そこのみにて光輝くのレビュー・感想・評価
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綾野剛、池脇千鶴、菅田将暉…
キャストも良く、凄く楽しみにしていたので面白かった。
見終わり、普通だったなぁ~と思い家に帰る途中で色々考え、また見たいなと思う。
考え深い映画でした。
配役ぴったり
まず
火野正平さん、久しぶりに映画で観た。
あの奥歯に物が挟まってるような、はにかんでるような話し方。変わってなくて今回の役にもピッタリでよかった!
観に行く前に作品紹介を読んでた。
もっとギラギラ、ピリピリな表現なのかと思ってたがネバっと泥臭かった。
タツオ、無口だけど彼の気持ちがわかるように描写されてる。どうやったんだろう?綾野剛君の表現がうまいのか、前後のセリフや画面のせいなのかわからないけど、とにかく私はうまく引き込まれた。
タクジ、うるさいけど憎めないやつ。菅田君?何度か何かで観ているけどこの役、良かった!
千夏、最初のシーンからイメージピッタリ。池脇さんてすごいなー。千夏の気持ちの動きはわからない部分もあってそのもどかしさが良かった。
配役ぴったりという表現じゃなく、自分に与えられた役になりきることができる役者さんたちなんだと思う。
函館の景色、海、夏なのに秋みたいなさみしい雰囲気。
ケガキの文字と千夏のさみしい笑顔
観てよかった。また映画館で観たい。
佇まい、匂い
達夫が千夏とはじめて会った時のあの瞬間。
ホテルで千夏と密会してたときの中島の尻。
食堂での達夫と交わす千夏の表情。
車の中の千夏の悲鳴。
そしてラストの千夏。
なんて凄い画なんだと思いました。
そして、うちの近所にも拓児みたいなのが今日もウロウロしています(笑
脱帽。
どうしても観たかった作品
映画のチラシを見た時点で気になっていた本作品。
しかしながら観賞条件がタイトでタイミングが合わず悔しい思いだったが、やっと観ることが出来た。
あまりハードルを上げたくなかったが、予告編やレビューを見るにつけますます期待値は上がる一方だった。
しかしそんなハードルは関係ない、期待通りの作品だった。
まず画面から漂う空気感、演者が放つ現実味に引き込まれ、まるで自分も彼らの側で彼らのことを見守っているかのような気持ちになった。
自分では背負い切れないかもしれない重荷を背負い続け、いつ終わるかも分からない閉塞感…。どうしようもない虚無感…。負の連鎖…。
しかし彼らは逃げずにそこに踏みとどまる。そこのみのそこは底なのかもしれない。
しかし彼らは見つけるのだ。そんな底の世界で…。
幸せや希望を見つけるのに上も底も無い。
そもそも幸せかどうかなんて他人が決めることではない。
他人の目には不幸に写ろうとも当人たちが幸せを感じたなら、それは間違いなく幸せなのだ。
どんなに酷い環境だろうと、どんなにキツい状況だろうと何とかしようと生きていれば、輝ける一瞬や希望の光が射す日が来るかも知れない。
その日のために今の苦労はや悩みは必要なのかも知れないのだ。
達夫も千夏も拓児も悪い人間では無い。私は好きだ。
なぜなら彼らは不器用ながら一生懸命受け止めようとしているからだ。
潰されそうになりながらも必死に生きているからだ。
それは自覚と責任感がなければ出来ることではない。
誰だって幸せになっていいんだし、幸せになる権利がある。
希望の光を浴びて歩き出せ!そんな思いでいっぱいになった。
とても良い映画でした。駐車場代と合わせて3000円ほど使ったけど、それだけの価値がある映画だったので満足です。
呉監督はじめ作り手の皆さん。演者さん。関係者の皆さん、素晴らしい作品をありがとうございました。
高橋和也
綾野剛も池脇千鶴も菅田将暉も素晴らしかったけど、高橋和也!
