告発

劇場公開日:1995年4月22日

解説

悪名高きアルカトラズ刑務所を閉鎖に追い込んだ実際の事件に基づき、若き弁護士と囚人の友情を描いたヒューマン・ドラマ。「パッセンジャー57」「ワイアット・アープ」のダン・ゴードンのオリジナル脚本を、「ハートブレイク・タウン」のマーク・ロッコが監督。製作はマーク・フリードマンとマーク・ウォルパー、エグゼクティヴ・プロデューサーはデイヴィッド・L・ウォルパーとマーク・ロッコ。撮影は「みんな愛してる」のフレッド・マーフィー、音楽はクリストファー・ヤングが担当。主演は「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」のクリスチャン・スレイターと、「激流」のケヴィン・ベーコン。「レオン」のゲイリー・オールドマン、「シンドラーのリスト」のエンベス・デイヴィッツ、「薔薇の素顔」のブラッド・ダリフ、「愛が微笑む時」のキーラ・セジウィックらが脇を固めるほか、実在のキャメラマン、マイク・ケリーに世界的に著名な写真家ハーブ・リッツが扮して特別出演。

1994年製作/アメリカ
原題または英題:Murder in the First
配給:東宝東和
劇場公開日:1995年4月22日

あらすじ

30年代後半、サンフランシスコ。若きエリート弁護士ジェームズ・スタンフィル(クリスチャン・スレイター)の初仕事は、アルカトラズ刑務所内で起きた殺人事件だった。被告は25年の刑に服役中のヘンリー・ヤング(ケヴィン・ベーコン)という若い囚人だった。ジェームズの度重なる訪問に、ヘンリーは少しずつ心を開くが、事件のことには触れたがらない。だが、彼の発するわずかな言葉の端々から、刑務所内の実態が明らかにされていく。劣悪な環境や副刑務所長グレン(ゲイリー・オールドマン)の残忍な拷問に耐えきれず、脱獄を企てたヘンリーは、仲間の裏切りによって狭く、寒く、日も差さぬ地下牢に閉じ込められる。3年後、地獄のような日々から解放された彼は、裏切った仲間を見つけると、衝動的にスプーンで相手を殺したのだった。真相にジェームズは激しい憤りを感じ、彼を救うために勝つ望みのない裁判を戦い抜く決意をする。裁判が始まり、ジェームズはヘンリーの無罪を主張し、非人道的な刑務所の歳月がヘンリーに殺人を犯させたと、逆に刑務所を告発する。それはアメリカの司法制度、ひいては合衆国政府に対する挑戦だった。法廷は騒然となり、衝撃は瞬く間に全米に広がる。2人には様々な圧力や妨害が降りかかり、周囲の人々は彼らと関わるのを恐れた。有力な弁護士である兄バイロン(ブラッド・ダリフ)も例外でなく、事務所の同僚である恋人メアリー(エンベス・デイヴィッツ)ですらジェームズの元から去っていく。一方、ヘンリーとジェームズの間には、いつしか立場を越えた不思議な友情と強い絆が生まれていた。裁判は苦戦し、いよいよ最終公判。ジェームズは最後の手段として、ヘンリー自身を証人として召還した。だが、彼は意外にも裁判に勝ちたくないと言う。あの地獄のような日々に戻るくらいなら死刑の方を望む、と。裁判はジェームズとヘンリーが勝訴するが、ヘンリーはまもなく自殺した。この裁判をきっかけに刑務所内では様々な改革が行われ、やがて63年に完全閉鎖された。

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映画レビュー

4.0 脚色強め

2025年7月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

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ゆい

4.5 念のため、ネタバレにクリック

2024年11月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

禁酒法時代のアメリカ。アルカトラズ連邦刑務所の闇を暴く弁護士と、その刑務所に苦しめられた囚人の、友情と苦悩の闘いを描く物語。

クリスチャン・スレーターとケヴィン・ベーコンが共演する、史実に基づく物語。極めて私好みの作品です。

物語は二本立て。
一本目は二人の友情譚。法曹界の一族に生まれ、当たり前のように弁護士となったスレーター演じるジェームス。
不幸な生まれ、そして悪運に取りつかれたような人生を送るベーコン演じるヘンリー。
人生を諦め死を受け入れるヘンリーと、裁判に勝つことを優先してしまうジェームス。生き方も目的も違う二人が、特に激しくぶつかりながらも、友情を育む過程がしっかりと描かれています。

もう一本は、本筋であるアルカトラズに対する告発。有力者に阿る人々、連邦政府に忖度する弁護士協会。そして、裁判に興味を示さないヘンリー。裁判自体の難しさも含めて緊迫感を醸成します。

映画は、この二つの柱を密接に絡ませながら進み、完成度の高さを感じさせます。

残念なのは、史実に基づくことを、上手に消化出来なかったところ。
ラスト。カタルシスを感じ難い結末のはずなのに、それでもカタルシスを感じるような結末にしてしまっています。正直、少々戸惑いを覚えてしまいました。
この終わり方なら「悲劇」で終わらせた方が、矛盾はなかったかもしれません。

私的評価は4.5にしました。

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よし

4.0 実話に基づくが実話ではないこと

2024年10月4日
iPhoneアプリから投稿

前情報なしで、鑑賞
鑑賞し終わった後に事件を検索すると
事実よりは誇張している話ではあったけど
これは映画、記録ではない。
それを踏まえて、映画としては
ベーコンの演技!
看守を恐れる様子、心を閉ざす姿
弁護士や、妹への目線、最後の看守への目
作品にのめり込んでしまう
この映画が全て事実かは映画としては
重要ではないと思うし
この世に理不尽が溢れているのは事実

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カプリコ

4.0 証人席に立って本音を話せたことが被告の意識を変えた

2024年9月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 自分の人生に絶望し、減刑による懲役よりも死刑によって楽になるのを望んでいた被告のヘンリー。光も届かない懲罰房のような独房で3年以上も過ごし、拷問を受け続ければそのような気持ちにもなるだろう。しかしそんな彼が、最後には懲役を受け入れる気持ちに変化していた。それは、証人席で自分の本音を吐露した結果であった。つまり、人生を諦めて弁護士に裁判の行方を全て委ねるのではなく、自分がどう思うかを自分の言葉で話せた結果、再び主体的に人生に向き合う気持ちになったのだろう。

 アルカトラズ刑務所を題材にした映画といえばクリント・イーストウッド主演の『アルカトラズからの脱出』がある。こちらは刑務所の悪名高さの割にはあまり過酷そうに見えず、むしろ楽しそうな雰囲気さえあった。しかし今作は独房や拷問の残酷な実態を容赦なく描いていた。そのため今作の方が実態を忠実に描けていたのかもしれない。

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根岸 圭一