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劇場公開日:

乱

解説

巨匠・黒澤明が構想10年・製作費26億円をかけて完成させたライフワーク的作品で、シェイクスピアの悲劇「リア王」をベースに毛利元就の「3本の矢」の故事などを取り入れながら、裏切りと憎しみの中で殺し合う人々の姿を壮大なスケールで活写した戦国時代劇。70歳を迎えた猛将・一文字秀虎は、家督を3人の息子に譲ることを決意する。息子たちの団結を信じきって自らは隠居を望む弱気な父に対し、3男の三郎は異を唱えるが、怒った父に追放されてしまう。しかし三郎の予想通り、兄の太郎と次郎は秀虎に反旗を翻し、血で血を洗う骨肉の争いが始まる。ワダ・エミが衣装を担当しアカデミー衣装デザイン賞を受賞。公開から30年を経た2015年に4Kデジタル修復版としてよみがえり、第28回東京国際映画祭「Japan Classics」部門で上映された後、17年4月より劇場公開。

1985年製作/162分/日本・フランス合作
配給:KADOKAWA
劇場公開日:2017年4月1日

その他の公開日:1985年6月1日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

監督
脚本
黒澤明
小国英雄
井手雅人
エグゼクティブプロデューサー
古川勝巳
プロデューサー
セルジュ・シルベルマン
原正人
プロダクションコーディネーター
黒澤久雄
演出補佐
本多猪四郎
撮影
斎藤孝雄
上田正治
撮影協力
中井朝一
美術
村木与四郎
村木忍
照明
佐野武治
録音
矢野口文雄
吉田庄太郎
整音
安藤精八
効果
三縄一郎
衣装デザイナー
ワダエミ
編集
黒澤明
音楽
武満徹
指揮
岩城宏之
助監督
岡田文亮
ゼネラルプロダクションマネージャー
ウーリッヒ・ピカール
プロダクションマネージャー
野上照代
飯泉征吉
井関惺
アシスタントプロダクションコーディネーター
ベルナルド・コーン
狂言指導
野村万作
能作法指導
本田光洋
横笛演奏指導
鯉沼廣行
馬術指導
渡辺隆
殺陣
久世竜
久世浩
ホースチームマネージャー
宮本浩司
テクニカルアドバイザー
松尾民夫
題字
今井凌雪
スチール
原田大三郎
佐藤芳夫
視覚効果
中野稔
光学撮影
小野寺浩
宮重道久
全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第9回 日本アカデミー賞(1986年)

受賞

音楽賞 武満徹

ノミネート

助演男優賞 植木等

第58回 アカデミー賞(1986年)

受賞

衣装デザイン賞 ワダ・エミ

ノミネート

監督賞 黒澤明
撮影賞 斎藤孝雄 上田正治 中井朝一
美術賞  

第43回 ゴールデングローブ賞(1986年)

ノミネート

最優秀外国語映画賞  
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(C)1985 KADOKAWA/STUDIO CANAL

映画レビュー

5.0破滅と美の交響曲 黒澤の半自伝的映画

2024年11月19日
iPhoneアプリから投稿

視力の衰え、自殺を試みた絶望の淵から、黒澤明がその全てを賭けて創り上げた映画『乱』 日本映画界から追放された巨匠がフランスの支援を受け、最後の作品となる覚悟で挑んだこの大作には、時代を超えて響き渡る慟哭と美が宿っています。 物語の核は、愛する息子たちに裏切られた老人の破滅。けれど、それは単なる物語ではなく、黒澤自身の人生と絶望が刻まれた傷跡でもあります。 序盤、「三の城」の戦闘シーンは、息を呑むほどの構図と動きでスクリーンを彩ります。その完璧さは、後にマーティン・スコセッシが『ギャング・オブ・ニューヨーク』で模範したと言わせたほどだ。そして、黒澤を“先生”と崇めるスピルバーグの「プライベート ライアン」が未熟な映画にすら思える。 だが『乱』が真に恐ろしいのは、主人公が正気を失い狂気に飲み込まれる後半部分。その圧倒的なエネルギーは観る者を呑み込み、エンドクレジットが流れても席から立ち上がれないほどの衝撃を与えます。 原田美枝子が斬首されるシーンでは、黒澤映画の象徴とも言えるダイナミズムがさらに洗練され、美しい残酷さとなって胸に刻み込まれるでしょう。 この映画を絶賛したのは世界の名だたる批評家たちの中でも、最も辛口で知られるロジャー・エバート。彼が最高得点をつけざるを得なかった、『乱』に対する彼の批評もまた素晴らしい。 これは単なる映画ではなく、普遍的な破滅の物語であり、芸術の極み。

