“ガロ系”と言われる独特の不条理でシュールな作風で知られる漫画家・蛭子さん。
漫画家というより、タレント、言葉は失礼かもしれないがクズ人間、無類のギャンブル好きでの方がよっぽど認知されているかも。
俳優業もちらほら。確かに見た事はある。でもそのほとんどが脇役。
本作は映画初主演作で、演じるのは伝説のやくざ。
ああ、そういうパロディ・コメディ…?
いや、コメディではないんだな。
でも、そうとしか見えん。
やっぱり、ねぇ…。
合ってるとか合ってないとか、演技巧いとかドヘタとか、それ以前の問題。
台詞は一生懸命覚えて喋りましたみたいな。
アクションもやってみましたみたいな。
撮影中スタッフ/キャストは、公開時劇場で観客は、笑いを堪えるのが大変だったろう。
高倉健風無骨にやっても、蛭子さんは蛭子さん。
何処ぞの学生が撮ったようなチープな演出。70分の尺で良かった…。
話は普通にやりゃあ真っ当な任侠映画になったかもしれないが、ちょいちょいおバカ脱力ギャグ。脚本は福田雄一。うへぇ…。道理で佐藤二朗や安田顕が出てる訳だ。
って言うか、福田を脚本に起用している時点で真面目な作品作りじゃないじゃん。
所々いい話はある。義理人情の任侠映画っぽくもある。蛭子さんも様になっている時もある。
やっぱり、でもねぇ…。
はっきり言って“映画”と呼べるような代物じゃない。
が、蛭子さんそのものについては否定しない。
漫画家として多くに影響与え、リスペクトされている。
タレントとしても唯一無二の個性。
何ものにも縛られない自由独特の価値観の持ち主。
今は認知症と闘っておられる。
“カッコいい蛭子さんを撮ろう”というコンセプト。
カッコいいやくざをやらせて、アクションもして、歌まで歌って。
もはや蛭子さんのPV。
寧ろここまで愛されて、蛭子さんも幸せ者…?
でも個人的には、トリンドル玲奈演じる女組長の話での方が見たかったかも…?