劇場公開日 2015年1月30日

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エクソダス 神と王 : 映画評論・批評

2015年1月27日更新

2015年1月30日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

歴史スペクタクル、冒険活劇、ディザスターと3本分の見せ場で迫る

リドリー・スコットと言えば「エイリアン」や「ブレードランナー」といったSF映画がまず思い浮かぶが、アカデミー作品賞の「グラディエーター」や「キングダム・オブ・ヘブン」など歴史大作も少なからず手がけてきた。そんなスコット監督が最新作の題材に選んだのは、旧約聖書の「出エジプト記」。紀元前13世紀のエジプト王朝下、隷属状態にあったヘブライ人(ユダヤ人)を預言者モーゼが導き、エジプトを脱出して約束の地を目指す物語だ。

先鋭的な映像表現で名を成した監督らしく、自身過去最高となる予算1億4000万ドルの相当部分を最先端の視覚効果に投じ、壮麗な王宮、平原での合戦、「十の災い」、紅海が割れる奇跡から超大型津波までを、驚異のリアリティーで3D空間に繰り広げる。まさに特撮てんこ盛りで、2時間半の本編に歴史スペクタクル、冒険活劇、ディザスターものの3本分の見せ場を詰め込んだ。中でも、人食いワニの群れ、天と地を埋めるイナゴやカエルの大群、王や妃の顔も容赦なく醜く変える疫病など、エジプトを襲う十の災いをB級パニックホラーよろしく過剰に描くスコット監督に、喜寿を迎えてなお枯れぬゲテモノ愛を感じて嬉しいやら呆れるやら。

モーゼを演じるのは、極端な肉体改造も厭わない徹底した役作りで知られるクリスチャン・ベール。「ダーク・ナイト」3部作でアメコミヒーローを演じた経験を活かし、戦場での激しいアクションでも余裕すら感じさせる。王子ラムセスと兄弟同然に育てられ、めっぽう強い武将に成長するという設定は、1956年のチャールトン・ヘストン主演作「十戒」を踏襲しているが、惜しむらくは、ラムセス役のジョエル・エドガートンユル・ブリンナーほどの強烈な存在感がないことか。

とはいえ、ラムセスと決別する運命に寂しげなモーゼの風情が、この輝かしい英雄譚に哀しみの影をしのばせる。リドリーが本作で弟の故トニー・スコット(2012年死去)に献辞を記したことも、そうした気配と無関係ではないだろう。

高森郁哉

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