幻魔大戦

劇場公開日:1983年3月12日

解説

大宇宙の破壊を企む暗黒の支配者、幻魔と戦う地球の各地から集まったエスパーたちの活躍を描く。平井和正、石森章太郎の同名の原作のアニメーションで、脚本は「宇能鴻一郎の姉妹理容室」の内藤誠、「襲われる女教師」の桂千穂、真崎守の共同執筆、監督は「さようなら銀河鉄道999」のりんたろうがそれぞれ担当。

1983年製作/135分/日本
配給:東宝東和
劇場公開日:1983年3月12日

あらすじ

トランシルバニア王国の第一王女ルナ姫は、親善使節として米国に向うジェット機に乗っていた。機内で、彼女は手に持った水晶の球の中にジェット機が落ちるのを見て大声をあげた。同時に機は宇宙から飛んできた物体と衝突して墜落する。空中に放りだされたルナは、宇宙のエネルギー生命、フロイの声を聞く。フロイによれば、宇宙の破壊者、幻魔大王の死の手が銀河系に伸びており、超能力を持つ者を集めて地球を救うために戦えという。ルナはフロイによって遣わされたサイボーグ戦士ベガとともに同士を求めて飛びたった。その頃、東京では、高校生の東丈が野球部のレギュラーからはずされ、ガールフレンドの沢川淳子にも冷たくされてクサッていた。ある夜、丈は淳子を新宿に呼びだした。夜なのに学制服で外出した丈に、淳子は「あなたの姉の存在が大き過ぎる。暫く会わない方がいい」と話す。ホンダ・ストリームに乗って走り去る彼女の後姿を寂しげに見送った丈は、ウサ晴らしに成人映画を観ようとして断られ、新宿ALTA附近をうろついていた。そこへ、ベガが現れ、丈を追いつめる。周囲の通行人は石のように動かない。建築中のビルの屋上に逃げた丈は、恐怖に錯乱すると、建築資材がベガめがけて飛んでいった。これはルナが丈の超能力を調べるためにやったことで、その力は予想以上だった。自分の力に驚く丈は、帰路、シャッターの降ろされた吉祥寺サンロード商店街で、マクドナルド・ハンバーガー・ショップの前にあったポリバケツの蓋を思うがままに飛ばした。数日後、ルナは丈とテレパシーでコンタクトするが、彼は怯えて自分の殻の中に閉じこもる。その原因は、丈が小さい頃から、危険を感じると姉の三千子に頼っていたことにあると悟ったルナは逃避をやめて自立しろと説得する。地球を救う戦いに参加する決意をした丈は、この途方もない話を姉にすると、彼女は疑いもなく信用し、愛の力が宇宙を救うのだと話す。幻魔は淳子に乗り移り、丈に襲いかかるが、彼はなんとか敵の攻撃をかわした。その頃、幻魔がニューヨークを襲い、市は廃墟と化し、超能力を持った黒人少年ソニーが、謎の炎に包まれ、それがどんどん膨張していた。その光景を呆然と見つめるルナ、ベガ、丈。そこでルナは各地の超能力者にテレパシーを送ると、サラマンダー、ヨーギンが集まり、皆の協力でソニーを救い、幻魔を追い払った。同じ頃、東京でも幻魔が大暴れてしており、ニューヨーク同様に廃墟と化しており、吉祥寺の丈の自宅では幻魔の手下、ザメディとザンビが三千子に襲いかかっていた。三千子はテレパシーでガスレンジに火を付け、一人を焼き殺すが、無残に殺されてしまった。東京に戻った丈は戦いに傷つき、医師のカフーに手当てを受けるが、彼こそが幻魔を代表する配下であった。回復した丈は、超能力を持ったアサシンと少女のタオとともに、カフーを追い富士山に向った。丈たちよりも一枚も二枚も上手のカフーは二人を冷凍にするが、その時、死んだ三千子の霊が現れ、カフーを倒す。そして、集まって来たルナ、サラマンダー、ソニー、ヨーギンたちの力で、丈とアサシンは蘇生する。そのとき、火口から幻魔が現れ、全員に襲いかかった。その爆発的なパワーにはね飛ばされる丈たち。そこで、全員が輪になり、皆の力をベガに集中して立ち向かう。これには幻魔もかなわず、一瞬にして氷となって砕け散った。役目を終えてベガは、緑の水晶球となって、手をつないで輪になったルナ、丈、ヨーギン、サラマンダー、アサシン、タオ、ソニーたちの姿が空中に浮かんでいた。

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映画レビュー

5.0オモチャに頼らないSFアニメの金字塔!再評価すべし!!

