天国の大罪

劇場公開日:

解説

人種の坩堝と化した近未来の東京新宿を舞台に、東京地検特捜部の女検事とその上司の不倫愛、チャイニーズ・マフィアのボスと女検事の愛憎を描くアクション・ロマン。脚本は「継承盃」の松田寛夫、監督は「社葬」の舛田利雄、撮影は「寒椿」の木村大作がそれぞれ担当。

1992年製作/日本
配給:東映
劇場公開日:1992年10月3日

ストーリー

第1章 日本モスキート街/衣畑遼子と田辺邦夫は東京地検特捜部の女性検事とその上司で、10年以上も男女の関係が続いていた。遼子は田辺の子を身籠っていたが、妻子ある田辺は堕胎を求め、年齢的に今をのがすと一生子供は生めないと思っている遼子はそれを拒んでいた。同じ頃、「モスキート街」と呼ばれる外国人街では検察のスパイが殺され中国人の黄亢虎が逮捕された。田辺と遼子は黄のボスであるチャイニーズ・マフィアの蔡文華を見張るが、蔡は巧みに遼子に取り入り獄中の黄を自殺に追い込む。それが原因で田辺と遼子は別れ、地検をやめて弁護士になった遼子は子育てに生き甲斐を見出していく。ある日、遼子の検事時代に強制猥褻罪で摘発された奈良本は彼女に対する復讐の機会をうかがっており、その子孝彦を誘拐する。半狂乱になった遼子は裏の世界に通じている蔡に孝彦を救出してもらう。 第2章 家族/遼子と蔡は同居していた。2歳になった孝彦は蔡になつき、蔡もまた孝彦を実の子のように可愛がった。だがいつも頭をかすめるのは、自分の特殊な仕事と幸福な家庭とは決して両立しないだろうということだった。蔡は国際的な合法企業の裏で、世界に麻薬を密輸する組識の幹部だった。案の定、田辺による組識包囲網は動き始め、最後の大仕事の最中、蔡以下組識の全員が逮捕される。これは大口取り引きを知った遼子が、麻薬シンジケートの内情を提供すれば蔡を不起訴処分にするという約束を田辺から取りつけた結果だった。シンジケートの内情が日に日に明るみに出ていくなか、蔡の首に300万ドルの賞金がかけられた。数日後、とある外国の郊外で遼子と蔡と孝彦が幸福に暮らす姿があった。だがそこに銃を持った数人の男たちが襲撃し、蔡が重傷を負う。危機を救ったのは遼子の鮮やかなガンさばきだった。男たちを倒した遼子は、蔡と孝彦を連れいづこへともなく去っていった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第16回 日本アカデミー賞(1993年)

ノミネート

主演女優賞 吉永小百合
助演男優賞 西田敏行
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映画レビュー

3.0子供を産んで、普通の幸せな家庭が欲しい 映画の役だけでない、吉永小百合本人のその渇望だけは伝わってきました

2022年2月1日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1992年10月公開
ついにバブルがはじけ始めた頃の作品

しかしまだバブル景気のままの意識で撮られています
無駄に予算がかけられて、海外ロケまであります

内容も、バブル景気が続き世界中から外国人が吸い寄せられ、モスキート街と呼ばれるカオス化した外国人街のある数年程度先の東京が舞台です

しかしバブル景気が続いていくという前提なのに、その映像はバブル崩壊後の新宿を先取りしているようにも見えるのです
モスキート街の光景は歌舞伎町を多少誇張した程度のブレード・ランナーを意識した映像になっています
本作の一番の、というか唯一の収穫はそれでした

冒頭、いきなり吉永小百合のベッドシーンです
お話も彼女は検事で、麻薬絡みの犯罪ものです
同僚検事との不倫、認知されない子供の出産、外国人ギャングの親分の情婦とどんどん転落していきます
終盤には拳銃を撃ち、車で殺し屋を轢き殺します
こんな吉永小百合の映画はありません
びっくりです

しかしそれを吉永小百合がしてどういう意味があるのか?という疑問が残るのです
全く似合っていませんし、それを敢えてやる意義も無いとしか思えません

ただ、家族をもちたい
子供を産んで、普通の幸せな家庭が欲しい
映画の役だけでない、吉永小百合本人のその渇望だけは伝わってきました
それが本作のテーマだったとしか思えません

世界の名優オマー・シャリフにはもったいない映画です
申し訳ない気持ちになってしまいました

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あき240