に新録版「ハドソン川の奇跡」を鑑賞させてもらったところ、重大な気づきが得られた。日本語のセリフで、しかも幼少期から親しんできた「トム・ハンクス=江原正士」という安心感バリバリの声で物語が進むことが、こんなにも映画体験に好影響を及ぼすとは驚いた。

私は普段は“字幕派”だが、日本語で鑑賞すると、字幕と比べて物語の理解度が段違いなのだ。セリフは咀嚼せずとも理解でき、細かなニュアンスを損ねず取り込める。字幕と芝居を交互に目で追う必要がないため、気が散らず映画の内容がスムーズに頭に入ってくる。

“物語とシンクロする感覚”がビンビン感じられた。冒頭、飛行機のエンジン音に重なるように江原正士のあの声が響いた途端、「これだよこれ」と胸が熱くなり、「管制官との交信中、トム・ハンクスはこんな表情をしていたのか」「最後のジェフの『次は夏が良いな』というセリフ、実はこんなにエモい一言だったのか」などなど、目からウロコが落ちまくって仕方なかった。

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考えてみれば当たり前のことだが、とにかく鑑賞中は吹き替え版ならではのメリットに感動しっぱなしだった。これは“忘れていた映画体験”だ、と思った。字幕派のあなたにこそ、味わってもらいたい。

新録版のプロデューサーを務める飯森盛良氏は、今回の特集に寄せ、アツい思いを語ってくれた。

「日本人の主な映画鑑賞の場が、TV洋画劇場からレンタルビデオに切り替わった90年代頃、『洋画は映画館で見るように字幕で見るのが正解』という主張が一時説得力を持ちました。レンタルの普及でそういう見方が家庭でも可能になったからですが、ゼロ年代に入るとそうした一方的な見方には疑問が呈され、吹き替えのメリットも再評価されます。03年のムック本『別冊映画秘宝 吹替洋画劇場』がバイブルで、09年には旧FOXのDVDブランド『吹替の帝王』が開始。当ザ・シネマでも07年から、多くの日本人に洋画の面白さを教えてくれた吹き替え文化を、重要なコンテンツと位置付けお届けしてきました。吹き替え新録シリーズもその一環です」

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○吹き替え見るなら、ザ・シネマ! 映画ファンに“本気”の企画を贈ります

新録版以外にも、ザ・シネマは日本語吹き替え版をめぐる企画を次々と用意している。

まずは12月からスタートする新企画「月刊吹替声優」。毎月1人の声優にフォーカスし、関連作品を続々と放送する。初回はトム・ハンクス&江原正士をピックアップし、「アポロ13」「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」「ハドソン川の奇跡」といったラインナップを取りそろえた。ちなみに1月はケビン・コスナー&津嘉山正種で「フィールド・オブ・ドリームス」「追いつめられて【日曜洋画劇場版】」「ラブ・オブ・ザ・ゲーム【日曜洋画劇場版】」を放送する(放送日などの詳細はこちら)。

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さらに毎週木曜昼には、「厳選!吹き替えシネマ」と題した懐かしの名物企画が。かつて、午後9時からTVの洋画劇場にて放送された、名作の日本語吹き替え版を発掘・放送。2021年1月は「クロウ 飛翔伝説【木曜洋画劇場版】」「ルームメイト(1992)【日曜洋画劇場版】」「プラトーン【木曜洋画劇場版】」「レインマン【TBS版】」がラインナップ(放送日などの詳細はこちら)。

吹き替え見るなら、ザ・シネマ。年末年始は新録版をはじめ、映画ファンのために放たれる“本気の企画”を堪能してみてほしい。

※12月27日午後9時放送の新録版「ハドソン川の奇跡」を見たいならこちらをクリック!


新録「ハドソン川の奇跡」特別インタビュー 江原正士
T・ハンクスを演じる苦労…挑む姿勢は「僕の憧れ」

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「まさに青天の霹靂でした。言葉にできないような嬉しさというのが素直な気持ちです」。トム・ハンクスの日本語吹き替え版声優を務めた江原正士は、今回の企画を聞いたときの喜びをそう語る。「フォレスト・ガンプ 一期一会」「グリーンマイル」など、数々の作品でハンクスの声を担当してきた江原にとっても、思い入れ深いアフレコになったようだ。

「『ハドソン川の奇跡』の公開当時は僕には話はなかったので、少し寂しい気持ちもありました。トムさんの作品は何度もやらせていただきましたが、オファーが来ない限りできるかわからないので、お話をいただけると毎回『ラッキー、運よくゲットできた』という気持ちです。ただ、役をいただいたからには闘志がみなぎります」