2025年7月14日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

怖い

興奮

難しい

原作の漫画・小説と違い過ぎる… との事で、不当に評価が低い
この作品…
原作の件は、後に明記する
まず、アニメ映画「幻魔大戦」が誕生した、いきさつからだが、
昭和中期からの「宇宙戦艦ヤマト」「機動戦士ガンダム」の
「空前のアニメブーム」が起き、それは同時に、これまでに無い
「空前のSFブーム」でもあった
…しかしながら「ヤマト」「ガンダム」共に、玩具を売る為の
企画であり、中でもプラモデル販売に重きを置いていた
そこで、玩具商品を原点としないSF作品である、この作品を
アニメ化するという、白羽の矢が刺さったのである
折しも、映画公開時期が「宇宙戦艦ヤマト・完結編」と、
かつて「ガンダム」を制作した日本サンライズの
「クラッシャージョウ」と重なり、これを「SF大作・三つ巴」と
呼ばれた!
言わずもがな「ヤマト」は多くのプラモを出しており
「クラッシャージョウ」は、登場するメカ全てをプラモ化…
対し「幻魔大戦」は、プラモ等の玩具展開を一切行わない
「完全な『映像作品』としての勝負!!」であった
よって、スポンサーが無いため、日本アニメ映画として初の
「製作委員会・制度」の発起ともなった
この点を、非常に今のアニメ業界は『重視』すべきである!!

そして原作との乖離だが、脚本家を3人起用など、かなり
内容がバラバラな感がある
よって、中盤のニューヨークに現れた怪物との戦い迄は
「超能力アクションのテッパン!」として楽しめるが、
それ以降が、どうしても「哲学的な抽象表現」という
嫌いがある…
これは想像だが、石ノ森章太郎氏は「子供に安心して
見せられる『勧善懲悪劇』を…」と依頼し、
対し平井和正氏は「ハルマゲドンを象徴する『壊滅的』な
ラストを…」という部分で衝突し、最終的には
「『愛』の為に戦う」という所で折り合いを付けたのだろう…
この時の「貸し」によって、平井和正氏は多くの書籍を角川から
発行できる様になる…
とにかく「不当な評価」が多過ぎ「再評価」は、
されるべき!!!

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777

5.0りんたろう監督が当時新進気鋭の大友克洋氏を起用したのは鋭い見識、『AKIRA』誕生のきっかけになったことは特筆すべきトピックスですね。

2025年6月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

斬新

ドキドキ

新文芸坐さんにて『日本映画変革の時代 角川映画の出現』と題した角川映画の特集上映開催中(25年6月11日~21日)。
本日は角川映画アニメーション第1作の記念大作『幻魔大戦』をりんたろう監督、映画史家・伊藤彰彦氏のトーク付きで鑑賞。

『幻魔大戦』(1983年/135分)
『宇宙戦艦ヤマト』(1977)がSFアニメブームの火付け役となり、りんたろう氏が監督した『銀河鉄道999』(1979)、『機動戦士ガンダム』(1981)、『伝説巨神イデオン』(1982)と次々に劇場公開され過熱、本作が公開された1983年春にひとつのピークを迎えましたね。

本作も角川映画の得意のメディアミックスでCMも大量投下、「ハルマゲドン(最終戦争)」というワードも認知、浸透していきました。

公開当初は製作・原作に石ノ森章太郎氏の名前が記載されていたので、サイキック版『サイボーグ009』の印象でしたが、キャラデザインが先生の描くタッチと異なるので不思議に思っていたのですが、りんたろう監督が当時新進気鋭の大友克洋氏を起用したのは鋭い見識、『AKIRA』誕生のきっかけになったことは特筆すべきトピックスですね。

