素晴らしき哉、人生!

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

名匠フランク・キャプラ監督がジェームズ・スチュワート主演で贈る、アメリカの良心を描いたメルヘンチックなヒューマンドラマの傑作。子どもの頃からずっとツキに見放されてきた主人公ジョージは、それでも希望を捨てず、家族や町の人々に囲まれながら幸せな日々を送っていた。ところがクリスマスの日、彼は人生最大のピンチに追い込まれる。絶望した彼はついに自殺を図ろうとするが、そこに見習い天使と名乗る男が現れ……。

1946年製作/130分/G/アメリカ
原題または英題:It's a Wonderful Life
劇場公開日:1954年2月6日

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映画レビュー

5.0【”情けは人の為ならず。そして守護天使は何でも知っている。真摯に生きて来たが故に多数の友ある者は救われる。”今作は、【真なる人生の幸せとは何か】を見事なる作品構成、演出で描き出した逸品である。】

2024年10月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 素直に書くが、全く恥ずかしながら、今作は初鑑賞である。ー

■(多分、多くの人が知っているのだろうが、敢えて記す。)
 幼い頃から、真摯で自分の幸よりは他人の幸を優先して生きて来たジョージ・ベイリー(ジェームズ・スチュワート)。
 世界中を回り大学に行き建築家になる夢、愛する人と新婚旅行に行く夢、大きな立派な家に住む夢、という数々の希望を悉く様々な出来事により諦めながら、ジョージ・ベイリーは、他人の幸の為に生きて来た。
 それでも、彼は愛するメアリー(ドナ・リード)と結婚し、ボロッチイ家ながら4人の可愛い子供にも恵まれて、幸せな人生を送っていた。
 だが、ある日、父が経営していた小さな貧民に優しい住宅会社の社長を引き継いでいた彼であったが、彼の右腕の叔父のビリーが会社の8000弗を銀行に預けに行った時に、その金を紛失する。その金は、町の嫌われ者でジョージ・ベイリーに悉く嫌がらせをしていた町一番の金持ちのヘンリーの元に有った。
 ジョージ・ベイリーは、その金が無い事で会社が潰れる事に悲観して、自分の人生に絶望し、橋の上から身投げしようとしていた。そこへ、天使を自称する奇妙な老人が現れ、彼が飛び込む前に川に飛び込む。その姿を見たジョージ・ベイリーは川に躊躇なく飛び込み老人を助ける。
 だが、その後も「生まれなければよかった」と嘆くジョージに、奇妙な老人の姿をした2級天使のクレランスは彼が生まれてこなかった世界を見せるが、その世界の人達は親切心が無く、皆不幸な顔をして生きて居たのである。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・流石、名品と言われるだけあり大変に面白く、且つ【真なる人生の幸せとは何か】を見事なる作品構成、演出で描き出した作品であると思う。

・特に、前半から中盤で描かれるジョージ・ベイリーの半生が、2級天使クレランスが”ヨセフ”に相談した”計らい”で彼がいなかったら、という設定の中に、ジョージ・ベイリーが放り込まれるという設定と、ジョージ・ベイリーの半生の対比の演出が素晴しい。

・ジョージ・ベイリーが、【自分が生まれていなかった】町の人達の不寛容で、不幸せな姿を見て、”全てを元に戻して欲しい!”と祈ると、世界は元に戻っているのである。
 そして、大喜びしたジョージ・ベイリーは、家に帰り、4人の子供達を抱きしめるのである。そこにジョージ・ベイリーの窮状を知り集まって来た彼に恩義がある町の人々が、行った事を描くシーンも、観ていると多幸感に満たされるのである。

<”情けは人の為ならず”という諺があるが、今作はそれのアメリカ版であろう。今作が、アメリカのクリスマスの際に、定番としてある時期放映されていたという事実も良く分かる逸品である。>

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NOBU

3.0バックボーンはアメリカの寄付社会・共助の精神?

