ハドソン川の奇跡のレビュー・感想・評価
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パイロットの基本に忠実だったからこそ・・・
ラガーディア空港を離陸し、ハドソン川を左下に見ながら上昇姿勢に入ると、サリーとジェフは緊張がとけ雑談します。この間に、「もしここでもしトラブルが起こったら・・」とサリーは何度も考えたことがあるのでは・・と思います。
可能なら空港に引き返えすのは当然。それがだめなら? ハドソン川への不時着は? 上流から下流だから接水速度が落ちる。水面は穏やか。橋と橋の間の距離は、コースは・・。
高度と距離の感覚も染み込んでいるはずです。
調査官から、どうやってハドソン川への不時着を判断したのか?と訊かれ、サリーは"by my eyeball"(字幕は「私の感覚で」?)と答えると冷笑されます。
amazonでは映画の最後(おまけ)で若い頃、小型機で旅行しようというと怖がる奥さんに、あらゆる事態を想定しているから大丈夫、とサリーが言います。
またサリーは余暇にグライダーを楽しみます。グライダーの飛行は毎回、「今、この高度で戻れるか」を"my eyeball"でチェックし続けます。高度計は低高度ではあてにしません。
両エンジンが停止したとき、空港に戻る指示をする管制官に、サリーは「ハドソン川に降りる」と伝えますが、155人の命を背負った重圧のなか、1分足らずの間にハドソン川へと判断したのは、やはり頭の中にイメージがあったからではないかと思うのです。
あの「奇跡」は常にイマージェンシーを想定して飛ぶ、というパイロットの基本をサリーが忠実に守ってきたからこそ起こり得たのではないか。この映画の一番のテーマはやはりサリーの真のプロフェッショナルさだと思います。
冷静で誠実な機長、迫真に迫る演技のトム・ハンクスがすごかったし、ク...
生贄社会の構造と奥深い闇。夫Sallyの物語。
内容は、2009年1月15日にアメリカ合衆国🇺🇸で起きた航空機事故によりハドソン川に不時着を余儀無くされた1人のパイロットと事故に関係する人々の物語。好きな言葉は、『ロリィ。愛してる。』(字幕は違う)冒頭のビルに激突する夢を見て何度も自分の行動に煩悶する所で苦悩と葛藤と心ここに在らずという立場が上手く表現されていたなぁと感じました。好きなシーンはやはり、最後の最後まで乗客の安全を確認する所と執拗に心配する所が良かったです。大きな事件や事故には、必ずと言って良いほど二次災害や三次災害がついて回ります。こちらの問題の方が酷く陰惨になる為報道されない事の方が多いのです。人工国家であるアメリカ合衆国だからこその問題が浮き彫りになって短い時間に、よく纏めたなぁと感心します。注目され過ぎて戸惑ってしまう心境や心労が自分の事の様に伝わってきました。機長🧑✈️の判断と行動は素晴らしかったですが、人物や人柄まで良い人だとのすり替えは落とし穴。その問題の異常性を誰もが気が付かない事の方が深い問題で、それを分かっていたのが主人公Sallyだったのかもしれません。正しいモノが必ず認められるのではないといつも以上に感じました。今回は、Amazonプライム・ビデオで鑑賞しましたが、最後のおまけで補足映像作品が非常に面白かった。簡単なSallyの経歴や家族や周りの人達との見方が収録されていてドキュメンタリー感が増し増しで非常に楽しかったです。アメリカ合衆国社会の光と影を覗かせ色んな見方が出来る素晴らしい映画でした。終わり方も複雑で分かりやすく素晴らしい。それにしても、1月のハドソン川は寒そうです。ホント色んな意味で奇跡です。
この事故で乗客が助かったのはこの機長だったから
シンプルな展開で直向きに真実に迫る
本作は、劇的展開に感動し号泣する作品ではなない。イーストウッド監督らしいシンプルな展開で、本物の感動で与えてくれる、自然に涙が溢れてくる作品である。
2009年に実際に起きた航空機のハドソン川不時着事故はまだ記憶に新しく、機長の行動がマスコミで絶賛され英雄視されたのは鮮明に覚えている。
本作は、ハドソン川不時着事故を検証する事故調査員会を舞台にしている。果たして不時着は本当に正しかったのか?飛行場に戻ることができたのでは?との事故調査員会の追及に、主人公である機長(トムハンクス)は、英雄から一転して犯罪者扱いされるようになる。しかし、彼は、苦悩しながらも、自分の取った行動を信じ、副機長らに支えながら、自らの力で、真相を究明していく。
話は、不時着事故の真相究明にフォーカスされている。他の話も盛り込んで派手で劇的な展開にすることはいくらでもできただろうが、そんな寄り道は一切せずに、ひたすら直向きに不時着事故の真相に迫っていく手法が秀逸。ドキュメンタリーを観ているような臨場感があり、真相究明までの過程に途絶えることがない迫力がある。
逆境に苦悩する複雑な機長の心情をトムハンクスが物静かな抑制の効いた自然体の演技で好演している。過剰な演技は一切なく、その分リアリティがある。
不時着事故のシーンは迫力があり、我々も事故現場にいるかのような緊迫感、臨場感がある。沈みゆく飛行機のなかで、最後まで飛行機に残り乗客の安否を気遣い、救出後も全乗客の無事を確認しようとする主人公の強い責任感には胸が熱くなる。
ラストの公聴会シーンでは、主人公への疑惑が数字に基づいて解明されていく。今まで静かだった主人公の凛とした主張が清々しく、主人公の気持ちに寄り添うことができた私の目からは自然に涙が頬を伝わって流れてきた。
リアルな手法はラストまで不変だった。不時着事故の真相に迫るという作品コンセプトに対するイーストウッド監督の揺るぎない信念を感じた。
ラストで、副機長が7という数字を使った一言で心和ませてくれる。7といえば、アメリカ独立記念日が想起される。機長、副機長、不時着事故で乗客を救出した人々、の行動は、どんな困難な状況でも決して諦めることなく活路を開いていくというアメリカの建国の精神であるフロンティア・スピリットを体現している。フロンティア・スピリットが脈々と受け継がれている。副機長の一言には、そういう意味が込められていると感じた。
普通に満点でいいでしょう
人生は一度しかない
私は飛行機恐怖症です。
この映画は低高度でエンジンが完全停止した航空機が川に不時着するはなし。それだけである。
その描写が異常にリアル。
これ映画館で観なくてよかった(笑)
でもこのリアルさで、感じたのは飛行機恐怖症の原因についてだった。
自分は生きることが目的化しているのではないか?