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エライ

5.0神や仏も泣いているのだ。

2024年11月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

NAGOYA CINEMA Week 2024でこの日一度だけの上映。たまたま休みと重なったから鑑賞。 カラーになってからの黒澤作品は、なんていうか色がうるさくて、好きじゃなかった。七人の侍や蜘蛛巣城、用心棒、、、何度も何度も観たけど影武者、乱は公開以来観ていなかった。 やっぱり黒澤映画は面白いや。観るたびに発見がありますね。 キャストがオーディションで選んだ影武者より、断然良い。 二郎も三郎も亡くなって、丹後は夕陽評論家になっちゃったな。 野村萬斎だったんだ。 仲代さんは偉大な俳優だけど、あの舞台のメイクと舞台の演技はちょっと受け入れられない人はダメだろうな。 哀しい場面には明るい音楽がより哀しさを際立たせるって言ってたのは、黒澤さん本人なのに、哀しい物語に哀しい俳優、哀しい音楽。 主役が三船敏郎さんで、音楽が佐藤勝さんだったらどんなにか面白かったろうに。(三船さんは、映画スター、アクションスターだもんね) 黒澤明の神視線。 神や仏は戦争という人間の愚かな行いに泣いているのだ。 今こそリバイバル拡大公開して多くの人に観てもらうべき作品だと思う。

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大吉

5.0戦国合戦物の傑作

2024年2月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

単純

興奮

 戦国合戦映画としてこれほど面白い映画は他に見たことがありません。まず映像の美しさ、次に話の面白さ(シェイクスピアの翻案だから当然か)、更に音響効果もあいまった合戦の迫力の3拍子揃った傑作です。一度は見る価値あり。

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FormosaMyu

4.5毒を飲めというなら喜んで飲む。

2023年10月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

これほど悲しい話はない。 人間の業について、徹底的に描いたこの作品は娯楽を完全に超え、芸術と形容するしかない映像作品となった。 まず、不満点から。 NHKのせいなのか、元々なのか知らないが、音が聞き取りにくい。何言ってるかわからない。おそらく、吹き替えせずにロケで録った音を使ってるからだろうが、イっテQでももっと音質がいい。折角至高の脚本を使っているのに、セリフが聞こえなくてストレスしかなかった。後ろで母親が洗い物なんか始めると、視聴を止めなければならない。 もう一つ、少しくどい。日本映画の巨人の最高傑作にこんな言い方すると各方面に角が立ちそうだが、にしても長すぎる。いや、長いというより、飽きる。長いことは問題ではないが、同じアングルのカットが多すぎて、見飽きてしまう。流石に致命的すぎるので、恐らく僕にはわからない何か意図があったのかもしれない。例えば、違和感を感じさせることによって、より地獄絵図を僕の脳に刻ませるとか。 いずれにしても、こんな不満点があるのに、それでも、この映画を名作と言い切れてしまうのは、唯、脚本の良かったからだ。 人間のさまざまな業について、物語で描き切っただけで、この映画には存在価値がある。本当に、脚本を本にして、売って欲しい。僕は買う。 また、自分にとってはかなり意外だったのだが、女性がとても魅力的だった。名前は忘れたが玉藻前のようなあの女性は映画で観た日本人女性の中で最も魅力的だった。勝手なイメージだが、黒澤明は女性を撮るのが苦手、もしくは不得手だと思っていたが、全然そんなことない。とても美しかった。だけど、演技は下手だった。人によるだろうが、自分はあの大仰な演技が苦手だ。つまり、この作品の俳優の演技全般を評価しない。 最後にもう一つ、不満点。 これ戦国時代を舞台設定にする必要なかったと思う。そうすれば、もっと安く済んだし、採算もあったはず。 色々不満点もあったが、本当に観てよかった。わからなかったことが多いからまた見ようと思う。

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