Mommy マミー
劇場公開日 2015年4月25日
解説
「わたしはロランス」「トム・アット・ザ・ファーム」などで世界の映画界から熱視線を浴びるカナダの俊英グザビエ・ドランの監督第5作。2014年・第64回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、大御所ジャン=リュック・ゴダールの「さらば、愛の言葉よ」と並んで審査員特別賞を受賞した。15歳の息子スティーヴを育てる、気の強いシングルマザーのダイアン。スティーブはADHD(多動性障害)のため情緒も不安定で、普段は知的で純朴だが、一度スイッチが入ると攻撃的な性格になってしまう。そんな息子との生活に右往左往していたダイアンだが、隣家に住む引きこもりがちな女性教師カイラと親しくなったことから、少しずつ日々に変化が訪れる。精神的ストレスから吃音に苦しみ休職中だったカイラも、スティーブの家庭教師を買って出ることで快方に向かっていくが……。
2014年製作/134分/PG12/カナダ
原題:Mommy
配給:ピクチャーズ・デプト
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2022年1月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
少し重かったが、すごく良い作品だったと思う。
評価も高かったため期待して観たが、全然期待以上だった。
画面のアスペクト比が変化したり、ストーリー運びの映像切り替え等々、かなり凝って創られた作品だと思う。
スティーブの未来予想図?と言うか期待値図?と言うべきか、その映像が走馬灯のように流れたのはかなり泣けた。
正直何をどう感じることがこの作品の醍醐味かを解説する自信は全く無いが、ダイアンの涙を堪えるラストシーンは、母の強さを強く思った。
2021年12月24日
iPhoneアプリから投稿
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とにかく見るのがしんどかった。
ADHDであるスティーブの母やカイラへの支配的な愛は尋常じゃなく、それに対する母からスティーブへの愛には時々恐れや戸惑いを感じてそれが苦しく感じる。前半の救いのなさにはかなり辛いものがあった。そして登場人物の多面性に心をやられた。
それでも中盤から少しづつ希望が感じられ、開けた画角に入る時、oasisのwandarwallが流れ元々カッコいい歌だが、今までで1番カッコよく聞こえた。前半には見づらいと思った1:1の画角もこの快感にも感じられる展開への伏線であると考えれば納得。
途中で捨てた希望の未来が流れるが、そのシーンも胸を締め付けられる。母は結局施設で生き永らえることに希望を見出すが、その表情はどこか悲しそう。切なさが前面に押し出されたシーンだった。
ラストシーンからもスティーブは自由に固執していると感じられる。監督の演出からもそれを至る所で受け取ることができる。
様々な感情が溢れる良作でした。
2021年1月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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障害を持つ親の気持ちを完全再現
母親もファンキーでそのせいで
子が悪くなるのは絶対ある
けど男の力やから暴れたら恐怖するやろうし
イライラするやろうし泣きたくも発狂したくも
なるやろなと。けどお互いの愛は変わらんよと。
カイラのイライラも分かるし
カラオケバーでの子供の気持ちも、
手あげた男にムカつく親の気持ちも、
引き渡す時のやっぱりやめとこうって気持ちも
全部わかる。ただ留守電も良い人生の妄想も
切なすぎた。
2020年9月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
「僕は暴力的な扱い難い子供で、親がそういう子供向けのサマーキャンプに入れたんだ。僕の場合はそこで文章で自分を表現できることを知って良くなったんだけど、もし、S14法=取り扱いの難しい14才以上の子供は施設に入れていい、という子捨ての法律があったらどうなるだろうって考えてみたんだ。」とドラン監督はインタビューに答えていた。
母一人子一人で互いに溺愛しあい依存しあって生きてきた。だが、息子の自分の思い通りにならないと癇癪を起こす激しい気性は成長期に入って大人の手に負えなくなり、母親は疲れ果ててしまう。こんな子いなければとさえ思う。その過程の描写が細かく説得力があるので分かりみが深過ぎて哀しくなる。途中、第三者の隣人の女性が加わるという変化もあったのだが…。
ドラン監督らしい若々しいラストの演出が鬱積した暗い気分を少し軽くしてくれたのはよかった。また、息子役、隣人役共によかったが、母親役の演技力が特に光った。
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