フィッシャー・キング

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説・あらすじ

「未来世紀ブラジル」のテリー・ギリアム監督によるファンタジックなヒューマンコメディ。アーサー王伝説に登場する漁夫王(フィッシャー・キング)のエピソードをモチーフに、元人気DJとホームレスの出会いが互いの人生を変えていく様子を描く。過激なトークで人気を集める売れっ子DJジャック。ある日、彼の発言がきっかけで銃乱射事件が起き、地位も名誉も失ってしまう。3年後、すっかり落ちぶれたジャックは、暴漢に襲われたところをホームレスのパリーに助けられる。パリーが3年前の事件で妻を亡くしたことを知ったジャックは彼の力になりたいと考え、2人は奇妙な友情で結ばれていく。ジャックをジェフ・ブリッジス、パリーをロビン・ウィリアムズがそれぞれ演じた。1992年・第64回アカデミー賞で助演女優賞(マーセデス・ルール)、1991年・ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞。

1991年製作/138分/アメリカ
原題または英題:The Fisher King
配給:コロンビア、トライスター映画
劇場公開日:1992年4月4日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第49回 ゴールデングローブ賞(1992年)

受賞

最優秀主演男優賞(コメディ/ミュージカル) ジェフ・ブリッジス
最優秀主演男優賞(コメディ/ミュージカル) ロビン・ウィリアムズ
最優秀助演女優賞 マーセデス・ルール

ノミネート

最優秀作品賞(コメディ/ミュージカル)  
最優秀監督賞 テリー・ギリアム
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映画レビュー

4.5祝30周年、ギリアムの忘れがたい傑作

2021年1月30日
PCから投稿

気づけば、この映画が世に出てから今年でちょうど30年。奇想天外な作風で知られるギリアム監督だが、彼がこれほど「ドラマ」にフォーカスした作品を私は他に知らない。コミカルにもシリアスにも振り切れることのできるロビン・ウィリアムズの存在感もさることながら、それにしっかり呼応し手綱を握りしめるジェフ・ブリッジスの巧さも際立っている。特筆すべきは、多くの通勤客が行き交う地下鉄駅のコンコースが巨大な社交ダンスのボールルームへと変貌するシーン。リアリズムからファンタジーへの流麗な移り変わりが実に見事で、人々がすれ違いざまに手を取り合い、華麗なステップを踏み始める姿にうっとりしてしまう。押してダメなら引いてみればいい。その精神を実践したのかどうかはわからないが、少なくとも苦難続きだった当時のギリアムが従来と異なる方法論で新たな表現性を切り開いた、見事な人間ドラマ。何度も見たいし、大切に受け継ぎたい一作だ。

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牛津厚信

3.5鬼才の映画❗️なのにハートウォーミング❗️

2025年2月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

知的

幸せ

テリー・ギリアム監督といえば毒気の多いシニカルな作風で知られる鬼才である。

それもそのはず、イギリスの毒まみれの伝説的コメディ集団モンティ・パイソンにアメリカ人としてただ一人加わることができたほどの男だ。
毒気が多いに決まってる。
なのに、今作はビックリするほどウェルメイドなハートウォーミング映画に仕上がっている。

なぜか?
Wikipediaによれば初めて脚本を他人に任せて、自分は脚本に一切口出しをせず監督業に専念したみたいなので、それが一番の要因であるのは間違いないだろう。
そもそもアメリカ人であるテリー・ギリアムにはイギリス人のような徹底した皮肉屋や毒舌家にはなりきれない大らかな面があるような気がするのだが、どうだろうか。
あとは、前々作『未来世紀ブラジル』と前作『バロン』がトラブルだらけで興行的にも失敗したため色々疲れちゃってたのかもしれない。

あれこれ勘繰ることはできるけれど、とにかく結果としてテリー・ギリアムの毒気がいい意味で薄まったハートウォーミングな映画を我々は観られることになった。

ロビン・ウィリアムズが演じるのはある事件をきっかけに精神に異常を来して自分のことを聖杯を探し求める騎士だと思い込んでホームレスになってしまった男である。

この心を病んだホームレスは、もちろん聖杯伝説に出てくる聖杯を追い求める漁夫王(フィッシャー・キング)ということになるのだが、同時にキャラクターとしては明らかに『ドン・キホーテ』を意識している。
ドン・キホーテもまた、精神に異常を来して自分のことを騎士道物語の主人公だと思い込んでしまう男なのだ。

ロビン・ウィリアムズの聖杯探求を手伝う羽目になる主人公ジェフ・ブリッジスは、聖杯を手に入れたとされるパーシヴァルやガラハドのような伝説の騎士であると同時に、ドン・キホーテの狂気に付き合わされる忠実な従者サンチョ・パンサでもあるのだろう。

テリー・ギリアムは『ドン・キホーテ』を映画化しようとして何度も何度も失敗して苦節19年、大難産の末に2018年に『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』を産み落とした。

その、テリー・ギリアムの19年の血と汗と涙の結晶に対してこんなことを言うのは甚だ申し訳ないのだけれど、『フィッシャー・キング』をある種のドン・キホーテ映画として見た場合、グダグダ感溢れる『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』よりスッキリしてて、よほど秀逸ではないかとすら自分には思えてしまう。

後半の強引なファンタジー的な展開がイヤという方がいるみたいでそれもよく分かるのだが、そもそもこれは聖杯を探し求めるお伽話なのである。

聖杯とはベタな言い方だがやはり「愛」の象徴なのだろう。
一見、社会派映画のような装いであり、監督自身も少しはそういうつもりがあるのかも知れないけれど、これは愛に飢えた現代人に鬼才テリー・ギリアムが贈る寓話でありお伽話なのだと自分は思う。

ファンタジーは好きだけどテリー・ギリアムはちょっと苦手、という人がいたら是非観てほしい逸品である。

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盟吉津堂

5.0ロビン

2024年12月6日
iPhoneアプリから投稿

お箸の持ち方が下手だけど。
ひょんなことから友情は始まるもんですね。
ハッピーエンドのアメリカ映画、楽しめました。

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alextm

4.0【”聖杯”或る出来事により、心に深い傷を負った二人の男の不思議な友情と再生していく様を描いたファンタジックな作品。ロビン・ウィリアムズの優しい笑顔は唯一無二のモノだなと実感する作品でもある。】

2024年10月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

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NOBU