悪のシンフォニー

劇場公開日:

解説

イアン・フレミングの原作を、ジョー・アイシンガーが脚色、007シリーズのテレンス・ヤングが監督した、麻薬追放の国連援助映画という作品の趣旨で、世界各国から大スターが、1ドルの出演料で出演したという、スパイ・アクション異色篇。撮影はアンリ・アルカン、音楽はジョルジュ・オーリックが担当した。出演はユル・ブリンナー、マルチェロ・マストロヤンニ、オマー・シャリフ、E・G・マーシャル、アンジー・ディッキンスン、トレヴァー・ハワード、ハロルド・坂田ほか多数。

1966年製作/アメリカ
原題または英題:The Poppy Is Also a Flower
配給:松竹映配
劇場公開日:1966年8月20日

ストーリー

イランの山岳地帯。阿片商人に化けたアメリカ麻薬局のベンソンは、法網をぬって、ひそかにけしの栽培をしている遊牧民から、阿片買い取りに成功した。ところが彼は、数日後、死体となって発見された。一方、テヘランのサレム大佐(ユル・ブリンナー)の事務所には、国連麻薬対策委員会のイラン代表ラッド博士(オマー・シャリフ)、アメリカ財務省から派遣されてきたジョンズ(E・G・マーシャル)、国連勤務のリンカン(トレヴァー・ハワード)、国連化学研究所の美人学者ブロノフスカ博士らが集まり、麻薬業者を一網打尽にすべく頭をひねっていた。そして阿片が密輸業者の手に渡るまえに放射性分子を染みこませることにした。すぐ実行に移され、この案は成功した。次はガイガー・カウンターを使って阿片の行方を追い総元締をとらえるのだ。その頃ベンソンの死体置場に、リンダ(アンジー・ディッキンソン)という美人が現れ、ベンソン未亡人と名乗るのだった。ベンソンは独身のはず、この美人は何者だろう……。一方、放射性分子を染みこませた阿片はナポリに運びこまれた。ナポリはアメリカ向け麻薬輸出基地として有名な所。ジョンズとリンカンは、土地の検査官モスカ(マルチェロ・マストロヤンニ)を訪れ、目下拘留中のスパゲッティ屋ビアッジョの工場を案内してもらった。案の定、そこの地下室は麻薬精製所になっていた。精製所はつきとめたものの、捜査はそれ以上はかどらなかった。ビアッジョから麻薬を買っていた踊り子が怪力マーティン(ハロルド・サカタ)に殺されてしまったからである。ところが、毎日少量の阿片を食物と共に供されていた警察犬が、意外な発見をした。碇泊中のモンバサ号である。行先はマルセイユ、船の持主は欧州の実業界、社交界に君臨するマルコだった。彼を追ってモンテカルロの夜会に出席したリンカンは、そこでリンダに出会い、意外な思いにかられた。彼女の紹介で、マルコのヨットに招待されたリンカンは、船の内部をさぐるうちにマルコと夫人のモニクに発見され、カンヌに着くと同時にモンバサ号の船長ビルに射殺されてしまった。だがリンカンは死の直前、「パリ行きブルー・トレイン夜行列車」と書いた紙片を靴底にひそませていた。パリへ向かって夜の闇をひた走るブルー・トレイン。乗客の中には、ジョンズ、マルコ、ビル、モニク、マーティンらがいる。ジョンズはまず、ビルを片づけた。そこへ現れたのはリンダ、彼女はベンソン未亡人ではなく妹で、秘密情報局勤務と告白するのだった。そして彼女は麻薬常習者のモニクを倒したのだった。2人は協力してンマーティンを射殺し、マルコを追って車外へ落ちたジョンズもついにマルコを倒した。麻薬捜査陣はついに黒幕を倒したのであるが、麻薬追放のため、世界が命をかけた闘いは、これから始まるのだともいえるのだ。

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