CUT

劇場公開日:

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解説

イランの名匠アミール・ナデリ監督が西島秀俊を主演に迎え、殴られ屋をして金を稼ぐ売れない映画監督の映画への愛情を描き出す。いつも兄からお金を借りて映画を撮っていた秀二だったが、どの作品も映画館にかけることができない。そんなある日、秀二は兄が借金のトラブルで死んだという報せを受け、兄が自分のために借金をしていたことを知る。罪悪感にさいなまれる秀二は、兄の痛みを分かち合い、借金を返済するため、兄が死んだヤクザの事務所で殴られ屋を始めるが……。青山真治が共同脚本で参加。共演は常盤貴子、笹野高史ら。

2011年製作/132分/日本
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2011年12月17日

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(C)CUT LLC 2011

映画レビュー

4.5映画を好きでいるという孤独な営み

2012年4月6日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

すべてを包み込むような静謐さと、ひりひりと焼けるような痛みと、熱にうかされるような高揚と。観る者のエネルギーの一切を搾り取り、同時に底知れぬ新たなエネルギーを一気に吹き込む(まるで、シュウジが抱えた借金のようだ)。そんな至極の映画体験を、一瞬も絶えることなく存分に味わった。 連呼される「映画」という言葉。初めこそ気恥ずかしさを感じたが、シュウジが地を踏み鳴らす足音と相まって、次第に胸躍るリズムとなっていく。何より驚かされたのは、どす黒い血と汗にまみれた映像に覆い被さる、映画100本のクレジット。文字という単なる記号が、暴力に相対する説得力を発揮する。そして、ビルがそびえる都会の中で明かりを灯す、屋外映画館の幻想的な美しさ…。様々な音が、光景が、今も鮮烈によみがえる。 バーに集う人物たちは、殴られ屋となるシュウジを軸に揺れ動くが、シュウジは最後まで彼らと交わらない。映画という共通項を持つ友人や、上映会に集う人々とさえも。映画を伝えたい、映画について語り合おう、とシュウジは高らかに呼び掛けるが、実際は多くを語らず、沈黙を保つ。 映画を好きでいるのは孤独なことだ、と改めて感じた。日常会話の中で、「映画が好きです」と言うのは、勇気がいる。相手に「私も」と返されると、むしろどきどきする。「映画」は余りにも幅があり、それでいて「読書」のような普遍さがない。どこか特別。映画好き、という共通項を喜びつつも、語り合えば差異があらわになり、逆に溝が生まれるかもしれない、と不安になる。好きなジャンル、俳優、監督、映画を観る場所やツール、…好きのありよう。そんなことまで気になってしまう。 そもそも、映画館の暗闇に身を置くこと自体、心地よく孤独を感じる行為だ。向き合うのは、他者ではなくスクリーン。笑ったり泣いたりする箇所や、笑い方・泣き方にはズレがある。たとえ同じシーンであったとしても、泣く・笑うといった目に見える行動の背景にある思いは計り知れない。映画を好きでいるということは、誰かとの共通項探しや共感以上に、他との違いやずれを感じることで、もやもやとした自分というものを、手探りしつつ確認したいのかもしれない。 だからこそ、映画への愛を秘めながら沈黙を守り、傷だらけになるシュウジから、映画の中の彼らも、映画を見つめる私たちも、目をそむけられない。彼らは映画を救うためではなく、挑戦を貫くシュウジに惹かれて行動を起こす。それでも、シュウジの映画への想いは守られ、鼓舞される。…映画にとっても、シュウジや彼らにとっても、幸せなことに。 映画によって、細々と、そして確実に、私たちは孤独を保ちつつ繋がっている。

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cma

4.5映画の持つエネルギーに圧倒された

2023年12月20日
PCから投稿

アミールナデリの作品は、ファンタジーだ。 彼の映画には、映画という虚構だからこそ、生まれるエネルギーがある。 アミールナデリの魅力は、過去の作品からもわかるように映画という虚構の世界にいる人々の物語が解き放つエネルギーだ。 「駆ける少年」、「水、風、砂」「マンハッタン・バイ・ナンバーズ」・・・「ベガス」全てが、現実には到底有り得ない不可能を映画という虚構の世界で可能にする。 愚直なまでに純粋で単純に表現している。 あれだけ殴られるなんて生きてるなんて有り得ない。 映画のために借金を負って死ぬなんて設定は、有り得ない。 現実に有りえるわけない!なんて現実の尺度で、ナデリ映画を語っても意味がない。 有り得ないを映画で可能にするのがナデリ映画なのだから。 映画という虚構から生まれる確かな実感がある。感動だったり、驚きだったり・・・映画が与える実感。つまらないというのもある意味で映画から受ける実感。 ただ、CUTには、他の映画が解き放たない得体の知れないエネルギーを放出している。 よくわからないエネルギーを実感できる。 間違いなく、これは映画だけが放つあるエネルギーだ。 そもそも映画の中で映画史ベスト100を勝手にやるなんてアイデア自体が意味不明。 だが、これを実現させるのが、ナデリ映画の魅力。 最後の15分が解き放つエネルギーは圧巻だ。 まぁ、このナデリエネルギーを拒否する人もたくさんいると思うけど。

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ちゃんこ

3.0映画が大好きな男が兄の借金を返済するために日々殴られ続けることで金...

2022年9月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

映画が大好きな男が兄の借金を返済するために日々殴られ続けることで金を稼ぐ。 はっきり言って意味不明。 映画愛について描きたいのか、暴力を描きたいのか。 ただ、西島秀俊の鬼気迫る演技は見応えがあった。

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省二

1.0痛々しい

2022年9月2日
iPhoneアプリから投稿
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アンディぴっと