アルキメデスの大戦

劇場公開日:

アルキメデスの大戦

解説

戦艦大和の建造をめぐるさまざまな謀略を描いた三田紀房による同名マンガを、菅田将暉主演、「ALWAYS 三丁目の夕日」「永遠の0」の山崎貴監督のメガホンで実写映画化。日本と欧米の対立が激化する昭和8年、日本帝国海軍上層部は巨大戦艦・大和の建造計画に大きな期待を寄せていたが、海軍少将・山本五十六はその計画に待ったをかけた。山本は代替案を提案するも、上層部は世界に誇示する大きさを誇る大和の建造を支持していた。山本は大和の建造にかかる莫大な費用を算出し、大和建造計画の裏に隠された不正を暴くべく、天才数学者・櫂直を海軍に招き入れる。数学的能力、そして持ち前の度胸を活かし、大和の試算を行っていく櫂の前に帝国海軍の大きな壁が立ちはだかる。菅田が櫂役、舘ひろしが山本五十六役を演じるほか、浜辺美波、柄本佑、笑福亭鶴瓶らが顔をそろえる。

2019年製作/130分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:2019年7月26日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第43回 日本アカデミー賞(2020年)

ノミネート

最優秀主演男優賞 菅田将暉
最優秀助演男優賞 柄本佑
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(C)2019「アルキメデスの大戦」製作委員会

映画レビュー

3.5日本人の性のようなもの

2019年8月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

戦艦大和の建造をめぐる数学者の戦いという、原作の発想がまず素晴らしい。太平洋戦争には、非合理的な判断が数多くあり、先の大戦で最も欠けていた要素が、この作品の主人公の持つ合理的思考だろうからだ。戦艦大和はたしかに当時世界最大の戦艦だったが、全く戦果を挙げられないまま轟沈した。海軍の運用が適切であれば、もっと戦えたという意見もあるのだが、しかし、実力を出せずに散ったその姿は前後の日本人に判官びいきの感情とともに、無駄の象徴ではなく愛すべき対象として残ってしまった。
「この戦艦を作ってはいけない」と合理的な思考で判断をくだす主人公は、しかし、数学者として大和の設計を美しいと感じてしまう。数学者の業と日本人の判官びいきの心象がなんだか重なって見えるのだ。業や情緒を優先してしまうその有様はまさに日本人的だ。東京オリンピックのいざこざを見ていると、日本人は同じ失敗を繰り返していることは一目瞭然。なぜその失敗から逃れることができないのか。それは日本人の心象に深く根付いたもので、我々が日本人である限り逃れることはできないのかもしれない。

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共感した! 27件)
杉本穂高

3.5ファンタジー海軍と呪いの子ども

2024年5月7日
iPhoneアプリから投稿

あれれ〜?変だなぁ、ゴジラより全然おもしろいよ〜?
シナリオも、ところどころヤボ(蛇足)感なくはないけど、割と抑えられてて悪くない。
ていうかつまんないと感じる時間がほとんどない。これが日本映画だとかウケる〜
やればできる子!普段からこの調子でやってよー!

後半はもっとスパイアクション的になるかと思いきや、割とひたすら計算。それで正解なんだけどビジュアル的には地味→戦艦大和という問答無用の大ネタ→企画の勝利。そしてなにより戦艦大好き、大和ラブ!って人が愛情たっぷりに監督したことあってのミラクルなのかな。
VFX含めてこの出来は作り手にとっても快挙だろうし、さすがの庵野秀明も嫉妬したのでは?と思わずにはいられない。どうせならスピルバーグにはこっちを見てほしかったなー

菅田将暉はきっちり作品のトーンに合わせてくる的確なチューニングぶり。そこへ初手からギャグすれすれの帝国軍人仕草をかます柄本佑。つくづく、君のおかげで助かる命がある。
世に奥野瑛太が出てる映画はおもしろいの法則があるそうですが、今回もヌメっとした小悪党がいい。そういう奴にしか見えない。
そしていくらなんでもカッコよすぎの舘ひろし、絶妙な温度感で美声をかます國村隼、やや悪代官風味の橋爪功、と三者三様のゆかいな海軍と仲間たち、そこへ来て一番おいしいところを持っていくのは田中泯。
身体は大きく動かさず、絞った声とオーラだけで周囲をねじ伏せていく場面のスリリングさはまさに圧巻と言っていい。上手とか下手とか以前に胆力がスゲー、と思いました。そして最終的に悪魔かな?って思うようなキャラクターに仕上がってるんですよ!山田くーん、このキャスティングした人に座布団10枚以上あげてー!