江原正士
江原正士

その言葉通り、本番へ向けた準備期間からも“闘志”が伝わってくる。「まずは、しゃべるフレーズのブレスにあわせて、全編のセリフの“荒仕込み”を3、4日くらいやります。だんだんあらすじが体に入ってくるので、その後にセリフを過不足なくスラスラ言えるよう、つながりがおかしくないかの点検も兼ねた“熟成期間”を2日ほど経てから本番に臨みます。でも、家でできたことが本番でできないこともあるんです。こう言おうと思ったらこうなっちゃったな、でもこっちの方がいいかもしれないというときもあります。面白いですよね。1週間しっかり仕込まないとそういう瞬間には出合えないんです。与えられた時間はできるだけ台本と画に向き合うのが、不器用な僕にとってできる最大限の作品との対峙の仕方です」。

「これはほかの声優さんもやられていることだと思います」と謙遜するが、演技派のハンクスならではの苦労もあるそう。「今はデジタルの時代なので、ただしゃべるだけでもそれらしく聞こえてしまう場合もあります。でも、トムさんの作品は『ただしゃべるだけ』だと成立しないんです。今回の『ハドソン川の奇跡』で言うと、ほかの作品に比べてセリフ量がすごく多いわけではないですが、それでもバーッとしゃべるシーンもあります。サリー機長が何を言いたいのか、どういう気持ちなのかを仕分けをしないといけないので、事前に全部仕込んでおかないといけないんです」。

江原正士
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事故を振り返る大事なシーンでは、サリー機長のキャラクターも伝えるため、セリフの裏に隠れた人柄を意識した。「サリー機長が論理を展開していく場面では、文字がただいっぱい並んでいるだけでは面白くないので、固くなりすぎずにセリフを残せるといいなと思いました。サリー機長の『これは戦いなんだ』という気持ちも伝えながら。僕は普段から声の調子だけを変える芝居はしないようにしていて、基本的な心理をしっかり持っていないといけないと思っています。サリー機長は落ち着いた冷静沈着な方であり、エネルギーと集中力もあるという内面がどうやったら伝わるのかという度合が難しかったです」と明かす。

ハンクスの声を初めて担当した「フォレスト・ガンプ 一期一会」では、友人から声が似ていると指摘されたそうだが、「よく聞くとそんなに似てないんですよ(笑)。でも、詰まったような感じが多少似ているかなとは思います。それから『グリーンマイル』『ターミナル』など何本かやらせていただきましたが、トムさんはいつもいろんなキャラクターに挑戦して作っていく方なので、僕もトムさんが目指すキャラクターを作る方向でいつも挑んでいます。『ハドソン川の奇跡』では、実際のサリー機長に相当寄せているなと感じました。やっぱりチャレンジャーですよね、感動しました。あまり自分の形にこだわらず、いろんなキャラクターを柔軟に演じている姿勢は、僕の憧れかもしれないです」と、いい影響を受けている。

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ちなみに、ハンクスの作品では「ターミナル」のアフレコが忘れられないそう。「印象深いというか試練というか」と前置きしてから、「ビデオ版とオンエア版で2回やらせてもらったのですが、最初のビデオ版は朝の10時から夜の8時くらいまでかけて録りました。クラコウジア語をしゃべるシーンがあったのですが、カタカナの羅列なのでそれらしく終わらせて帰ろうかなって思っていたら、ラストテイクのときに本場の先生がいらして。その方のレッスンを受けて全編録り直しになりました(笑)。何年か後にオンエア用の『ターミナル』のアフレコがありまして、そのときまた同じ先生がきたんです。うわーと思ったら、運よく僕が覚えていて、先生がOKをくれたのが本当に嬉しかったです。一生懸命やってよかった」と笑いながら振り返る。

思い出話もたっぷり語ってくれた江原。最後に、改めて新録版の魅力を紹介してくれた。「おとぎ話のようだけれど実際にあった話を、そのスリリングな展開をもう1度聞き慣れた日本語で再確認して、人間のすばらしさを体感してほしいです。アクション映画のようにテンポの早い作品だと、字幕と原音でもある程度理解できると思いますが、『ハドソン川の奇跡』みたいに論理が入ってくる作品になると、字幕の限られた文字数よりは、日本語の方が伝わりやすいと思っています」

特に、サリー機長らが安全委員会に諮問されるシーンは「サリー機長の気持ちも伝えながら、これは戦いなんだという気持ちを込めています。あそこを日本版でしっかりと見てもらうと、この作品がもっと面白くなると思います」と、見どころの一つになっている。終始、穏やかながらも本作に込めた熱意を語り、「見てくれる方に伝わってくれるといいのですが……」と、放送を楽しみにしているであろう視聴者の反応を気にかけていた江原。その思いは必ず届くはずだ。

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