狼よさらば
劇場公開日:1974年11月2日
解説
犯罪の温床ニューヨークを舞台に、妻子を殺されたビジネスマンの復讐を描く。製作総指揮はディノ・デ・ラウレンティス、製作はハル・ランダースとボビー・ロバーツ、監督は「シンジケート」のマイケル・ウィナー、脚本はウェンデル・メイス、原作はブライアン・ガーフィールド、撮影はアーサー・J・オーニッツ、音楽はハービー・ハンコックが各々担当。出演はチャールズ・ブロンソン、ホープ・ラング、ヴィンセント・ガーディニア、スティーヴン・キーツ、ウィリアム・レッドフィールド、キャサリン・トーラン、、スチュアート・マーゴリン、ジェフ・ゴールドブラム、グレゴリー・ロザキス、クリストファー・ローガンなど。
1974年製作/アメリカ
原題または英題:Death Wish
配給:コロムビア映画
劇場公開日:1974年11月2日
ストーリー
ポール・カージー(チャールズ・ブロンソン)は、受話器の向こうから聞こえてくる声に、一瞬身を固くした。“義母さんとキャロルが入院したと、警察から連絡がありました”。電話は娘キャロルの夫ジャクソン(スティーヴン・キーツ)からだった。とるものもとりあえず救急病院に駆けつけたポールは、妻のジョアンナが何者かに襲われて殺されたこと、キャロルが暴行されたことを聞かされ、怒りのために身体の震えをとめることができなかった。彼はブルーリッジ開発の有能な技師で、ハドソン河を見おろすアパートに住んでいた。ニューヨークの典型的な中産階級であり、平凡だが幸わせな生活だった。その生活が、今何者かの手によって根底から破壊されたのだ。ポールは仕事に戻った。黙々と仕事をする以外、この悲しみを消す術はない。見るに見かねた社長が、彼にテキサス州ツーソンへの出張を命じた。新しい開発計画について検討するのが仕事だった。ツーソンでは現地の開発会社のエームズ・ジェインチル(スチュアート・マーゴリン)が出迎えてくれた。ここでもポールは、自分自身を痛めつけるように働くが、ある夜、エームズは息抜きにと自宅の射撃場へ案内した。銃を手にしながら、ポールは過去を語った。父が狩猟家で、鹿と間違われて仲間に射殺されたこと、彼自身は朝鮮戦争に従軍したが、良心的参戦者として銃はとらなかったこと‥‥。彼のにぎる1890年製レボルガーが標的めがけよどみなく弾丸を吐きだした。彼の体の中で父の血が甦ったようだった。エームズに銃を贈られ、ニューヨークに帰ってきたポールは、ジャクソンから絶望的な知らせをうけた。キャロルは事件以来、植物と同じだというのだ。やり場のない怒りと共に、消そうとしても消せない欲望が湧き上がるのを感じた。闇に閉ざされたリバーサイド公園で、ポールは自分をうかがっている眼を感じた。チンピラ風の若者が拳銃を構えて迫ってくる。“金を出せ、いう通りにしないとぶっ殺すぞ”、ポールの右手はその瞬間、ポケットの拳銃を掴んでいた。引き金を引いたとき、若者の身体がはじき飛んだ。ポールは小走りにその場を去ると部屋に駆け込んだ。翌日、心のわだかまりが吹きとんだような気分を味わった。彼はその日から、チンピラを殺すために夜の街を彷徨するようになった。獲物にはこと欠かない。アパートのそばの路地で3人、地下鉄の車内で2人。マスコミも、この正体不明の殺人者をむしろ歓迎する風で、“私立警察”のニック・ネームが示すようにポールは全米の期待を一身に集める現代のヒーローとなった。もちろん犯罪は犯罪であり、警察も捜査に本腰を入れた。特に地下鉄の中に落ちていたマーケットの紙袋は有力な手がかりとなり、加えて第4の犯罪の現場には犯人のものらしい血痕が残されていた。捜査の指揮をとるのはオコア警部(ヴィンセント・ガーディニア)だった。4つの現場とスーパーに近い地域に住み、家族がチンピラの被害を受け、戦争体験のある男、警部はポールの犯行と断定した。だがなぜか捕える気になれなかった。1人の市民が自分たちに代ってやりとげていることを罪とはいいきれないからである。やがて第5の犯罪が起き、ポール自身も傷ついた。彼を尾行した警部は待っていたときが来たことを感じた。ポールを病院に見舞った警部は現場で拾った1890年型の拳銃を見せながらいった。“君がどこかの支店に転勤すればこいつを河へ捨てるがね”。ポールの罪を不問にするには、こうするのが1番いいと思ったからだ。数週間後、シカゴの空港にポールがついた。足こそ不自由だったが、その顔にはかつての暗い翳はない。そして、ニューヨーク市民は今でも“私立警察”が、暗闇からチンピラどもににらみをきかせていると信じている。
スタッフ・キャスト
- 監督
- マイケル・ウィナー
- 脚本
- ウェンデル・メイズ
- 原作
- ブライアン・ガーフィールド
- 製作総指揮
- ディノ・デ・ラウレンティス
- 製作
- ハル・ランダース
- ボビー・ロバーツ
- 撮影
- アーサー・J・オニッツ
- 音楽
- ハービー・ハンコック
- 字幕
- 野中重雄