アイ・アム・レジェンド : インタビュー
ロン・ハワード監督とのコラボレーションでよく知られる脚本家アキバ・ゴールズマン。ドラマ分野で評価が高いが、SFアクションのヒット作「アイ,ロボット」なども手掛けており、本人も実はSF好きだとか。過去2回、映画化されている本作を描くにあたり、過去作や原作との差を出すために意識したことは?
脚本家アキバ・ゴールズマン インタビュー
「SFは本当に優れた人間ドラマを語れるジャンルなんだ」
本作の脚本家はアキバ・ゴールズマン。「ビューティフル・マインド」でアカデミー賞脚本賞を受賞、「「シンデレラマン」「ダ・ヴィンチ・コード」などを手掛けた売れっ子だが、実はSFファン。本作に主演したウィル・スミスとはSF「アイ,ロボット」でも組んでいる。舞台をニューヨークにしたのは、SF色を強めるためでもあったという。
「原作小説も、映画化2作も舞台はロサンゼルスだけど、ロサンゼルスは通りを人が歩いていない街だから、無人の光景を描いてもインパクトがない。それで舞台をニューヨークに変更したんだ。ニューヨークはいつでも通りに人が溢れているから、人が全くいない街という光景を提示するだけで、この物語がSFで、日常的な世界の物語ではない、ということを観客に示すことが出来るんだ」
彼が本作に参加したのは、昨今のSF映画に不満があったからだという。
「僕はSF映画で育ったと言っていいくらいのSF好き。9歳や10歳の頃、本を読む楽しさを知ったのもSFだったし、SF映画も大好きで、70年代の『猿の惑星』シリーズは最高だ。SFは本当に素晴らしい人間ドラマが語れるのに、ハリウッドは今、そういう映画を作らないよね? SFとコメディを一緒にしたものはよくあるけど。だから、この映画でドラマを語るSFやろうと思ったんだ」
そんなSFファンの彼が好きなSF映画とは――。
「まず『猿の惑星』。そして素晴らしい『サイレント・ランニング』。あの映画を愛してるよ。それから『ブレードランナー』。挙げていくときりがないよ。実はSF映画はなんだって好きなんだ(笑)。あと、この頃だとTVの『宇宙空母ギャラクティカ』がすごいよ」
そして映画化したいSF小説もある。
「実は長いこと、ウィリアム・ギブスンの『ニューロマンサー』を映画化したくて脚本化にトライしてたんだ。でも、どうやったらうまく映画にできるのか、うまいやり方が見つからなくてね。でもあの小説は映画になりたがっている気がする。それにロバート・A・ハイラインの『異星の客』。クラシックSFの金字塔だよね。あの小説も映画化されたがってると思う。あとSFじゃないけど、マジック・リアリズムの小説で、マーク・ヘルブリンの『ウィンターズ・テイル』という作品が大好きで、これは絶対に映画化したい。19世紀のニューヨークが舞台なんだ」
SF映画以外にも「ダ・ヴィンチ・コード」「ビューティフル・マインド」始めヒット作が続々。ヒットする映画の脚本の条件は?
「それを知ってたら楽なんだけど(笑)。他のすべてのことも同様だと思うんだけど、大事なのは自分がワクワクすることをやることだと思う。自分が興味があるもの、自分が興奮するものなら、他の人の興味も惹きつけられるんじゃないかと思うんだ」