ジョーカー フォリ・ア・ドゥ : 特集
【ネタバレあり解説・考察&レビュー】ラストシーンの
意味は?賛否両論の理由は? 観客の証言をもって今作は
完成する… “世界を狂わせた傑作”を超える“個人的
大傑作”の衝撃を100倍強く味わうための徹底攻略ガイド
“社会現象となった「ジョーカー」をも上回ることが約束されている”作品がある。10月11日から日本公開を迎える
果たしてどれほどの衝撃作か? 第80回ベネチア国際映画祭での世界初上映を経て、現地時間10月4日の全米公開を迎えたなかで、
絶賛一色ではない
誰かのレビューや評判に左右されるのではなく、ご自身の心の声に従い、本編を確かめるか否かを決めていただければと思う。漫然と観ているだけでは、たどり着けない“境地”に達したとき、この映画は
【鳥肌モノのとんでもない映画】ジョーカーの狂乱が、
世界中に感染する…何かが起こる?衝撃のラストとは?
圧巻のクオリティ、前作からパワーアップしたスケール、ゾッとするほど真に迫った時代性、そしてとんでもないことが起きるラストを目撃してほしい。
◆あの傑作から、はるかにスケールアップした“大傑作”
“世界三大映画祭”などで激賞に次ぐ激賞、驚嘆に次ぐ驚嘆…世紀のショーは誰にも止められない
前作「ジョーカー」(2019)は米アカデミー主演男優賞®を獲得したほか、日本では動員4週連続No.1を獲得し、興行収入は50億円を超える大ヒットとなり、世界興行収入は1500億円と、R指定映画史上No.1(当時)の記録を樹立、世界的な社会現象となった。
あれから約5年。「ジョーカー2」が満を持して放たれる。
世界三大映画祭のひとつである第81回ベネチア国際映画祭(コンペティション部門)で世界初披露され、
“世界を狂わせた歴史的一作”と名高い前作をしのぐスケールへ進化した
◆物語は、“ジョーカーになった男”のその後を描く…
悪のカリスマか?ただの弱き人間か?ジョーカーとは一体誰なのか? 衝撃のラストに備えよ。
「誰もが一夜にして祭り上げられるこの世界」というテーマは、SNSが発達した現代社会の映し鏡。ゆえに、物語は
ジョーカーに待ち受ける運命とは? やがて訪れるラストを心して目撃せよ。
【レビュー】人生に殴り込みをかける切実さ…完璧な
前作を豪快に乗り越えた、気が遠くなる程の“大傑作”
実際に目撃してきた映画.comスタッフのレビュー(ネタバレなし)を掲載。ご鑑賞の参考にしていただければと思う。
●筆者紹介※以下、レビュー
正直、鑑賞前の期待感は半信半疑だった。
ところが、である。
●ジョーカーに共感し、自身が変革していく没入感…本当にヤバい映画だからこそ、人々の関心をとらえて離さない
もちろん異論は認めるが、個人的には
そして特筆すべきは、
この映画は本当にヤバい……だからこそ、本作は人々の関心をとらえて離さず、ベネチアをはじめ世界中を騒然とさせているのだと、言葉ではなく心で理解できた。
●呼吸も忘れ、上映時間が吹き飛んでいく…その切実さは、観る者の人生に殴り込みをかける
ほかにも
呼吸も忘れるほどの物語だったが、
そして空っぽな人気を欲するのではなく、
意図を探れば探るほど
【解説・考察】ラストの意味は?現実か妄想か?これに
気づくと「ジョーカー2」の衝撃は“魂まで貫通する”
繰り返し語っているが、本作は非常に刺激的な
本記事最後の項目では、
◆ここが必見①:「現実か、妄想か」という大仕掛け…紐解く鍵は“アニメーション” 冒頭から見逃さないで
本作は
「現実/妄想」を判断する鍵は
アニメーションは、確認できただけでも4箇所あった。1つは、アーサーとリーの出会いの直後。アーサーが患者たちとテレビモニターに映るアニメを観ている最中、唐突に歌い出し、患者たちもにこやかに歌うのだ。これは結局、アーサーの妄想だった。
そして2つ目は、物語終盤のアーサーとリーが電話で対話するシーン。画面端に小さくテレビモニターが置かれており、そこにアニメが映されている。その後、アーサーの法廷での最終弁論を経て、裁判所が爆破される。これだけの大惨事なのに、誰が実行したのかは、まるでどうでもいいことかのように描写されなかったので、爆破も“ディテールに現実味がない妄想”だとも解釈できる。鳥肌が立ってこないだろうか?
