東ベルリンから来た女

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東ベルリンから来た女

解説

ベルリンの壁崩壊前の東ドイツを舞台に、秘密警察の監視のもと西側への脱出を計画する女性が、ある決断を下すまでの日々を描いたドラマ。2012年・第62回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞した。東独の田舎町の病院へ赴任してきた美しい小児科医バルバラは、西側で暮らす恋人のもとへ脱走する計画を進めていた。しかし、誠実な医者の男に出会い、バルバラは医師としての自分を求められている東の生活と、自由で豊かな西への生活、そして2人の男性の狭間で揺れ動く。

2012年製作/105分/G/ドイツ
原題または英題:Barbara
配給:アルバトロス・フィルム
劇場公開日:2013年1月19日

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映画レビュー

4.5海から西へ

2021年8月30日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

幸せ

旧東ドイツの良かったといわれることはたくさんある。女性が問題なく働ける、子どもを預ける施設が充実している、女性が経済的に自立しているから離婚率が高い、当事者である女性の意志で堕胎できる。このようなことは、西ドイツに併合される形でなされた東西ドイツ統一以降はわりとあるいはかなり難しくなった。 この映画を見てとてもやるせなくなった。まだ10代の女の子たちが「作業所」と称する所で肉体労働をさせられている。Stellaという名前があるのに番号で呼ばれる。だから病院で「彼女」とか「あの女の子」でなく「ステラ」と名前で呼んでくれた女の先生、Barbaraにステラが信頼を寄せたのは当然だ。ステラが言ってた。作業所では使い捨てにされるからと。この部分のドイツ語は、ナチの強制収容所がしたことを表す語だったのでドキッとした。西に行きたい、こんなクソな国から出て行きたい!ステラだけの叫びではない。自由に移動したい! あんな風にあからさまにシュタージに監視され部屋の中だけでなく真っ裸にさせられて体内までチェックされるとは…。こんなに凄いとは思わなかった。同僚や官舎の管理人も協力者として行動や様子を報告する。ちょっとした音にも敏感になり町を歩いていても誰かと話していても油断ができない生活。誰とも親しくなれないしなりたくないしぐっすり眠ることもできない。 西ドイツは連邦制だから首都がボンだろうがベルリンだろうが首都に対するコンプレックスはない。でもソ連の優等生であった旧東ドイツはソ連に倣って中央集権なんだ!アホな私はわかってなかった。首都ベルリンはドイツの中心で都会ですべてが一流。それに対して海に近い小さな北の町なんて田舎も田舎の二流、三流。卑屈なメンタリティーが生まれる。 バーバラは、自分を心から信頼しているステラ、未来が待っている若いステラ、女であるステラ、出て行きたいステラに自分の思いを託して決断する。他にも居る「ステラ」や「マリオ」のために自分は医師としてすることがある。バーバラは医師という職業を真摯に受け止めているアンドレに出会った。アンドレという名前の、優秀で尊敬できる同僚に初めて出会った。 おまけ アンドレが往診に行った所で貰った野菜、トマト、ズッキーニ、玉ねぎ、ナス…ラタトゥイユができるよ!とアンドレの家に招かれたバーバラ。優しい顔になってた。料理なんてしない彼女。君が来てくれて嬉しいと、いきなり初めてduを使ったアンドレをハグするバーバラ。いい場面だった。

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talisman

5.0二人の医者としてのミッションが一致した。

2021年4月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

東ベルリンと西ベルリンの狭間に生きてきた人たちの映画やドキュメンタリーをいくつかみているので、これも選択肢に入れた。しかしこの映画は東ベルリンから東ドイツの田舎のバルト海が見えるところで生きている(いく)バルバラという女医の話だった。 先ず、千九百八十年東ドイツでと字幕が出る。千九百八十九年に東西一緒になったから、その前の映画で、かなりの人々が西に移りたい様子がよくわかる。以前、東に残った人と西に移った人のドキュメンタリーを観たことがある。 この映画はバルバラ(ニーナロス)が東ベルリンのシャリテー – ベルリン医科大学の大病院から田舎のバルト海の近くの病院に左遷されてくるところから始まる。この映画で好きなところを3つぐらいあげてみたい。 1)バルバルはステラという患者をステラと呼ぶが、アンドレは『彼女は』と言う。それをバルバルはステラと言うようにと。もっと患者に個人的に接するように、名前で呼ぶようにと。これは重要で、『彼女』が何人もいるけど、ステラはこの患者一人だと言う指摘だと思う。 2)アンドレ(ロナルト・ツェアフェルト)はオランダのハーグに行ってみたいと言った。レンブラントの作品The Anatomy Lesson of Dr. Nicolaes Tulpについて話しているが、この死人はAris Kindt で泥棒して死刑になった人で、この左手を解剖していて、それが誇張されて描かれていると。これは、アンドレが自分の考えていることや好きなことをバルバルと共有したいと言う気持ちが現れている。それに、アンドレの医者としてのミッションがここで現れていると思った。間違って解釈しているかもしれないが、医者は患者のAris Kindtの立場で、これを観察している研修医の立場ではないと。私は魅力的な人だと思った。彼女はこの絵画の彼の解釈にあまり興味を示さなかった。 3)この映画の中でバルバラは医者として成長してきていると思う。なぜかと言うと、アンドレが末期癌の女性、秘密警察の妻を自宅訪問して看護しているのを知って、彼が自分の人生をこの仕事に捧げているのを見て驚いるようだ。これを見てから自分の道も決めかねているようだった。それに、西にいるボーイフレンドの『西に来たらはたらかなくいいよ』という考えが噛み合わなかったように見えた。それだから、アンドレにより好感をもってきたように見えた。アンドレはただ彼女を優しい眼差しで見つめているだけで、自分がどういう人間かをレンブラントや書物などによって、現そうとしたが、結局は、彼が医者として訪問医をしている姿が、バルバラに印象的だったようだ。アンドレは紳士で彼女を食事に招待した時、初めてバルバラに気持ちを告白した。それも、『あなたがここにいて、しあわせ』と。ただこれだけが、彼の精一杯の告白で深い愛の気持ちだと思った。 最後のシーンでバルバラはボーイフレンドに手紙を書いてステラを自分の代わりにボートに乗せた。この行為がアンドレの医者のミッションと同じで、ここで二人は結びついた。 バルバラがマリオを見守っているアンドレのもとに戻ってきた時、アンドレの目は嬉し泣きのようで目に涙がにじみ出ていた。アンドレの心の悲しみがとれた。 P.S.アンドレが摂氏と華氏を間違えたと言った。それはニュージーランド製品だからと。ちょっと不思議に思って調べてみたらニュージーランドは1969年に華氏から摂氏に変えたと。

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Socialjustice

2.5決断

2016年2月6日
iPhoneアプリから投稿

熟考てなく、瞬間なんだなぁ。

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薫

3.5極端に冷たい女と極端にお人好しな男

2014年6月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

単純

幸せ

寝られる

頑なにつれない女を描いているので、このキャラが気にくわない人には見てられない映画だろうが、静かな展開を上手く表現できていると思う。 曇りがちな空模様や簡素な町の佇まいがきれいに映し出されていて映像も申し分ない。 ほとんどBGMがないのも合っている。 まあシナリオの地味さ加減をよくおぎなっている、という印象が強い映画。

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okaoka0820