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「北斗神拳」伝承者ケンシロウの死闘を描くディストピア・バトルアニメ『北斗の拳』を再構築し描き直した『真救世主伝説 北斗の拳』5部作の第5作。
南斗狐鷲拳の伝承者・シンに敗北し恋人ユリアを奪われてしまったケンシロウは、奴隷商人に捕らえられ独裁者シスカが支配するゲッソーシティへと送られてしまう…。
シンに敗れてからバットとリンに出会うまでの、ケンシロウ空白の1年の物語が今明かされる!
○キャスト
ケンシロウ…阿部寛。
ユリア…石田ゆり子。
長かったこのシリーズもついに完結。
最終章ではありますが、時系列としては5部作の中で最も前の出来事が描かれています。
本作は原作に描かれていない完全オリジナルエピソード。
この5部作の脚本を手掛けているのは「北斗の拳」の担当編集者であった元「週刊少年ジャンプ」編集長の堀江信彦であり、本作の脚本ももちろん堀江の手によるもの。アニオリではあるものの、一応中の人が手掛けているのだから正史と捉えて差し支えないのではないだろうか。
結論から述べると、なかなか良い出来の作品だったと思う!
一つの物語として綺麗にまとまっているし、作画の乱れもあまり気にならない。5部作の中で最もクオリティが高かったのではないでしょうか!
声優のチョイスも最高✨
本作には飯塚昭三や玄田哲章、青野武、千葉繁といった旧アニメ版の声優が数多く参加している。成長したバットとリンの声を演じていた難波圭一と冨永みーなが夫婦役で出演していたりと、わかる人にはわかるキャスティングが心憎い。
まぁこのファンサ自体は個人的にはどうでも良いんだけど、ベテラン陣の演技は上手さにはやはり痺れるっ!!
青野武さんや飯塚昭三さんの声の重み、玄田哲章さんの剽軽さ、そして千葉繁さんのザ・下っ端ボイス。いや、見事👏
銀河万丈さんや土師孝也さんがいても良かったかなとも思うが、まぁ彼らはあまりにもメインキャストすぎるからしょうがないね。
小山力也や立木文彦、朴璐美、中田譲治、稲田徹といった初参加メンバーも実に北斗らしい良いお声。
本シリーズの芸能人声優には色々言いたいことも多いが、萌え萌えなアニメ声声優やしゃばいイケボ声優を徹底的に排している点には非常に好感が持てます!
そして今回のナレーションを務めているのが漢の中の漢・藤岡弘、であることは特筆に値するでしょう!
藤岡さんの声ってほんとカッコいい。もっとどんどん声優とかしても良いと思う!
アニメーションのクオリティは悪くない。
ただ、ケンシロウのバトルシーンが思ったよりも少ない点は少々不満。ガチバトルはジュガイ戦ぐらいのものだったし。あのサイバーパンクな見た目のジュガイの手下とケンシロウがバトルするくらいの展開はあっても良かったんじゃないの。あんなに派手な見た目してんのにケンシロウと出会いもしない。マジであいつらなんだったんだ…?
肝心のジュガイとのバトルが明らかに省エネ作画だった点も不満である。ここにはもう少し迫力が欲しかった。
とまぁ気になる点はあるものの十分に楽しんで鑑賞しました。五部作の中では一番好きかもしれない👍
ただ、この作品が5部作のクライマックスに相応しいかと言われると…。
本作はまさかの全滅エンド。子供からヒロインまで、ケンシロウ以外の全員が死亡するというなかなか衝撃的なラストを迎えます。
悲劇的な物語がダメだというわけではない。この映画のドラマ部分は普通に良く出来ていると思うしね。しかし、5部作全部観てきてその最後の最後が爆発全滅オチというのはちょっと後味悪すぎやしませんか…🌀
完全オリジナルエピソードという事で勿体を付けたかったのかもしれないが、普通に本作を第1作目に持ってきていれば良かったんじゃないの?そうすりゃこの後味の悪さも解消されるし。
正直、トキ伝の時も「これ順番おかしくね?」と思っていた。
”ラオウ伝(殉愛)→ユリア伝→ラオウ伝(激闘)→トキ伝→ケンシロウ伝”というのがこのシリーズの並びなのだが、これ普通に時系列順に並び替えて”ケンシロウ伝→殉愛→ユリア伝→トキ伝→激闘”にした方がスッキリすると思うんですが…。なんでこれじゃダメだったのだろうか。
シリーズ全体を踏まえた不満点で言うともう一つ。
ケンシロウのブチ切れと共に「愛をとりもどせ‼︎」が流れるシーン。ここ自体はめっちゃアガるんですが、おんなじことを『殉愛の章』でやってんですよね…。
せっかくの大見せ場なのに、2度同じ演出をしているのでインパクトが弱くなってしまっている。『北斗の拳2』の主題歌だった「TOUGH BOY」を流せば良かったのにね。タッポイタッポイ。
もう一つ言わせてもらえば、ジャギ、シン、レイの見せ場が結局シリーズを通して一つもなかったことも問題があると思う。アニオリなんかやってる暇があったらケンシロウvsシンをちゃんとやれよっ!と言う気持ちが無くもない。
ジャギやレイに関しては「何で出てきたんだ?」と言うくらい影が薄い。人気キャラなんだから彼らのエピソードも5部作のどこかで描くべきだったし、それが無理なら最初から今回のシリーズには登場させるべきではなかった。
今5部作の総評としては、新規を取り込みたかったのか従来のファンを喜ばせたかったのかがわからなかった、というところか。
楽しめはしたのだが、やはりあの長大な物語を5作に纏めるのは無理があったように思う。
…ユリアのお腹に赤ちゃんがいたけど、あれは本当にケンシロウの子供?ラオウとかシンの子供の可能性もあるんじゃ…。産まれてきた子供の髪が超サラサラだったり、異常に眉間にシワが寄ってたりしたらまたケンシロウが絶望しちゃう…。
※この映画の公開に合わせ、ケンシロウとユリアの「結魂式」とかいうサブいイベントをやったらしい。
まぁそのイベントの中身については断片的にしかわからなかったからとやかく言うべきでは無いのだろうが、本作のエンドクレジットに「結魂式PARTNERS」という項目があり、そこに荒木飛呂彦先生の名前が。先生何やってんすか!?
※※エンドクレジットの宣伝協力の欄に、結局最後まで集英社や「週刊少年ジャンプ」の名前はなかった。小学館や新潮社は表記されてるのに…。
「週刊コミックバンチ」立ち上げの際に色々と揉めたのかしら?映画の内容よりもむしろそっちの方が気になる。
※※※ケンシロウを介抱してくれた一家の母親、サヤ。
彼女の見た目めっちゃ「ドラゴンクエストⅥ」のミレーユに似てない!?良いのかこれ?