ガラスの中の少女(1960)
劇場公開日:1960年11月9日
解説
有馬頼義の原作を、青山民雄が脚色し、「十代の狼」の若杉光夫が監督した、少年少女の純愛を描く叙情編。撮影も「十代の狼」の井上莞が担当。
1960年製作/64分/日本
配給:日活
劇場公開日:1960年11月9日
ストーリー
陽一と晴代は中学一時代同級生だったが、陽一は町工場へ、靖代は高校へと別々の道を歩まねばならなかった。ある日、偶然二人は町で会い、みつまめ屋で卒業後の様子をあれこれと話し合った。靖代の父で大学の助教授の杉太郎は、少しでも靖代の帰宅時間が遅れると、その理由を異常なまでに追求する。母親の里子はただオロオロするばかりだった。陽一の家庭もまた暗かった。失職中の父親が酒ばかり飲んでどなりちらしていたし、母親は働きに出て留守がちだった。ある時、靖代は後楽園で陽一と遊んで帰宅した。杉太郎は靖代を見るとやにわに彼女の手を取り、教授になって北海道へ行くといいながら、抱きよせた。靖代は本能的に恐怖を感じて逃げた。その夜、母親から杉太郎はほんとうの父親でないことを知らされた。彼女は家をとび出し、陽一の家を訪れた。陽一は靖子と会えぬ生活を想像するだけでも苦しかった。彼も自分の家庭のことを打ちあげた。二人は、どこか静かな所へ行って話をしようと相談した。次の日、二人は山あいの湖水にボートを浮かべた。靖代はしのばせていた睡眠薬を取り出した。二人は薬を分け合って飲むと、横になって空を眺めた。ボートは、二人の眠りを誘うように、波間にそっといつまでも揺れていた。