リアル男闘呼組世代としてスタンディングオベーション。
劇中の役に絶対に何処かに今も生活してるであろうと観てる人に感じさせるって凄い。
『そして父になる』でも彼が出てくるだけでリアリティが増したもんなぁ。
夢みたいに現実逃避させてくれる役者さんも好きだけど、ちゃんと体臭を匂わせる役者さんは偉大。
ストーリーは想定の範囲内だけど役者さんが皆素晴らしかった。
更なる絶望の淵で暗く輝く千夏に魅せられました。
非常に良かった。
登場人物達を哀しくも輝かせる設定/脚本を軸として。
魅力的な映像表現と、役者陣の素晴らしい演技。
圧倒され心奪われました。
特筆すべきは全てに呑み込まれつつ暗く輝く、池脇千鶴演じる千夏。
初登場の場面から滲み出る頽廃感、そして熟れた肉感。
顔立ちの可愛らしさとのアンバランスも相まって不安定な印象すら受けます。
そんな彼女が過酷な環境下で見せる表情、仕草。
「そうだよね…」という寂しく哀しい佇まいは暗い魅力に溢れていました。
不幸になればなる程、魅力的な佇まいを見せる千夏。
話が進むにつれて感情移入し、彼女に幸せになって欲しい、いい加減幸せになってくれ!!と思う反面。
心の何処かで更なる絶望の淵で暗く輝く彼女をもっと観たいと思う気持ちも。
矛盾した気持ちを抱えつつ作品に没入していました。
そして迎えるラスト。
矛盾する気持ちは一つの結末を踏まえ昇華され。
そしてフッと差し込まれる最後の場面。
…終わり方含めて最高でした。
余計な説明台詞はなく映像で魅せる本作。
終盤に漏れる父親の言葉をどう捉えるか。コイツ今まで分かっていてアレを…等々。
場面場面の解釈を同じく観た人たちと談義したくなる作品でした。
オススメです。
俳優陣がすごい
今のご時世、生臭い要素を排したお涙頂戴のイイお話し映画が多い中、底辺でもがき苦しみながら生きている人々に真正面から向き合ったこの映画に敬意を表したい。まず池脇千鶴さんから発する薄幸感がすごい。今回の役柄はドラマ・ゴンゾウで演じたキャラにかなり近かったので、満島ひかりさんあたりに演じて欲しかった気もする。拓児を演じた菅田将暉は素晴らしい。今後を期待できる俳優だ。綾野剛に付いては何も言うまい。綾野剛主演という事でお金が集まった映画だと思うから。あと、、火野正平の存在感が凄い。日本のエドハリスと言うべきか。
揺さぶられた
今までにない「感情を揺さぶられる」作品でした。切ない、可哀想、そんな浅い感情ではなく、もっと心の奥深くに響くような。
気付いたら泣いていました。
映画を観ていると云うより、誰かの人生を見てる感覚。役者さんが演技ではなく本気だからなのかもしれない。
全体的に静かであまり台詞は多くないけれど、主人公たちの個々に抱く葛藤はとても激しい。尚更それがリアルに感じました。
9割が絶望的であるけれど、残りの1割がとても眩しく美しい光に包まれる時があり、それによって少しでも前に進める、生きていける。
私も、きっと皆も同じなのだと思えました。
素晴らしい作品に出逢えたと感じます。
出演者たちの演技が素晴らしい
綾野&池脇を彩る脇役勢、特に菅田将暉は朝ドラ「ごちそうさん」の好青年とは正反対の不良少年役を熱演。演技力の高さに驚いた。
高橋和也が下品で暴力的な役どころを見事に演じていたのも印象的。既に「元ジャニーズ」という肩書きは不要のキャリアを積んだ役者なのだが、個人的には「よくぞここまで良い役者になってくれた!」と、デビュー作のアイドル映画を観ている世代としては感無量。
生々しく息づいている
達夫が千夏が拓児が、生々しく息づいていました。観て本当に良かったと思いました。
音楽も素晴らしい。呉美保監督の他の作品も観てみたいと思いました。
綾野剛、池脇千鶴の代表作の一つになることは間違いなかろうと思います。
それに菅田将暉演じる拓児、可愛くて哀しくて、思い出すだけで泣きそうです。火野正平、高橋和也、伊佐山ひろ子、田村泰次郎も、流石の存在感でした。
底光りの愛。
不遇の作家、佐藤泰志の同名小説を映画化した作品。
原作は読んでいないんだけど、監督が呉美保だったので、
何が何でも絶対観てやる!と思っていた作品。ナニこの時間?
