月とキャベツ
劇場公開日:1996年12月
解説
隠遁生活を送るミュージシャンとダンサー志望の少女との出会いと別れを寓話的に描いたラブ・ストーリー。監督は「草の上の仕事」の篠原哲雄。“第2回さっぽろ映像セミナー”の入選シナリオ、鶴間香『眠れない夜の終わり』を原案として、篠原と“演劇集団キャラメルボックス”の演出・脚本家、真柴あずきが共同で脚本を書いた。撮影は「シークレットワルツ」の上野彰吾。主演は現役ミュージシャンの山崎まさよしと「眠る男」の真田麻垂美で、山崎は音楽も担当した。
1996年製作/100分/日本
配給:エース ピクチャーズ=シネセゾン
劇場公開日:1996年12月
ストーリー
バンド時代にカリスマ的人気を博したミュージシャンの花火は、独立後は創作意欲を失ってしまい、人里離れた田舎でキャベツを育てながら隠遁生活を送っている。会う人間といえば友人でカメラマンの理人だけだった。その夏、花火の前にひとりの少女が現われた。ヒバナと名乗るその少女は突然、花火の家に押しかけてきて、そのまま居ついてしまう。ダンサーを志すヒバナは、かつての花火の歌で踊り、早く新しい曲が聞きたいと言った。はじめはヒバナの行為に戸惑っていた花火も、やがてヒバナの存在を受け止めていくようになる。ヒバナのダンスを前にし、ふたりでキャベツ料理を食べ、ヒバナに素晴らしい風景の丘を教えられ、花火はまたピアノに向かうようになった。夜ごと月を眺め、水を極端に怖れ、近付いてくる夏休みの終わりをはかなむヒバナのことを慈しみながら、花火は曲作りを進める。理人はこのふたりを温かく見守っていき、ダンス関係者の森崎からヒバナの消息を聞いてその秘密を知ってからも、ヒバナに暖かく接した。夏休みも終わり、曲は完成する。花火とヒバナの間にも確かなつながりができたように思えたその時、ヒバナは花火の目の前から消えた。花火の曲とダンスがすべてだったヒバナは、ダンスコンクールに向かう際の台風の事故ですでに亡くなっていた。本名を火花里というその少女の正体を、理人から教えられた花火は、あらためて彼女への想いを込めながら、でき上がった曲を唄い始める。