劇場公開日:2010年9月11日
解説
芥川賞作家・吉田修一の同名ベストセラーを妻夫木聡&深津絵里主演で映画化した人間ドラマ。長崎の外れの小さな漁村に住む祐一(妻夫木)は出会い系サイトを通じて佐賀在住の光代(深津)と出会う。逢瀬を重ねる2人だったが、祐一は世間を騒がせている福岡の女性殺人事件の犯人だった……。監督は「69」「フラガール」の李相日。共演に岡田将生、満島ひかり、柄本明、樹木希林。
2010年製作/139分/PG12/日本
配給:東宝
劇場公開日:2010年9月11日
劇場公開日:2010年9月11日
芥川賞作家・吉田修一の同名ベストセラーを妻夫木聡&深津絵里主演で映画化した人間ドラマ。長崎の外れの小さな漁村に住む祐一(妻夫木)は出会い系サイトを通じて佐賀在住の光代(深津)と出会う。逢瀬を重ねる2人だったが、祐一は世間を騒がせている福岡の女性殺人事件の犯人だった……。監督は「69」「フラガール」の李相日。共演に岡田将生、満島ひかり、柄本明、樹木希林。
2010年製作/139分/PG12/日本
配給:東宝
劇場公開日:2010年9月11日
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2024年11月25日李相日(リ・サンイル)監督作品の映像は、綺麗とは言い難い。けれども、美しいはずだ、美しくあってほしいと思わずにいられない。幕切れの二人の顔は、一瞬直視し難いほどにやつれてすさんでいる。それでも、二人の表情は美しい。そんな思いへ観る者を衝き動かす、感情のほとばしりを秘めている。 取り返しのつかない過ち、引き返せない道行き。絶望に押し潰されそうになりながらさ迷う彼らに一筋の光を与えるのは、ふと出会った見ず知らずの人の言動だ。たとえば、無愛想なバス運転手の一言が、突然逃亡犯の身内となった老女を現実世界に繋ぎとめる。それは、胸がすっとする、清涼剤のようなワンシーンだった。極め付けは、娘を失った父の独白。搾り出すような彼の言葉は、渇いた大地に降る雨のように、感情を失い渇いた若者の心にしみていく。 しかし、父はその言葉をいちばん大切だった娘に伝えることはできなかった。(李監督の長編デビュー作「ボーダーライン」で、主人公の少年の心を揺り動かしたのは、たまたま知り合った冴えない中年ヤクザ(本作では主人公のおじ役の光石研が演じている。)との不器用な語らいだったことが思い出される。)本当に大切なことは、身近な人ではなく、行きずりの人から教わるもの。逆を言えば、本当に伝えたいことは、一番に伝えたい人に伝えられない、そんな不条理さを内包しているのかもしれない。 その時、言わずにいられなかった、伝えずにいられなかった言葉。そんなかけがえのない言葉に出会えるのは、理屈や思惑を越えた、偶然とも運命ともいえる巡り会わせゆえ、なのだ。 それにしても気になるのは、「フラガール」の李監督と言われても、「スクラップ・ヘブン」の李監督と言われないことだ。「スクラップ・ヘブン」は、加瀬亮、オダギリジョー、栗山千明による、閉塞的な社会から抜け出し、対決しようとする若者を描いた群像劇であり、「ボーダーライン」と同様に本作と地続きの作品と言える。本作を機に、父を殺した少年のロードムービー「ボーダーライン」は再評価の動きがあったが、「スクラップ・ヘブン」が描いた世界には、まだ世の中がついていけていないようだ。 私は、李監督の「次」が待ちどおしい。李監督作品を観ると、いつもそう思う。 映画には、大別すると「予想される大団円的結末に危なげなく向かう作品」、「あっと驚く結末を備えた瞬発力のある作品」、「どこに向かっているかが最後まで読み取れず、それでいて観る者をひきつける積み重ねから成る作品」があるように思う。李監督は、もちろん最後のタイプ。だからこそ、私は「次」が気になってしまう。李監督はどこに向かっていくのだろう?と。 「スクラップ・ヘブン」で語り切れなかったことを、「悪人」は語ろうとしている。けれども、語り尽くされてはいない。続きは、きっとまだ見ぬ「次」にある。
2010年に鑑賞した作品としては、1位。 李相日監督は、いつだって手がける作品に説得力を持たせており、今作は彼のキャリアのなかでも3本の指に入る出来栄えになっていると、個人的には感じている。 妻夫木聡と深津絵里が素晴らしいのは言うまでもない。岡田将生と満島ひかりが軽薄な役どころを見事に演じ切り、樹木希林さんと柄本明はどこまでも作品に寄り添った演技で観る者の心を打ちのめしてくれる。 それにしても、灯台のシーンは寒かっただろうなあ…。あの容赦のない追い込み方に瞠目させられてしまう。次はどんな作品で、誰をどのように追い込んで、作品世界を構築していくのか楽しみでならない。
「誰が悪人だと思う?」
この映画(おそらく原作も)で言いたいことは、視聴者、読者への問いかけだ。
約束を反故にされて別の男の車に乗った女を山中で助けようとして、逆に訴えてやるとまで言われて、逆上して殺してしまう男。
直後に出会い系で出会いこの男を愛することを誓い自首を止めさせてしまう女。
軽薄で約束すら守らず、助けに来た相手を訴えるとまで言う女。
お金持ちだがワガママで乗せた女を山中で車から蹴り出して置き去りにする男。
その他にも、犯人の育ての親にウジ虫のように群がるマスコミや殺された女を最初に置き去りにした男にスパナで殴りに行く被害者の父親、失踪した姉を心配していたのに事実を知ると保身のために姉を罵る妹、犯人を幼少期に捨てて今更被害者ヅラする母親など悪人候補だらけでした。
たしかに殺してしまう程の事ではなかったのかもしれない。殺人は悪だ。しかし犯人の幼少期に捨てられた過去や現状の生活を考えれば、追い詰められてそうしてしまう気持ちも分からないでは無い。一旦自首することにした犯人を一緒に逃げようと言ってしまう彼女の犯人に対する愛もよく分かる。山中に捨てられる女も犯人に対しては不誠実極まりないし、彼女を山中に捨て去り、後に殺されていることを知っても笑い話にしてしまうボンボンもありえない程酷い。
これらが見事に心情も含めて素晴らしい演技で構成されており、本当に心に突き刺さった。
何が良いって、どんなに出演時間が短くてもその登場人物がどんな人となりで、何を思って日々を過ごしているかがリアリティを持って感じられること。 だからこそ映画全体の 「本当の悪人なんているのか」「見る人によって誰が悪人かなんて変わってしまう」 そういったメッセージが効いてくるんですよね。 特に自分の人生はこの道の中だけで完結してる、みたいな深津絵里の長台詞が良かった。