ファミリー・ツリー

公開時に映画館で観て、BS松竹東急の吹替版で再見。冒頭、リゾートの陰の部分として、ホームレスらしき人や、みすぼらしい身なりの人が映る。これが雪の中だと悲惨だが、陽気がいいので切羽つまった感じはしない。ただ、楽園にも貧困が存在することがわかる。しかし、主人公のマットは弁護士で、王族の末裔で資産もあり、貧乏とは無縁である。そんな何不自由ない生活に、事件が起こる。妻が事故に遭い、意識不明の重体となってしまったのだ。急なことで、家事に仕事に、今まで放ったらかしだった次女の世話と、てんやわんや。そして、ハワイ島の寄宿学校にいる長女から、妻について重大な秘密を明かされる…。

ハワイ、いいよね。憧れる。海のそばではなく丘の方に建ってるって、高級住宅地だよね。家の中も素敵だけど、色とりどりの花が咲く庭もいいし、プールまであって最高だー。ああ、羨ましい。その画に流れるハワイアンソングがまた、ゆったりしていて癒される。「ヒイラヴェ」、「カウアイビューティ」、「ウリリエ」、トラディショナルな名曲が次々に。いやー、話の内容と関係なく、聴いてるとほぐれる。

王族の末裔は、カウアイ島の広大な土地を受け継いでいる。親族共有で所有し、マットが代表者になっているが、売却する計画が進行している。売却したら、ホテルリゾートになるらしい。そりゃーいい値で売れるんだろうね。でも…自然環境とか、ヘイアウ(聖なる場所)とか、それはいいのかな。やっぱ良くないよね。この土地にはマナが宿っている気がする。守り伝える方が、マット達がハワイアンでいられるのではないかな。

壊れそうだった家族が、再生する物語。ラストのカウチでアイス、がほんわかあたたかい。何でもない日常が、大切で愛おしいことを実感できる。

BS松竹東急の放送を録画で鑑賞。

　吹き替えの録画を視聴。
　BGMのギターの音色がハワイらしさを引き立たせている。

　入院中の妻と、娘二人の親である主人公マット(ジョージ・クルーニー)は、まるで『となりのトトロ』のサツキとメイのお父さんのようなポジションだか、ファンタジー要素は皆無で人間ドラマが展開される。

　先祖から受け継いだ土地や命、豊かさの意味と尊厳死について考えさせられる内容であった。

原題は The Descendants
子孫たち。
原作の小説があり、アカデミー脚色賞受賞。
ハワイのカメハメハ大王の子孫の曾祖母が白人事業家と結婚して、カウアイ島の風光明媚なプライベートビーチを含む一族の広大な土地の代表権を持つ弁護士（ジョージ・クルーニー）。ジェットスキー事故で脳死状態に陥った妻が生前浮気していたことを娘に明かされる。浮気相手を探す旅に娘2人を連れて行く。妻の生前の尊厳死の意向に従い、機器を外して死を迎えさせようとする一方で、一族の土地を譲渡する代表権を持つ彼は、姉弟、従兄弟たちから売却するならハワイの不動産デベロッパーにと託される。しかし、妻の浮気相手がこの取り引きの不動産仲介会社社長であったこともあり、売〜らな〜い、と土壇場サインせず。

最後は娘たちと妻の遺骨を海中散骨。
散骨はハワイの原住民の習わし。

バックで次々に流れるハワイアン、きれいな景色にも癒されるが、この話自体には没入出来ず、目頭も熱くならず。ハリウッドの厚かましいほどのご都合主義に辟易。ダブル不倫に母親の死を受け入れられない娘たちとか、とても重い内容の割にかる〜いコメディ調の脚本。
長女役の女優さんは若いのになかなか上手かった。