シックハウス : 特集
閉鎖された病棟で謎の悪霊から逃げ惑う人々を描いたシチュエーション・ホラー「シックハウス」が、この秋、DVDで日本初登場。近年、「ソウ」「ホステル」など限定された空間で繰り広げられるサバイバル劇が人気急上昇だが、本作もその流れに続く隠れた一作。単なるホラーとはちょっと違う“シチュエーション・ホラー”の魅力、そして本作の魅力を分析してみる。(文・構成:平田裕介)
新たなシチュエーション・ホラーの傑作「シックハウス」を分析!
■「ソウ」「ホステル」に続く系譜“シチュエーション・ホラー”とは?
「THEM ゼム」「デッド・サイレンス」などの新作が続々と公開される一方で、「夕暮れにベルが鳴る」「ハロウィン」「13日の金曜日」といった名作のリメイクの公開&製作が続いたりと、ここ数年にわたって大きく盛り上がるホラー。その中でも特に人気を集めているのが、シチュエーション・ホラーと呼ばれる作品群。限定された異常な空間に放り込まれた人々が、様々な思惑や感情を噴出、交錯させながら、そこから抜け出そうと決死のサバイバルを繰り広げるタイプのもので、「ソウ」「ホステル」の両シリーズはその代表格。最近でも、巨大地下墓地に迷い込んだ女性が阿鼻叫喚の恐怖を味わう「カタコンベ」、殺人ビデオの製作スタジオと化したモーテルに夫婦が宿泊してしまう「モーテル」など、同ジャンルの作品が高い評価を得ている。そして、そんなシチュエーション・ホラーの新たな傑作となりそうなのが、この「シックハウス」だ。
16世紀に殺人カルト教団“黒司祭”に所属する神父が、小児ペスト患者を惨殺した猟奇事件が起きたとされる廃屋寸前の病院。なにかに導かれるかのように同病院に集まった美貌の考古学者アンナとニックら4人の不良グループが、突如として出現したペスト・ウイルスを保菌する謎の怪物によって極限や恐怖を超越した状況下へと叩き落されていく。迷宮のような朽ち果てた病院が舞台、そこを徘徊する怪物と蔓延するウイルスという恐怖、そしていかにして脱出を図るのかをめぐる展開は、まさにシチュエーション・ホラーの王道。そして、鉄杭で串刺しになる胴体、鎌で裂かれた腹部から流れる血と臓物といった凄惨なゴア・シーンの数々、鳥を模したフードを被った不気味なクリーチャーなど、従来のホラーの要素をきちんと押さえているのも、ホラーファンには嬉しい限り。
また、ニックたちが持つビデオカメラを通す形で彼らの置かれた境遇、焦燥を一人称視点で映し出す演出は、07年製作の作品ながらも「クローバーフィールド/HAKAISHA」「REC/レック」を先取りしていて実に興味深いと同時に、ダークな色調と相まって観る者の五感を刺激してやまない。
■ホラーに美女はお約束!ジーナ・フィリップスが観る者の心をワシ掴み
さらに注目したいのが、ヒロインのアンナを演じる「ジーパーズ・クリーパーズ」「アリー・myラブ」などの実力派女優ジーナ・フィリップスの存在。古くは「サスペリア」のジェシカ・ハーパーや「フェノミナ」のジェニファー・コネリー、新しいところでは「スクリーム」のネーブ・キャンベル、「蝋人形の館」のエリシャ・カスバートにパリス・ヒルトンと、美女とホラーは切っても切れない間柄。本作でもジーナ・フィリップスがノーブルな美しい顔を恐怖で歪ませまくり、震え、絶叫しながら、病院から脱出しようと悪戦苦闘する姿を見せつけて、ホラー好きの心をグッと掴む!
だんだんと秋が近づき、夜も長くなり始めた今日この頃。シーンと静まった夜中に、本作でゾッとするのもいいかもしれない?
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「シックハウス」DVD 9月26日リリース!
映像特典:メイキング&インタビューを収録
税込 5040円
発売:CKエンタテインメント 販売:バップ
90分+特典映像16分
カラー/ステレオ、ドルビーデジタル5.1ch/片面1層/16:9/日本語字幕、日本語吹替え