そう感じたんです。
飛行機恐怖症ってある種ノイローゼのようなものなのかもしれないと。
物語はサレンバーガー機長の人生を明確に描写します。
明らかな専門職にも関わらず、一度事故を起こしたら資金繰りに困る状態に陥るのはとても不公平に感じたし、
彼の真摯な仕事への姿勢をみて
逆にそこまで真剣に、自分は生きてるだろうか?と感じてしまった。
飛行機恐怖症の原因は実は自分の人生に真剣に向き合わないことが原因であると。
パイロットにはどうひっくり返っても自分はなれないなー。
機長は技術をもった専門職、特殊な立場の人です。
ただ映画は彼を特別視せず、普通の人として描いている。
こういう世の中から素晴らしいといわれている人物の人生をみると、自分が卑称に感じられ辛くなることも多々あるがこの映画はそういう感じはしなかった。
あくまでもただの専門職の男なのだ。
そこが良いな。
素直に喜ぼうよ、助かったんだもの
事故のその後と真実
奇跡の生還ドラマかと思っていたのですがそれだけでは無く、そこから始まる疑惑と追い詰められながらも冷静に真実を見極めていこうとする機長の人間ドラマに惹きつけられました。
英雄と讃えられながらも、国家運輸安全委員会の指摘により狂い始める機長の運命。40年にも及ぶキャリアも崩れ去ろうとしていく。家庭だけでなく、仕事に対する自信や誇りまでもが揺らいでいく様子に胸が締め付けられそうでした。
コンピューターによるシミュレーション結果では空港への帰還は可能だったとか、エンジンは動いていたとか、不利な結果を突きつけられる。精神的に追い詰められながらも最後まで諦めなかった機長。公聴会での冷静な指摘、お見事でした。と、同時に事故のデータ分析で、“人的要因”という重要な要素を見落としたまま調査していたという事実も驚きでした。エンジンの方も、後で現物を確認したら破損していました。コンピューターに頼り過ぎた誤った調査により、誰かの人生が狂わされていたのかもしれないと思うとゾッとします。
英雄から一転、容疑者へ。簡単に人生を狂わされていく様子に悔しい思いもしましたが、追い詰められた時、自分を守れるのはやはり自分だけなのだなと思いました。揺らぐ思いの中、自分を見失わず最後まで闘い続けた機長の姿に勇気づけられました。
本当のヒーローは〜〜
《お知らせ》
「星のナターシャ」です。
うっかり、自分のアカウントにログインできない状態にしていまいました。(バカ)
前のアカウントの削除や取り消しもできないので、
これからは「星のナターシャnova」
以前の投稿をポチポチ転記しますのでよろしくお願いいたします。
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誰もが知っている出来事を単なるパニック映画にせず
その後の機長「サリー」に訪れたドラマを
丁寧に描いた何と言う大人なそして秀逸なドラマ。
飛行機のシーンも、殊更に英雄的な面や
事故の恐怖を煽るのではなく
淡々と、1人1人が自分のするべき事を全うしようとしていて
きっと実際のプロはこんな感じかもしれないなあ〜〜と
思わせる様な控えた描写が
「サリー」にある事実をもたらされた時に大きな感動を呼ぶ。
日本で言う、事故調査委員会のような組織の人々も
今回は損な役回りでは有るけど、
彼らもまた、プロである以上は厳しい質問もするだろうし、
プロとプロとのぶつかり合いが物語をグイグイとラストへ
引っ張ってくれる。
そんな中で
ニューヨークの一般市民の1人が「サリー」に有る言葉を告げる。
あなたは155人の乗客乗員だけで無く
飛行機の記憶 9.11のあの深い悲惨な絶望から
「ニューヨーク」の人々を丸ごと救ったのだ!と。
こんなに中身の濃い作品をサクッと96分で
仕上げてしまうクリント・イーストウッドの潔さ!!
流石、プロ中のプロだな〜〜
良い映画観たな〜〜!と思いたい人に是非お勧めです!!
エンドロールは最後まで観てね!!
感度!
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