山いぬ
劇場公開日:1971年6月1日
解説
新国家体制にはなったが封建的土地所有関係が残るシシリーを舞台に土地権力者に土地と父を奪われた若者の復讐を軸に、シシリーの風俗、習慣、民族を描くアクション社会劇。製作は「ワーテルロー(1970)」のディノ・デ・ラウレンティス、監督は「汚れた英雄」「ミラノの銀行強盗」のカルロ・リッツァーニ、ジョヴァンニ・ヴェルガの小説「グラミニアの情婦」をリッツァーニとウーゴ・ピッロが脚色、撮影はシルヴァーノ・イッポリティ、音楽はオテロ・プロファツィオ、編集をフランコ・フラティチェリが各々担当。出演は「東風」「仁義」のジャン・マリア・ヴォロンテ、「イタリア式クライマックス」のステファニア・サンドレッリ・「ヨーロッパの解放」のイヴォ・ガラーニ、「デボラの甘い肉体」のルイジ・ピスティリなど。
1969年製作/イタリア
原題または英題:L'Amante Di Gramigna
配給:NCC
劇場公開日:1971年6月1日
ストーリー
一八六一年、シシリー島(シチリア島)は赤シャツ義勇軍によりサルデーニャ王権のもと、統一新イタリア王国となった。六五年の同島。グラミニア(J・M・ヴォロンテ)は父と小さい農場を持つ家に住んで居たが、金に困った彼等は土地を隣接する金持の牧畜業者ナルド男爵(I・ガッラーニ)に売る事にした。土地を売った金を手にしたグラミニアは翌日、役場の吏員と警官の訪間を受ける。家を渡せというのだ。確かに彼は売買契約書にサインをしたのだが、売った土地の中に家も含まれていたのを非識字者の父が判らずペテンにかけられたのだ。歯がみして口惜しがったが仕方なかった。男爵は家をジェンマ(S・サンドレリ)一家に貸し与えた。ジェンマは男爵の部下ラマロ(R・ピスティリ)と婚約中の間柄だった。腹の虫がおさまらぬグラミニアは売買契約の仲介をした弁護士の家に怒鳴り込むが、弁護士は逃げ口上ばかりで、カッとなったグラミニアは波の家に火を放ってしまう。その留守中、グラミニアの父は男爵に唆されたラマロに惨たらしく殺される。彼は山に逃れ、欺いた男爵一味に復讐しようと誓った。或る日、ジェンマの許へラマロの母と伯母が訪ね習慣に従って身体を見せるように要求した。裸身を見せてから贈られた結婚衣裳を着て見せるのだ。そこにグラミニアが現われた。頭に血が上っている彼はかつて自分の物であった家に火を放った。ラマロが彼を撃つが、グラミニアは素早く姿を消した。ジェンマもどさくさに紛れて山に逃げるが、洞窟の中で傷ついたグラミニアを見付けて介抱する事になり、一緒に暮らすようになった。数日後、傷が癒えたグラミニアがいない間にラマロと仲間がジェンマを捕えた。野獣のような男達は彼女を輪姦するが、ジェンマは隙をみてラマロの銃を奪い彼を射殺する。その頃、あこぎな男爵のブドウ園で働き、非道な収奪関係に屈従していた農民達も世の中の動きや、グラミニアの行動と煽動の影響もあり、その怒りが爆発し、男爵は彼等の手により惨殺される。グラミニアが駆けつけた時には男爵は殺されていたがその仇敵の死骸に彼は恨みを込めた銃弾をブチ込んだ。この時、守備隊の兵士達が到着した。彼等にとってグラミニアは最早、単なる飢えた“山いぬ”ではなく社会秩序を乱す暴徒=革命者であったのだ。彼等はグラミニアに銃弾の雨を浴びせた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- カルロ・リッツァーニ
- 脚色
- ウーゴ・ピロ
- カルロ・リッツァーニ
- 原作
- ジョバンニ・ベルガ
- 製作
- ディノ・デ・ラウレンティス
- 撮影
- シルバーノ・イッポリティ
- 音楽
- オテロ・プロファツィオ
- 編集
- フランコ・フラティチェリ