俺たちに明日はない
劇場公開日 1968年2月24日
解説
大恐慌時代のアメリカに実在した強盗カップル、ボニーとクライドの破滅的な青春を描き、アメリカン・ニューシネマの原点となった傑作犯罪映画。1930年代のテキサス。退屈な日常に飽き飽きしていたウェイトレスのボニーは、刑務所帰りの青年クライドに興味を抱き、彼が食品店を強盗する姿にすっかりほれ込んでしまう。それ以来行動をともにするようになった2人は、盗んだ車で各地を移動しながら銀行強盗を繰り返していく。やがてガソリンスタンドの店員C・Wやクライドの兄バックとその妻ブランチも加わり、5人組強盗団として世間から注目を浴びる存在となるが……。壮絶なラストは映画史に残る名シーンとして知られ、主演のウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイを一躍スターの座に押し上げた。第40回アカデミー賞で助演女優賞(エステル・パーソンズ)と撮影賞を受賞。
1967年製作/112分/アメリカ
原題:Bonnie and Clyde
配給:ワーナー・ブラザース・セブン・アーツ
スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る
2022年3月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
20代の若いカップルが大恐慌時代のテキサスで警察を嘲笑うかのように強盗を繰り返し、人々にもてはやされた実話を脚色して映画化した作品。
1967年の公開当時、犯罪者をヒーロー的に扱うこと、暴力的なシーンや性的なシーンが、アメリカの映画史上初めてで、相当批判を浴びたにも関わらず、若者に大人気になったとのこと。ワルや反体制な感じがちょっとカッコいいということかな。現代でも若者のカッコよさの基準の一つではある。
まあでも、今日のそういうシーンに比べれば至極健全に見えた。笑。
監督としてはそうした新しい手法を使って心理的な描写やエピソードを入れることで、ただの銀行強盗の顛末記に留まらない、本当の意味でのバイオレントな作品にしたかったのだろう。
2021年10月27日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
超が付くほど有名なクライム・ムービー。
Baseとなった実在した強盗も有名だったのだろうけれど、映画としても、各方面に多大な影響を与え、創作に関わる方々をインスパイアしてきた。
パロディ、オマージュなんてどのくらいあるのだろう。数える気すら失ってしまう。
映像で行われていることと解離するような、軽快なバンジョーで彩られた物語。
どこか、カトゥーンのような絵空事を見せられているような気になる。
甘いマスクのクライド。
スタイリッシュなボニー。
道化のようなパック(ジョークは全然笑えないけれど)。
いら立たせて、ボニーびいきに一役買うブランシュ。
「大丈夫か?」と心配してしまいながらも、全体の状況を見て、クライドたちに尽くすC・W・モス。
この5人の掛け合いを見ていると、強烈なブラック・コメディを見ているような…。
(こんなクルーには参加したくないが…)
破産した銀行に押し込む間抜けから、初めての殺人、そして…。
強盗場面はあっさりと、もしくは新聞ニュースで描く。
半面、警察とのカーレース・銃撃戦は迫力満点、たっぷりと。
その間に起こる、主要メンバーを簡潔にかつ丁寧に描く。
意外なのは周りの反応。
マスコミが節操なく煽るのは今も同じ。
ボニーの母と、C・W・モスの父の反応はとても共感できるが…。
途中キャンプしていた人たち。識字の問題とか、新聞が買えないとか、情報が届いていないのか、知っていてのあの対応なのか。
とはいえ、ボニーの親戚たち、銀行で難を逃れた人たち…。
よっぽど、銀行は汚いやり方で、被債権者たちを追い詰めていたのか?
ちょっと違和感…。
そんな演出の中、ボニーの変化に胸かきむしられる。
毒婦にふさわしい、眼と唇。将来の見えない同じことの繰り返しに飽き飽きして、刺激を求め、ケチな自動車泥棒・クライドをそそのかしていく様。ゾクゾクする。
悪ぶり、自分を大きく見せようとする、その小賢しさ。
一線を越えてしまった後の暴走。
パック夫婦とクライド兄弟に接して、自分の家族を求める様。
やっと、現実的な自分たちの行きつく果てが見えてくる。
不安。
仲間の死、女として満たされることによって、安定した未来を夢見る様。(州を越えれば捕まらない≒今なら海外逃亡すればつかまりにくくなるようなものか?)
その移ろいゆく欲望、その時々の表情から目が離せなくなる。
そして、落ち着くところに落ち着くのかと思ったその矢先。
衝撃のラスト。
何が起こるかあまりにも有名で知っていてもなおの衝撃。
警察の裏をかいたと思ったが…。それがこうなってこうくるか。
当時を再現したものなのか。
真っ白なクラッシック・カー。
真っ白なドレス。
ワイシャツにベスト、片方だけ入った丸渕の黒いサングラス。
周りに比べて、なんともスタイリッシュな出で立ち。
二人の位置もこう配すか…。
ここには軽快な音楽もない。
ただただ、情景音のみ。直前の会話はあれど、断末魔も聞こえない。ただひたすらに鳴り響く〇〇。
それまでのトーンと全く違う。
この落とし方。
それまでの、カトゥーン的展開がすべて吹っ飛んで、そのラストだけが記憶に残る。
見直して、やっとボニーの繊細な表情を思い出すことはできるけれど。
それほどのインパクト。
狙って演出されたのだろう。
見事。
そして、映画は永遠のものとなった。
2021年6月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
軽快なバンジョーの音色とともに犯罪を重ねる二人。途中で仲間になるC・W・モス(マイケル・J・ポラード)もいい味を出している。とんでもない悪党なのだが、序盤で銀行に家を取られて嘆くじいさんを慰める伏線が印象に残り、善人であるかと錯覚するくらいに気持ちが良くなるのだ。世の中は大恐慌時代、失業者が溢れているアメリカ。世間に対する不満と憤りを盗みという手段で反抗する心情が映し出されている。最初に観た時には「悪いことはできないよなぁ」くらいにしか思わなかったのだが、今の世の中と同じく不況の中だけに感慨深いものがありますな。
アメリカンニューシネマの代表作。
ストーリー(悪役主人公)、撮影技法(銃殺のカット)、性的描写まで当時においては衝撃的だったよう。
現在観てそこに感動するのは難しいが面白い作品だった。
理解力不足かストーリー中に置いてけぼりになったシーンがあった。次回見る時は注意。
ボニーとクライドってよく耳にする。そして実在した人物だったんだ。
すべての映画レビューを見る(全42件)