と思えるほど酷い上映設定の中、無理を押して観に行ってきた。
結果。…大正解!
これほど役者とストーリーの力を映像表現のみで感じられるとは
思っていなかった。こういう作品は、もっと拡大公開して欲しい。
格差に喘ぐ貧困世帯が多くなっている現代の日本社会に於いて
笑いごとで済まされない話である。老人介護や風俗や肉体労働が
生活に与える影響はことのほか大きい。全ての若者が頑張って精を
出して働いても「働けど、働けど、我が暮らし楽にならず」が蔓延る。
とある事故で仕事に就けなくなった主人公がパチンコ屋で知り合う
のが、寝たきりの父・介護する母・夜も働く姉を持つ仮出所中の男。
演じる菅田将暉の素直で人懐っこいキャラクターがとても新鮮だ。
彼に感化され、その姉に心惹かれる主人公が自らの人生を立て直す
ために、彼らに力を貸したいと思う過程には共感必至なのだが、
世の中そうは巧くいかない。立ちはだかる様々な問題に彼らは左右
させられ、終いにはボロボロに傷付く。それでも大切なものは何かを
きちんと分かっている人間にとって、ここからが強いことが分かる。
彼らに共通しているのは、それでも生きていこうとする、
ずっと家族を支えていこうと粘る、直向きな愛ゆえの行動力である。
特筆に値するのは、綾野と池脇が結ばれゆくシーンの丁寧さ。
観客はここで、自身とパートナーとの行為を思い起こすことになる^^;
愛する人と抱き合うことがこんなに温かく、優しく、静謐であるのを
こういう表現法で描き切った監督の手腕はお見事で、それに応える
二人の演技もアカデミー賞クラスである。愛し合うとは、こういう
行為のことをいうんだよと、例えばこれからそれを経験する若い衆に
観てもらいたいと思うほどで(ホントに)伝わる描き方には涙が溢れた。
「大切にするよ」と軽々しく口にするんなら態度で示せ、が相応しい。
性的な表現が凄惨な描写を見せる場面もあるが、
どん底。を味わった人間は、あとは上に上がっていくしかないので、
何でもやってやる。請け負ってやる。怖いものなどない感覚がある。
自身の心持ひとつで、誰かを助けたり、愛したりすることもできる。
何はどうあれ、運命は拓かれている。彼らはきっとこれからもここで
生きていくのだろう…というメッセージが、光輝く朝陽の海辺だった。
(綾野、池脇、菅田、高橋、火野、伊佐山、田村、皆さん凄い名演技)
生きることの美しさ
この作品が今年ベスト級の理由
その①
美しいラストシーンから文学的なタイトルの流れが素晴らしすぎる。これほどまでに作品とタイトルが一体になっているのは見たことがありません。最早タイトルではなく字幕?というか声のないナレーションに見えました。僕は最後にタイトルが出る映画が好きなのでこれは本当にたまらない。
その②
誰もが語る3人の演技アンサンブル。特に仮面ライダーWを見ていた僕としては菅田将暉君がこんなすごい役者になっていたのかと驚きました。そんな個人的思い入れもあって彼のはしゃぐ姿はたまらなく愛おしく微笑ましく、顛末には心揺さぶられずにいられませんでした。綾野剛さんの演技は『白ゆき姫殺人事件』で初めて見ましたが、本当にダメ男が似合いますね。嬉しくなるぐらい似合ってます。『白ゆき~』とはまた違う感じのダメさでしたね。池脇千鶴さんの美人すぎずやさぐれている感じ、リアルな体型や髪をかきあげる仕草がなんとも言えない!
暗く、重く、汚いけどどうしようもなく美しく愛おしい一本。ラストシーンは必見。
役者の演技がピカイチ!!
映画のストーリー云々より、役者さん個々の演技がとても素晴らしく印象に残っています。
特に池脇千鶴さんはこの役の為に太ったと思うのですが、日本の女優さんで役の為に痩せる人はたくさんいるけど太れる人ってあまりいないのでその体も見所。
若手実力派の菅田くんも台詞の間合いなど細かい所まで抜かりなく役になりきっていてこれからも期待大です!
