ヒミズのレビュー・感想・評価
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園監督作品は何本か見てるけど、この作品が一番希望がある終わり方だっ...
園監督作品は何本か見てるけど、この作品が一番希望がある終わり方だった。
でも、青春モノなのに、ほろ苦い・甘酸っぱいものではない。激苦い&硫酸くらいの刺激はあった。
住田と茶沢はそれぞれ家庭が崩壊している。
それだけに愛情や温かさを求めているのがひしひしと伝わってくる。
理不尽は理不尽で対抗できない。正義をもってでしか。園監督作品は何本か見てるけど、この作品が一番希望がある終わり方だった。
でも、青春モノなのに、ほろ苦い・甘酸っぱいものではない。激苦い&硫酸くらいの刺激はあった。
住田と茶沢はそれぞれ家庭が崩壊している。
それだけに愛情や温かさを求めているのがひしひしと伝わってくる。
理不尽は理不尽で対抗できない。正義をもってでしか。
生きて。というメッセージ
原作に比べ「普通の少年」が「絶望的な状況」に巻き込まれ結果として「...
原作に比べ「普通の少年」が「絶望的な状況」に巻き込まれ結果として「本当に絶望」してしまうリアリティが足りなかった。もっと普通のシーン、優しいシーンを描いてほしかったし、もっとそれが崩壊していくシーンを描いてほしかった。
そうでないと、あまりにも二階堂ふみ演じる茶沢さんの天使のような存在にリアリティがない。主人公に人間的な魅力がなければ、あれほど想いを寄せる理由がみつからない。
こうした物足りなさはいくらかあるものの総じて面白い作品だったといえる。2時間そこらであの原作の濃厚さをここまで表現出来た事はむしろあっぱれ。無気力で暴力的、それでいてつかみどころのない穏やかさを兼ね備えた染谷と、天真爛漫さ純粋無垢な汚れなき心とその危うさを天才的なバランスで演じた二階堂ふみ。この二人の天才に出会えただけでも傑作。
それでも生きる
個人的にこの手の、結局生きるしかない、系の話が好き。恵まれた環境にいながら生きる意味を見出せないで、いや、そんなものが存在する方がよっぽど異常だ、とか考えてしまう自分としては、限界まで追い詰められた人間がそれでも生を肯定するのがある意味ありがたい。
冒頭で二階堂ふみ扮する茶沢景子に読み上げられ、茶沢さんが住田に紹介するヴィヨンの詩が、この作品の全てを表していると言っても過言ではない。何もかも見えているようで、認識主体たる自分のことが分からないのだから、結局は何も分からない。分からないから、それを否定し切る、要は、自殺なんてことは出来ない。自殺は、自分が分かっていると自信を持って言える人間でなかったら、できるはずがない。
泣けた
納得はいかない
25年ぶりの衝撃
頑張れ住田
陽を見るために
主人公住田は、ただ普通に暮らしたいと願う中学生ですが、平和に生きることすら出来ない劣悪な環境に置かれています。クズから産まれても、自分はクズにはなるものかと意気がっています。しかし父親を殺してからは、自身の中にも「クズ」の血が流れているのかと失望し、ヴィヨンの詩のように、見た目で善悪くらい区別出来るさと、社会の「クズ」を殺しに街へ繰り出します。
住田に好意を持ち、彼を見守る茶沢の家庭環境も同様に劣悪です。彼らの親達は、計画性がないのか、自分達の結婚生活の維持ためだけに子供を作ったのか、結婚が破綻したからお前達は要らないという、とにかく無責任な大人達です。
特に思春期では誰にでも、取り巻く大人達や社会の「クズ」な側面ばかりに目がいく時期があると思います。住田や茶沢の家庭ほど悲惨な状況でなくても、role modelとしたい人物を見つけることも、夢を描くことも難しいでしょう。けれど、夜野のように、自らの危険を顧みず影ながら若者の未来を死守したり、ホームレス仲間達のように、出来ることから助け合おうとする大人達に、見えない所も含めて支えてもらっていることや、世の中「クズ」ばかりではないという事実は、少なくとも住田の目にはなかなか映りません。また、外の世界をどんなに客観的に見ようとも、そこに必ず自身の心のフィルターがかかっていること、ヴィヨンの「唯一理解出来ない自分」の目を通して分かったつもりでいる矛盾にも気付きません。
絶望から彼が救われるのは、同世代の茶沢と同じ愛に溢れた夢を想像し、必ず立ちはだかる壁を乗り越える覚悟が出来た時です。
それまでは担任教師の「夢を持て」や母親の置き手紙の「がんばってね!」などの陳腐な言葉は、他人事のようで全く響きません。しかしラストの「頑張れ」は、障壁を覚悟した者には届くのだと思いました。
どんな絶望的な状況においても生きるために希望を作り出さなければならない、というサルトルの思想を思い出しました。
「住田、頑張れ〜!」の叫び声と共に流れる音楽は"Platoon"のテーマ曲です。被災地もそうですが、目先の利益に眩み軽率な判断で生み出された「戦場」から、本来罪を背負う必要のない若者達が抜け出すための応援歌のようでした。
インパクトある映画
二階堂ふみがウザい、上手い
明るい未来を描けない全ての人へ。
私は園子温作品と「合う」のだと思う。この作品も、私は好きだ。
ぶっとんだキャラクターも。「撮りたい画」に強引に引き摺り込むような作りも。そのわりに単純で真っ直ぐで青くて、ともすれば陳腐とも言えてしまいそうな メッセージも。
苦手な人は苦手なのだろう。でも私は好きだ。
親に愛されないふたりの主人公。そこに希望はない。ひとつもない。
でも、そこにはふたりの命がある。いや、ふたりだけじゃない。ホームレスたちの命も。
結局彼らは生きていて。希望なんてなくても生きていて。ひとりぼっちにもなれなくて。
死んでしまうには少し、もったいないのかもしれない。
今はひとつもない希望を、いつか少し、見出だせるのかもしれない。
明るい未来を描けない全ての人へ。単純で真っ直ぐで青くて、ともすれば陳腐とも言えてしまいそうなメッセージ。
「希望なんてない。夢だってない。でも、それでも、生きていく。」
染谷将太と二階堂ふみの演技については、「すごい」の一言。それに尽きる。
原作は未読。読んでみたいと思った。
茶沢さんのある言葉がとても印象的だったのだが、原作にもある言葉なのだろうか。
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