タンポポ

劇場公開日:1985年11月23日

解説

タンクローリーの運転手が、さびれたラーメン屋の美しい未亡人に惹かれるまま、そのラーメン屋を町一番の店にするまでを、奇想天外の食物がらみのエピソードを混ぜて描く。脚本、監督は「お葬式」の伊丹十三、撮影は「火まつり」の田村正毅がそれぞれ担当。

1985年製作/115分/日本
原題または英題:Tampopo
配給:東宝
劇場公開日:1985年11月23日

あらすじ

雨の降る夜、タンクローリーの運転手、ゴローとガンは、ふらりと来々軒というさびれたラーメン屋に入った。店内には、ピスケンという図体の大きい男とその子分達がいてゴローと乱闘になる。ケガをしたゴローは、店の女主人タンポポに介抱された。彼女は夫亡き後、ターボーというひとり息子を抱えて店を切盛りしている。ゴローとガンのラーメンの味が今一つの言葉に、タンポポは二人の弟子にしてくれと頼み込む。そして、マラソンなど体力作り、他の店の視察と特訓が始まった。タンポポは他の店のスープの味を盗んだりするが、なかなかうまくいかない。ゴローはそんな彼女を、食通の乞食集団と一緒にいるセンセイという人物に会わせた。それを近くのホテルの窓から、白服の男が情婦と共に見ている。“来々軒”はゴローの提案で、“タンポポ”と名を替えることになった。ある日、ゴロー、タンポポ、ガン、センセイの四人は、そば屋で餅を喉につまらせた老人を救けた。老人は富豪で、彼らは御礼にとスッポン料理と老人の運転手、ショーヘイが作ったラーメンをごちそうになる。ラーメンの味は抜群で、ショーヘイも“タンポポ”を町一番の店にする協力者となった。ある日、ゴローはピスケンに声をかけられ、一対一で勝負した後、ピスケンも彼らの仲間に加わり、店の内装を担当することになった。ゴローとタンポポは互いに魅かれあうものを感じていた。一方、白服の男が何者かに撃たれる。血だらけになって倒れた彼のもとに情婦が駆けつけるが、男は息をひきとった。--やがて、タンポポの努力が実り、ゴロー達が彼女の作ったラーメンを「この味だ」という日が来た。店の改装も終わり、“タンポポ”にはお客が詰めかけ、行列が続いた。ゴローはタンクローリーに乗ってガンと共に去っていく。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

監督
伊丹十三
脚本
伊丹十三
製作
玉置泰
細越省吾
制作
ニュー・センチュリー・プロデューサーズ
撮影
たむらまさき
美術
木村威夫
グラフィック・デザイン
佐村憲一
音楽
村井邦彦
録音
橋本文雄
照明
井上幸男
編集
鈴木晄
キャスティング・ディレクター
笹岡幸三郎
助監督
白山一城
スチール
目黒祐司
宮本一郎
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映画レビュー

4.0 エロティシズム全開

2025年10月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

驚く

斬新

タンポポとラーメン。可愛らしいタンポポさんが開いた昭和のラーメン屋さんのお話だと思ったら、それ以上にエロティシズム全開で驚きました。食べ物が性欲・性愛のメタファーになっていて、なかなか刺激的な作品です。リアルタイムでは子供だったので、鑑賞はできなかったよな〜。

日本の文化と伊丹監督の天才っぷり&天邪鬼っぷりが融合された日本映画に残る名作だと思います。

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ミカ

4.5 かなり昔、ゴールデン洋画劇場に放送されてた時には全く興味が無く、む...

2025年9月25日
iPhoneアプリから投稿

かなり昔、ゴールデン洋画劇場に放送されてた時には全く興味が無く、むしろ「アメリカ映画やってくれよ」とずーっと思ってたから伊丹十三作品なんて毛嫌いしてた。
がしかし、今しっかり観てみると…物凄く面白いじゃないですか…なんてこったい…
食欲と性欲・生と死等織り交ぜたかったのは理解出来るが、ちょっと分散し過ぎ?な気もするけどヒジョーに良かった!
レンズも50mmをメインにしてる感じ、画が狭い分しっかりと世界観に没入することが出来る。
ウエスタンだし日本映画だし美食だし音楽もオーケストラだし、とにかく面白かった…

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Mk.plass

4.5 マカロニウエスタンならぬラーメンウエスタン!食とエロチシズムとユー...

2025年9月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

マカロニウエスタンならぬラーメンウエスタン!食とエロチシズムとユーモアのマリアージュ!贅沢なキャスティング!初っ端から役所広司に怒鳴られるのは本作の音楽も担当している名作曲家の村井邦彦と元祖バラドル松本明子の異色カップル、若き渡辺謙に淡々とラーメンの食し方を教示する老人に撮影後自殺してこれが遺作となった時代劇俳優大犮柳太朗。見事なオムライスを披露するホームレスにNHK『できるかな』のっぽさん。牡蠣を採る若い海女に初々しい洞口依子。スパゲッティの食べ方を指南するマナー講師に岡田茉莉子。スパゲッティを音を立ててすする外国人にフランス菓子店「ルコント」パティシエ、アンドレ・ルコント。このレストランのボーイに橋爪功。謎の老婆を追いかけるスーパー店員に津川雅彦。北京ダックをむさぼる老人スリに小津や黒澤映画の常連、中村伸郎。妻の死に目に走り帰る井川比佐志に、臨終前にチャーハンを作る三田和代。などなど、名優だらけ。役所と黒田福美の身体を張ったラブシーンの数々も見応えあるし、あの大滝秀治を逆さにして口に掃除機を突っ込むとは…!伊丹監督映画の中で一番好き!米国でも大成功し、Rotten Tomatoes支持率100%の数少ない日本映画の一つ。

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mini

4.5 素人でも分かる映画

2025年8月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

「ラーメンを食べるのはそのど素人なのよ。素人に分かんない味のラーメン作ってどうすんの?」

「ラーメン」を「映画」に置き換えてみると伊丹監督の信条が垣間見える。評論家の解説が必要な映画などつまらない、とでも言いたいのではないか。

おそらくこの映画を見終わって多くの人がラーメンを食べたくなるかもしれない。ラーメンでなくともオムライスかもしれないし、チャーハンかもしれない。そしてそれらを食すとき、この映画のワンシーンを思い浮かべながらいつもより美味しく楽しく食べられるのではないだろうか。

映画の楽しみ方は人それぞれだ。小難しい考察が必要な映画を楽しむ人もいれば、事実に基づいたドキュメンタリーが好きな人だっている。

映画はエンターテイメント、つまり娯楽だ。見終わったあと、「あー面白かった」とか「楽しかったー」とある種の非日常体験が出来るのが映画の良さであると思う。

この映画を見終わったあと、評論家の解説なんて読もうと思わない。ただラーメンが食べたくなる。

「映画を見るのはド素人なのよ。素人に分かんない映画作ってどうすんの?」

伊丹十三氏の心の声が聞こえてきそうだ。

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Ichi