このラストは本当に光輝くな!人間の底力、生きる事の美しさに胸を打つ
TVを普段見ない私は知らなかったのだが、池脇千鶴と綾野剛のカラミがTVのCMスポットで流れて話題になった映画らしい。
普段映画を余り観ない友人から、どんな映画か?と連絡が入った。
でもこの作品はそう言う事ばかりを気にして観るような親父には向かない作品だよな~と思って、どう薦めたら良いのか正直迷う作品でもあったのだ。
だがしかし、考えてみれば、あの北の外れと言っては申しわけないのだが、釧路などの北海道の地方都市と言うか、地方の街に住む人々の暮らしや、この映画の原作者の佐藤志が小説に描いていた時代は、高度成長から取り残された様な貧しさの色濃く残る地方色の濃い世界観と言うのは、やっぱり親父世代の、昭和ッ子、昭和生まれの人間か、実際に今も地方でしっかりと地に足を付けて、生れ故郷を大切に護り暮している人々でないと本当の意味でこの作品が描いているような世界観を理解するのは難しいのかも知れない。
私は昭和生まれでは有るけれど、東京近郊で育ち、旅行以外で地方都市を訪れる事は無い。地方の暮らし経験が無い私は、正直この映画が描きだす、仕事も思う様に無く、只真夏のけだるさのようなジリジリと身体と心を蝕んで行くような時間の流れは想像が着くけれども、本当の意味では理解出来ていない。
いつも時間に追われてはいるが、どんなに嫌な事であっても必ず継続しなくてはならない仕事と言うものは都会では無いのだ。
確かに転職は難しくても、自己の選択で人生の方向転換を図る事は何時でも出来るのだ。そう困難な状況ばかりではなく、自分の強い意志が新たな目標を達成させてくれる事が出来るのが、都市生活なのだからだ。
こう言う絶望だけが渦巻くような環境・・・その救いの無い日常に諦めて屍の様に生きる若い千夏。
そして仕事の失敗から立ち直れずに、自分の生きる場所を失い、迷路にはまった達夫。
この2人がお互いの中に、似た者を投影して、魅かれ合うのは自然な事だと思う。
だが、本当に辛い、話だ。
確かに素晴らしい作品だった。映像的にも自然の美しさや、お祭りで盛り上がる地方色の有る空気感が、画面から流れ出て来て見事だった。
そして千夏の弟拓児をあの「共喰い」で驚く様な芝居を見せてくれた菅田将暉が今回も
あっと驚くラストを飾る。
でもこの作品の一番の驚きは、女性監督、しかも未だ若い呉美保が撮った作品である事。
彼女は大林監督の作品からスタートしていると言う事は大林監督が北海道で映画製作の人材を育てている、その中から誕生した一人なのでしょう!益々今後が楽しみな監督です!
琴線に触れた。
チケット売り場で「始めがつまらない映画は最後までつまらないのよ、だから帰っちゃうわ」と得意げに語る人に、心のなかで「いやいや、そんなことない作品だってありますよ、おすすめ致しましょうか」なんて偉そうな態度をとっていたのですが、たしかに映画におけるオープニングは物語というフィールドに鑑賞者が降り立つ第一ポイントであって、そこでの直感はあんがい怜悧なものだったりして、そのままTHE ENDみたいな作品は多々あったなぁと本作を観ながら思っていた私ですが、ああ、まさか我の未熟さを知るとは。
ああ、自分の苦手なタイプの作品だ。と直感したのは『共喰い』(青山真治, 2013)の菅田将暉が出演していたのも起因するでしょうが、この間延びしたかのような尺の取り方や、気怠いカメラワーク、男と女の関係、家庭崩壊、またその周辺を謂わば修飾的に描く作風にうんざりしていたがためでした。
しかし、本作は、前半こそ起伏の無い物足らなさがあるものの、後半は「琴線」に触れた!その確かな想いがありました。
野方図に暮らす主人公がパチンコで逢った一人の青年へ火を貸したことから家に招待され、アルツハイマーの父、介護・性処理をする母、そして一人の女に出逢う。
登場人物が「何をしている人間か」つまり何の職に就いているのかは、漸次明らかになり、その方々で生活上の障害が見えてくる。働かなきゃ食えない、そんなの知っている。どんな類いの仕事でも生きるためにはやらなければならない。本望でなくても、稼がなくてはならない。水商売が何だか良く分からない価値観で以て非難されようが需要はあるのであって、金銭で清算されておしまい。