映像表現も今ではすっかり定着した『超能力を発動した際、キャラクターの全身が光って強烈なオーラが立ち込める』も本作が最初でした。

音楽は英国のプログレッシブ・ロック・バンド「エマーソン・レイク・アンド・パーマー」のキース・エマーソンが担当。シンセサイザーを活用した雄大、荘厳な讃美歌のような劇伴、ローズマリー・バトラーが歌唱する主題歌『光の天使 / Children Of The Light』も含めて、今でも強烈な印象が残っております。
80年代は海外アーティストが映画主題歌を担当することが実に多かったですが、どの作品も壮大な大作感が醸し出されるのが良いですね。
アニメや邦画が世界に紹介されている昨今、言葉の壁を越えるため、もっと洋楽を活用すべきと思うのですがどうなのでしょうか。

日本アニメ史にとってもエポックメーキングな作品ですね。

本編終了後は貴重なりんたろう監督、映画史家・伊藤彰彦氏のトーク。
角川春樹氏との出会いや人となり、角川アニメ第1弾として既存の映画業界のシステム対する抗いや気概、公開前日深夜に長蛇の列が劇場を取り囲み急遽深夜に初回上映を行った話や、アニメはあくまでも『映像表現のツール』として捉え、一つひとつのショットにこだわり、王道のディズニーアニメと常に一線を画した表現を模索した話など貴重なエピソードが盛りだくさん。
さらにサイレンス映画時代のアルフレッド・ヒッチコック監督『下宿人』(1927)の映像表現の凄さや、特に影響を受けた1960年代後半の唐十郎氏や土方巽氏の新宿アングラ演劇や横尾忠則氏、俳句、建築、絵画の話などアニメ以外の文化芸術から情報感度を高め、絶えず自身の作品をアップデートさせているお話は実に勉強となりました。

今年84歳になられますが意気軒高、まだまだ創作意欲も衰えず新作に取り組んでいらっしゃるとのことで、次回作を楽しみしております。

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矢萩久登

4.5傑作と思う(さようなら丸の内TOEI)

2025年5月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

小か中学生時分に友達と見に行き、本日2度目の鑑賞。低評価が多いですが、私は好きな作品です。

丸の内TOEIが2025年7月27日に閉館となるのをニュースで知り、レビュアーさんから教えてもらった特集作品群に本作があったので行ってきました。
42年!の時を経て、劇場で再び見られるとは感無量。角川アニメ第1弾。(この後、第2弾少年ケニヤ*渡辺典子)

宇宙を消滅させる幻魔による地球滅亡の危機に、サイキック戦士たち(超能力を持った人間)が集って戦う話。ハルマゲドン…世界最終戦争を描く。(…だよね?最終な感じがあまりしないんだけど)
「ハルマゲドン」という言葉をこの作品で知り、後にブルース・ウィリスの「アルマゲドン」で「ハ」じゃないんだ…などと思った覚えがw

絵柄やBGM、サントラにキース・エマーソン&ローズマリー・バトラーという、今思うと大人っぽいアニメ。(人物の顔はあまり好みではない)ローズマリー・バトラーは草刈正雄の「汚れた英雄」でも起用、この時代の印象が強い。

原作漫画・小説は未読。きっと原作とだいぶ違うのだと思いますが、面白かったです。
サイキック戦士達が上空に向かう様等ところどころカッコよいと思うし、今回ものめり込んで見てしまった。
改めて見ると、幻魔一族が宇宙を消滅させてきた割にはやや ちゃちい感じがしないでもないが、この作品の世界観は好きです。

声優には原田知世さんも参加。
更に、子どもだった林泰文さんが声優を務めていたとは。芸歴長くてすごい!

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ふわり

1.0トラウマ級、絶望的にツマラヌ一本。

2025年1月24日
iPhoneアプリから投稿

83年、高校時代。
りんたろう、金田伊巧の名に煽られ、大いに期待し、
渋る友人を説得し一緒に観た。
結果、絶望的にツマラヌ凡作。
以後、映画は一人で観ると決めた。
映画は基本ツマラヌと覚悟して、
年に数本の快作の為に百本は観る今。
苦い思い出。

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共感した! 2件)
きねまっきい