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歴史に記されていない古代世界を舞台に、奴隷から王座へとのし上がった英雄コナンの冒険を描くヒロイック・ファンタジー『英雄コナン』シリーズの第1作。
双頭の蛇を旗印にした軍団に両親を殺され、奴隷として売り飛ばされた少年コナン。筋骨隆々とした青年へと成長した彼は、剣奴として頭角を現し、ついには自由を手に入れる。
コナンは旅先で出会ったサボタイ、ヴァレリアと共に邪教の塔へと財宝を盗むために忍び込むのだが、そこには見覚えのある紋章があった…。
脚本は『ミッドナイト・エクスプレス』の、巨匠オリヴァー・ストーン。
主人公、コナン・ザ・バーバリアンを演じるのは『ロング・グッドバイ』のアーノルド・シュワルツェネッガー。
原作は1932年に作家ロバート・E・ハワードが生み出したパルプ小説「英雄コナン」。
日本では「コナン」といえば『名探偵』か『未来少年』がまず頭に思い浮かぶが、米国ではこのフランチャイズは大変人気があるらしく、現在に至るまで小説、コミック、ゲームなど様々な媒体で新作が発表され続けている。中でもマーベルやダークホースコミックスによりに出版されていたアメコミシリーズが「コナン」のイメージを決定付けたらしく、本作もその影響下にあると言って良いだろう。
主役を務めるのは我らが英雄、アーノルド・シュワルツェネッガー。
今でこそ知らぬ者のいない銀幕の大スターであるシュワちゃんだが、元々はボディビルダー。本作以前にも映画への出演経験はあり、特に『ステイ・ハングリー』(1976)という作品ではゴールデン・グローブ賞の新人俳優賞を受賞するなど注目はされていたのだが、それはあくまでも“ミスター・オリンピア“という肩書きがあってのものであり、彼の演技が真に評価されてのものだったのかというとかなり疑わしい。
とにかく、70年代後半〜80年代前半、シュワちゃんはボディビルダーから俳優への転身を模索していた。
転機となったのはボディビルを題材としたドキュメンタリー映画『アーノルド・シュワルツェネッガーの鋼鉄の男』(1977)。たまたまこの映画を観たプロデューサーが「このシュワルツェネッガーという男にコナンを演じさせたら面白いぞっ!」と思い至り、本作への出演を打診したところから彼の運命は大きく動き出す。
アーノルド・シュワルツェネッガーという珍獣…もといスターを目玉として売り出した本作は大ヒット。更にこの2年後に公開された『ターミネーター』(1984)の歴史的成功により、彼の名は世界中で知られる事となるのである。
さて、本作は壮大なロケーションとオーケストラルなサウンドトラック、そして何より若さ漲るアーノルド・シュワルツェネッガーの筋肉の躍動によって、異常なまでのオス密度に満ち満ちている。また、北欧神話やヴァイキングをベースにした世界観は殺伐としていながらも絵画的な美しさも帯びている。
セットの豪華さも見どころで、特に山の中腹にあるカルト教団の本拠地は本当にそういう施設があるのかと勘違いしたほど。1,500人のエキストラを動員して撮影したという聖地巡礼シーンは、ただ人が並んでいるだけにも拘らず眩暈がするようなショックを受けた。
「剣と魔法(ソード・アンド・ソーサリー)」の原点と言われているだけあって、展開は王道中の王道。日本でもこのジャンルは人気が高く、ゲームや漫画などを中心に多くの作品が生み出されているが、それら諸作品が本作から大きな影響を受けている事は想像に難くない。特にRPG「ドラゴンクエスト」(1986-)の元ネタらしきものは随所で見つかり、ついついこれ「ドラクエ」の実写版か?と誤解してしまいそうになる。「ドラクエ」がBGMにすぎやまこういちによるオーケストラを選んだのも、本作の音楽に影響されたからなのかも知れない。
ゲームファンなら本作を鑑賞して損はないだろう。
シュワちゃんの出世作という、歴史的な価値のある一本ではあるが、面白いか面白くないかでいうと正直なところ全く面白くはない。
まずひとつ言いたいのは、シュワちゃんの演技の酷さっ💦外国人の演技の巧拙って、普通はそれほどわからないものなのだけれど、不思議なもんでこの映画だけははっきりとわかる。なんじゃその大袈裟な表情と拙い体捌きはっ!!衣装も相まって、もうただの原始人にしか見えない…。
相棒のサボタイの演技もまぁこれが酷い。演じるのはジェリー・ロペスという人物で、彼は俳優ではなくサーファー🏄メインキャストがボディビルダーとサーファーって、そんな映画後にも先にも聞いた事ないぞ。
この2人と比べると、王様を演じているマックス・フォン・シドーとかマジ超絶演技上手くてビビる。一流俳優の有り難みをしみじみと感じられるという点では、このキャスティングもありなのかも知れません。
ロペスのセリフはまさかの全吹き替え。別の俳優さんが声を当てています。
シュワちゃんの方はかろうじて本人が声も演じているのですが、やはり演技力に問題があったのかセリフは極端に少ない。全編を通して10個くらいしかセリフなかったんじゃないかな?
その為、本作はほとんどサイレント映画。手に汗握る冒険叙事詩でありながら、手触りは驚くほどに静かなのであります。
ストーリーは有って無い様なもので、壮大な映像と勇壮な音楽に合わせ、規格外のマッチョが黙々とただただ人を殺して飯食ってセックスしている。途中から「俺は一体何を見ているんだろう…?」という疑問が頭を支配し、内容の薄さと、それに反比例するかの様な映像的カロリーの高さにだんだんと頭がぼんやりしてくきた。
映像と音楽が心地よいから尚更頭がボーとしてきて、1時間過ぎたあたりからはもう眠気との勝負。映画を観ていてここまで眠くなったのは初めてかもってレベルの睡魔が襲ってきて、正直もう映画どころではなかった。
無駄にランタイムは長いし、「剣と魔法」という程魔法は出てこないし、今の基準で考えると残酷シーンもそこまで残酷ではないし、アクションシーンもなんか緩い。本当に観ていて辛かったのですが、クライマックスの大立ち回りは実にシュワちゃん映画らしくって良かった☺️頑張って最後まで観た甲斐がありました♪
…にしてもフェイスペイントして敵地に潜入し、トラップを仕掛けて大勢の敵と応戦するって、この人キャリアの最初からやってる事全然変わって無いのね。それ『コマンドー』(1985)でも『プレデター』(1987)でも見たぞっ!!