POVを用いたスペイン製ゾンビホラー。
スペイン国内で大ヒットを記録し、その後ハリウッドリメイクもされた作品である。テレビリポーターが消防士に密着するというドキュメンタリーを撮影している際に、あるアパートからの通報を受け、そこに向かうと…という展開で、アパートに入った途端に話が急展開を見せ、瞬く間に阿鼻叫喚の地獄と化していく。その狭くて暗いアパート内の出来事の臨場感と恐怖感が凄まじく、良すぎる位のテンポで物語が進んでいく。畳みかける様な演出の為、ドキッとするのが苦手な人には絶対に勧めてはいけない作品である。本編が77分という短さなのも何と言うか潔くて、徹底的に無駄を省いた構成であり、POVの良さが良く出ていると思う。公開当時はまだ真新しい様に感じPOV(主観撮影)も、現在となっては見慣れすぎてビビらなくなって来たが、久しぶりに本作を観てみるとやはりしっかりと怖いと感じる。この理由は、本作が非常に主観撮影の的を得た傑作だからだろう。
本作の面白い点は、ゾンビの発生理由がとてもユニークなこと。短い本編の中だが、あらゆる工夫が施され、他のゾンビ映画との差別化が上手く出来ている様に感じる。インパクト重視だと内容がとっちらかっている作品もいくつかあるが、残虐さ、迫力、恐怖感、絶望感などが丁度良くまとめられており、本当に必要部分を残して無駄を省いた構成で、脱帽レベルである。本作の鑑賞後にはのそのそゾンビに一切の怖さを感じなくなるというデメリットがあるにはあるが、ゾンビ映画好き、ホラー映画好きの人にはオススメしたい作品だ。