さらに3つ目は、ラストシーンの直前。州立病院に逆戻りしたアーサーは、うつろな表情でテレビに流れるアニメを見つめる……そしてラストにつながる(その先の解釈は後述の「ここに必見④」を参照)。
そして4つ目は、今作は「俺と俺の影」と題したアニメで始まる。これがどんな意味を示すのか……
◆ここが必見②:楽曲の歌詞に要注目…“物語展開の暗示”をたどれば、“見えていなかったテーマ”が浮き彫りになる――
本作では、ジョーカーの一挙手一投足をサスペンスフルに描きながら、「What the World Needs Now Is Love」など、名曲の数々をホアキン・フェニックスやレディー・ガガ自らがカバーし歌唱する
耳で楽しむのもいいが、映画.comユーザーには歌詞に着目してもらいたい。普通、映画で登場する楽曲や本は、
注意深く歌詞の意味に思いを巡らせ、物語を追うと、気づけばあなたは
そして、エンドロールも油断することなかれ。最後に流れるダニエル・ジョンストンによる
初見時には唐突に流れたかに聞こえるであろうこの曲は、「ジョーカー」と今作「ジョーカー2」の鑑賞者に向け、監督から贈られるメッセージでもある。今作は
◆ここが必見③:“ジョーカー”とは何者なのか…アーサーか?新たな悪の誕生か?リーこそが黒幕?
前作よりも深く、
さらに言えば、アーサーの外側にいる“悪”に注目してみるといい。物語はアーサーが本当の意味でジョーカーへとなる過程を描出しつつ、ラストシーンは「新たな悪の誕生」とも解釈できる余地を残し、閉じられている(「ここが必見④」で後述)。
また、手がかりを作品の外からも求めてみるとなお興味深い。例えば、リー役のレディー・ガガが発表した、今作とコラボしたアルバムや楽曲がある。そのなかの一曲「The Joker」で、ガガは
普通に考えればその歌詞は「人間誰しも悪を抱えている」という比喩表現だが、意図された裏設定を、歌詞の形で表出させたガガの遊び心と深読みすれば、
もちろん上記に異論はあるだろうが、何が言いたいかというと、かような論理的な解釈を加えれば、最初は意味がわからなかった要素も
◆ここが必見④:ラストシーンの衝撃に備えよ…ジョーカーは死んでいない?
「ここが必見①」「ここが必見③」でも触れたが、ネタバレ解説・考察である以上、ラストシーンを詳述しないわけにはいかない。
裁判所の爆破と逃走劇を経て、州立病院へ逆戻りとなったアーサー。テレビでアニメをぼんやり見つめる最中、職員に「お客だ」と呼ばれる。廊下に出ると、アーサーは患者仲間の1人に何度もナイフで刺され――ゆっくりと床に倒れ伏し絶命する。
ここがまさに、
考えられるパターンとしてはいくつかある。
となれば、
トッド・フィリップス監督が「(目的は)まるで狂人によって作られたかのように感じさせること」とコメントしたとおり、まさに
そして交換された感想は、さらにその先の誰かへと伝播する……これこそが、
また、海外からは前作「ジョーカー」との“作風の違い”を揶揄する声がチラホラ聞こえるが、むしろ上述の
もう一度映画館へ駆け込み、作品から感染した“何か”を言葉にすれば、あなたは「ジョーカー2」の一部になれる。
◆最後に:全米公開で「批評家スコア33%、観客スコア31%」の評価はなぜ? 作品構造と観客心理から紐解く「酷評の理由」
「ジョーカー2」はアメリカで10月4日(現地時間)に公開され、どのような評判になるか注視していたが……筆者は背景や製作陣の狙いを読み解ければ、その衝撃が魂まで届く“人生の一本”になると考えていたので、今作への評価が「辛口批評サイトRotten Tomatoesでは批評家スコア33%、観客スコア31%」だったことにひどく驚いた。
日本国内にもこの数字が伝わり、SNSでは「酷評」と話題になったが、現地の観客レビューの内容を観察すると、
前作「ジョーカー」は社会的弱者だったアーサーが悪へ変貌する萌芽を描出していただけに、今作「ジョーカー2」はついにジョーカーが不条理な社会を豪快にひっくり返す……とはならない。アーサーは法廷で弱々しく「ジョーカーはいない」と呟き、心酔していたからこそ極度に幻滅したリーは、真顔でアーサーのもとを去っていった。
というのも、トッド・フィリップス監督はインタビューで、前作「ジョーカー」は悪のカリスマとして祭り上げられた男の悲劇を描いたのであって、
この作品構造ゆえ、
(※補足:特にアメリカ=原作のDCコミックスの原産国で、炎上が広がっていることに留意したい。
その一方で、
「ジョーカー2」をめぐる論争は、
あなたはこの一作をどう観るか? 筆者自身も、まだすべてを拾いきれていないため、何度も映画館へ足を運ぶつもりだ。他人の意見に左右されず、ご自身の目で確かめてほしい。そして、その感想をぜひ聞かせてほしい。