2024年9月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

<映画のことば>
一人の人生は大勢の人生に影響を与える。
その者が欠ければ、すべてが変わる。
わかったかね?
君の人生は素晴らしい。
それを捨てようなど、大きな間違いだ。

もちろん、評論子も住んだことがないので、その雰囲気はわからないのですけれども。
しかし、時あたかも「寛容の季節」のクリスマス。
孤立無援のジョージは、アメリカ社会が内包している共助(寄付精神)に救われたということで「人生だって、捨てたものではない」といったところでしょうか。

「One for all、all for One」(一人は皆のために、皆は一人のために)というのは、本来はラグビーのプレー精神を表すことばと聞き及びますけれども。

いずれにしても、本作のバックボーンには、「寄付社会」「共助社会」としてのアメリカがあることには、多言を要しないと思います。

そして、父子二代にわたってジョージが経営していた住宅融資組合というのは、日本になぞらえて言えば、「無尽」の仕組みらしいですね。

「無尽とは、一定の口数と給付金額を定めて加入者を集め、加入者が積み立てた定期的な掛金に基づき、抽選ないし入札などにより、順番に給付を受ける仕組みのこと」(日本無尽株式会社のHPから:三菱UFJ銀行のグループ会社?)
関東地方では無尽あるいは無尽講、関西地方では頼母子講(たのもしこう)あるいは単に頼母子と呼ばれることが多いようです(Wikipedia)。

そうであれば、本来はまったくの他人同士人たちが構成する相互扶助の組織という感じのようですね。
本作でも、相互扶助という、アメリカの国民性を暗喩するアイテムなのだろうと思いました。評論子は。

本作は、評論子が参加しているデスカフェで、2017年版が話題になったので、その鑑賞の前提として、まず本作を鑑賞することにしたものでした。
2017年版は未観ですけれども。
聞いた評では、同作は、また本作とは違った視点から描かれているようです。

1954年という製作年次をも併せ考えると、本作も、なかなかの良作ではあったと思います。

(追記)
聞くところでは、アメリカ国民の年間寄付額は、日本人30倍ともいわれ、彼我には格段の差があるようです。

それでも、日本にも(ささやかながら?)寄付の精神が根づいていることを、忘れてはいけないと思います。

「報恩仕法」という考え方のうちの「推譲」というのがそれで、江戸時代の篤農家・二宮尊徳が広げた考え方と聞きます。

[至誠]誠を尽くすという心の持ち方
[勤労]「至誠」を行動で表した状態
[分度]己の分を知り、贅沢を慎む(分に従って度を立てる=自己の財力に応じて予算を立て、合理的な生活設計を行う)
[推譲]至誠、勤労、分度に努めた結果として残った余剰を他に譲る。

別作品『飛んで埼玉』になぞらえて言えば、これは「神奈川県民」のバックボーンとも聞き及びますけれども。
そういう心がけは素敵だと、改めて思い起こさせてもらえた一本でもありました。評論子には。

<映画のことば>
友ある者は、幸せである。

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talkie

5.0キャプラ監督とジェームズ・スチュアートの名タッグによる言わずと知れ...

2024年8月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

キャプラ監督とジェームズ・スチュアートの名タッグによる言わずと知れたクリスマス定番の名作。黒澤明やスピルバーグも好きな映画にあげており、『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』のアイデアもここから。アカデミー賞作品賞や監督賞、主演男優賞など5部門にノミネートされるも無冠。ここ最近「伏線回収」が人気のキーワードだが、これほど爽快でハッピーに回収してくれる映画はあまりない。とにかく泣ける!

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mini

4.0人生を捨てちゃいかん

2024年7月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

70年前の映画です。
良い映画とずっと聞かされてるのに今まで観てませんでした。
いやはやもっと早く観るべきでした。
良い映画は何年たっても良い映画ですね。
会話のテンポもよく作品へどんどん取り込まれていくのが心地よい。
ストーリーもいつの時代にも心を動かせられる内容で
人生を捨てちゃいかん、自分を捨てちゃいかんと
思わせてくれました。

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tom