女は、ある社長の相手をして、その誼みから仕事を貰う弟の青年。
言うまでもなくこのような舞台で冷静沈着理性を携え続けるのは不可能ですから、私は、酒を浴びるように飲んで引火率を上げて、あたかも導火線のようなタバコに火をつける彼らがいつ爆発するのだろうと気が気で無い状態でした。ライターからする摩擦音、あれが非常に怖くもありました。
目には映らない燃え上がる炎を纏った身体に、毛布が被さって消火するかのように抱き合うシーンの数々。
性描写も、素直な表現で(もっとも一方の支配的性描写は憎々しい)、自然現象に映りました。
また、BGMは最小限に抑え、鑑賞者が当該シーンのより良い捉え方を見失いかねない際、ひとつのヒントとして旨く使われている印象を受けました。
『そこのみて光輝く』のタイトルからして、「光」を探してしまいがちですが、光とは例えば夜明けの太陽とか、本来自然界に存在する、私たちの「照明」でしょうから、物語を通じてはやはり自ずと見えてくる美しさに焦点を置くべきだと感じます。
ラストシーンの絶妙な朝日の入射角は二度と撮れない奇跡と言って過言ではないのでは。
私が、本作をどうしても評価したい、その要素の一つに「一人も死なない」ことを挙げます。純粋なドラマには傷こそ必要なときもありますが、人の死で物語を遮るのは、もう現代じゃ通用しないんじゃないかな、そう信じてやまないわけです。
女は強し!
綾野君と菅田君の大ファンなので、観に行きました。
綾野君と菅田君のツーショットは もう とても感動しました。
菅田君は仮面ライダーWで主役を演じてから 色んな役にチャレンジ
して 名優ともどんどん共演して とてもいい仕事をしていると
思います。今回の役どころも 良かったです。
それと どん底暮らしでもたくましく 生きていく女性を池脇千鶴が見事に演じてました。
色んな物語がありますが、やはり家族を守るとなると 女は強いですね。
綾野君も良かったのですが 今回は池脇さんと 菅田君に おいしい所は持って行かれてしまったかな?と言う感じです。
そうして生きていくしかない女と、トラウマを抱えて生きている男。
この映画、たぶん、自分の人生を振り返ってみて、痛い思い出を抱えている人ほど、身に染みてくるのだろう。
光差す「そこ」を、健気に守ろうとする千夏が、愛おしくも狂おしい。
綾野、池脇、菅田、もちろんよかった。だけど、高橋和也がこれほどいいとは今まで気付かなかった。
浜辺で二人が佇むところで映画が終わる。即座に、あばら屋の壁に千枚通しで書き付けたような、痛々しく尖んがった字のタイトルバックがどんと出た。すっかり意表を突かれてしまった。
そのせいか、息を止めたようにエンドロールを見送りながら、例えようのない感情がこみ上げてきて、じわりと涙が流れてきた。
観終わってもまだ、佇むふたりの残像が脳裏にへばりついている。
たくましい女。弱い男。
二回鑑賞しました。
一回目は男と女の視点で観ていましたが
二回目は家族の存在を考えさせられました。
寝たきりの父と介護疲れの働かない母。
仮釈放中のどうしようもないがかわいい弟。
この家族を女は食べさせて行かなければならない。
自分しか稼げる者がいない。
そして男と出会う。
哀れで悲惨で恥ずかしい暮らしをしているこんな自分でも
好意を持ってくれる人がいてくれることに
次第に女はこれ以上の幸せと希望を感じたのである。
最後のシーン。
どうしてあの状況の中、辛くて悲しくて泣き叫んでいたのに
女は微笑みを浮かべる事が出来たのでしょうか。
自分を捨てて身も心も削って必死に生きている姿を
池脇千鶴はリアルな演技で見せつけてくれました。
どん底の状況の中でも必死で生きている人の姿を見ていると
独りでなんとなく生きている今の自分が悲しく思えてきました。
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