原作の力があるとはいえゴジラより断然、好感触だったし評判以上だったので驚いた。
多少、演出が薄味すぎん?とか、わざわざ合わない劇伴をうっすら流すのかな謎…という場面もあるにはあったけど、そこまで多くはない。
とにかく冒頭のスペクタクル場面は山﨑貴+白組の気合いが炸裂してて想像以上だっだし、それがストーリー的にもちゃんと意味があったりなど、この手の娯楽映画としては文句なしの水準。えっ、私の基準、低すぎ…?

まぁ彼らが国家について語る時、なにしろそこに「陛下」のフレーバーがない限り、あくまで戦前の皮をかぶった現代人にしか見えませんけどね。。

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ipxqi

5.0戦争を巡る政治的な駆け引きの面白さ

2024年5月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

冒頭、戦艦大和が沈むシーンで「スゴい!」と映像の出来に唸ると同時に、悔しいような悲しいような、苦々しい感情が渦巻くのを感じた。
戦争の最中、散っていく兵士たちが悲壮で哀れだから?そういう要素もあるかもしれないが、「タイタニック」で沈没シーンを観たときには感じなかった感情だ。あの時はただドキドキと不安と恐怖と無力感だけがあった。
だが大和は違う。
無力感も、「諸行無常」のような寂寥ではなく、何故自分にはこの艦を救う力がないのか、悔しさのような歯痒さのような、積もり積もって怒りにまで達しそうな、そういう無力感だ。

衝撃の沈没シーンから一転、月日は遡って次期主力艦建造会議がこの映画のメインストーリーとなる。
大艦巨砲主義と航空戦略主義の対立からなる、戦艦か空母か?の会議バトルだ。勝敗を決めるポイントは「予算」。数字で完全に決着するハズなのなに、排水量も兵装も多い戦艦の方が見積りが安い、という状況に空母案を推す山本五十六たちは不穏な気配を察知。
たまたま遭遇した櫂に目をつけ、戦艦見積りのからくり調査を依頼して、櫂の奔走が始まる。

櫂と、補佐につけられた田中のやり取りがとにかく面白い。
演じる菅田将暉と柄本祐のコンビネーションも申し分なく、徐々に櫂の仕事ぶりに感じ入り、できる範囲でサポートに打ち込む田中は、この映画の一番身近なキャラクターだ。

軍が気に入らず、能力が高いゆえに不遜な櫂に対し、堅物で筋金入りの軍人である田中。突如上官となった年下の櫂に振り回される田中。軍でのお作法をさりげなく教えてくれる田中。
櫂が主役なのに、田中の事しか書いてないな。
まだ人気があまりなかった頃から柄本兄弟が好きだった私としては、こんな魅力的なキャラを演じている事がすでに幸せだから、許してほしい。

櫂と田中の奔走が、虚しく終わることは冒頭でも示されるし、歴史を見れば明らかだ。なのに、それを暫く忘れさせるほど、二人の必死さに飲み込まれていく感覚は快感ですらある。
さらにこの物語の肝になるのは、帝国海軍の威信を背負わされた「戦艦大和」への秘められた想いだ。
かなり台詞で説明されるものの、映画冒頭で感じた「無力感」を思い返せば、無理筋ではない。
歴史上の出来事を覆してしまえば一気にファンタジーに突入してしまうこの物語を、太平洋戦争前夜の日本に踏みとどまらせる重要なシーンで、今まで積み上げてきた「櫂直」というキャラクターにリアリティを持たせ切った菅田将暉は、本当に素晴らしい役者だと思う。

見積りの謎解きミステリー、会議を巡る思惑のサスペンス、戦艦に関わる人間たちのドラマ、櫂と田中のバディムービー、とかなり欲張りな映画だが、すべてが高次元でまとまっていて最後まで楽しめる。
血まみれのシーンもほとんど無いので、バイオレンスが苦手な人にもお薦めできる、貴重な「戦争もの」だ。

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つとみ

2.0コスパ、タイパの話し

漫画原作を観てから、山崎作品で初めて良かった、原作が長編、続いているのを無理やり短縮して詰め込まず大和建造のみに。原作のアイデア、そもそも先の大戦の戦備計画が正しかったのか?近い将来、衝突の可能性がある仮想敵国アメリカに性能、量産効率、低価格であるか、適切であったか、検証を試みる、面白い、これは現代の企業経営と同じで非効率で高くついた代償は300万人以上の犠牲者、700万人の引き揚げ困難者、空爆により日本全土が焦土となり、庶民は住む家すらなく、ノミや蝨の大量発生、食べ物もなく国民のほとんどがホームレスのよう、日本は世界最貧国に、不適切な無能な経営者にも程がある。

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全国連加盟国不可侵条約締結、武装中立、自由主義、多様性、男女平等、姓名、性別自由選択、推進派
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