風立ちぬのレビュー・感想・評価
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苦しい時代を生き抜こうとする男
主題歌でタイトルだけは知ってはいたが、内容まではわからなかったので、テレビ放送の録画で鑑賞。
飛行機を設計する夢を見ていた二郎の日常と成長を描いており、様々な困難を乗り越えていく姿に感動した。
どんなに苦しくても自分なりに頑張って前向きに生きていくことの大切さが伝わってきた興味深い内容でした。
夢と現実が交錯する興味深い構成でした。
注意してみていなければ、それぞれのシーンが現実なのか夢なのか、区別が付かなくなるところでした。そんな中、当時の時代背景が事細かく描かれ、そこで展開される恋愛模様もまた、この時代独特の純真さが溢れていて、切なくなるほど羨ましい限りでした。ちょっと評判の良くない意見も聞いたのですが、庵野秀明氏のアフレコは嫌味の無いとても純朴な演技で、なかなかどうして悪くなかったと思います。聞いた話、特撮好きで自らウルトラマンを演じた同氏のことですから、大空に憧れる青年役にやり甲斐を感じられたのではないでしょうか。
あと、「オネアミスの翼」と内容的に共通する話だったと思います。「開発費の何分の1かを減らすだけで貧しい人々に温かい食事を」などというセリフを思い出しました。あの映画と同じく、やはり軍事費で無ければお金を出して貰えない、やる気が出ないということなのか。やれやれ、人間というのは困った生き物ですねw
学生時代によく読んだ純愛小説を思いだした
菜穂子は風。二郎は飛行機。風が吹いたから飛ぼうとする話。
物語の要約:
飛行機が大好きな少年が大きくなり戦闘機の開発者になる話。話の途中で妻となる女性と運命的な再会を果たし結婚するが妻は病気で亡くなる。
点数:2.0
難しいのでお勧めしません。飛行機と妻と昭和初期の時代などテーマを詰め込みすぎている。難しすぎて退屈で面白くない。
ヒロインは主人公の妄想:
本作の病弱なヒロインはナウシカやもののけ姫とは違うヒロイン像を提供するが病弱だけではない隠し要素がこのヒロインにはあると思う。汽車の中で主人公とヒロインが初めて出会うシーンで風に飛ばされた主人公の帽子をヒロインがキャッチするが、その時初対面なのに二人がわざとらしく息の合ったセリフを言う。このわざとらしさからおそらくヒロインの菜穂子は主人公の二郎の妄想上の人物だと思った。妄想なので二郎はすぐに詩の後半が言えたのだ。リアルだったら汽車の音がうるさくて1回ではよく聞き取れないはずだ。さらに劇中では二郎は妄想が好きな人物として描かれている。飛行機に乗る夢を見たり、会ったこともないイタリア人の飛行機開発者と会う妄想もしている。だから菜穂子という人物も妄想だと思う。別荘でのプロポーズのシーンで二郎は紙飛行機を2階にいる菜穂子に投げるのだが紙飛行機の飛び方が飛びすぎて不自然なのは菜穂子が映画の世界に実在していない証拠である。菜穂子という人物は最初からいなかったと私は思う。実際では二郎は軽井沢の別荘に保養でいったのではなく妄想症の治療に行ったのだと私は推測する。
ヒロインの正体:
ヒロインの正体は風だと思う。風は目に見えないが飛行機を飛ばすためには絶対必要である。飛行機が飛ぶためには翼に揚力という力がかかっていないといけない。揚力を発生させるのは翼の形態と風である。風は目に見えないのでヒロインは妄想の人物である。だが主人公の二郎という飛行機を飛ばすためにはヒロインの菜穂子という風は絶対に必要な存在であった。
視聴:地上波テレビ 初視聴日:数年前 視聴回数:数回
陶酔
主人公の声が庵野氏が浮かまくり
『魔の山』とモネの『日傘の女』をリスペクト。
震災で始まり、空襲で終わる。
それがなければ、この映画はベタなメロドラマに過ぎない。
彼らは天才的な技術者であっても、中国人にとっては、ある意味『オッペンハイマー博士』のような方。
空襲の戦火や黒雲のあとに彼らの作った飛行機の残骸が現れる。つまり、下に住む人たちは日本の本土とは限らない。戦闘機や爆撃機は敵を攻めるものなのだから、国土で落ちて残骸にならないのだから。
DISNE◯映画故にの美国のやった愚行等の微塵も出てこないが、それ以上の事を近代国家以前の大日本帝国は海外へもそして自国民に対しても行っている。
それが最後に分かり、共感とする。
追記
これから、僕は近代国家になったかもしれないドイツへ向かう。
追追記
彼の最初に作った爆撃機はユンカース急降下爆撃機にそっくりだが、実用されたのだろうか?
大人になったから理解できた
ジブリの中でも宮崎駿作品が大好きで、今まで駿作品を何度も繰り返し見てきましたが、風立ちぬだけは、レビューや、色々な考察を見て、どこか忌避しているところがあり、今日初めて最初から最後まで見通しました。
「堀越二郎が仕事に没頭して病気に侵された妻を放ったらかしにしている」、「カプロー二は『ファウスト』のメフィストで、望みを叶える代わりに菜穂子を連れて行った」などの感想や考察がありますが、私は純粋に、この映画を見て、ただただ感動しました。
まず、堀越二郎さんは、困った人や助けを求める人に分け隔てなく手を差し伸べるような優しさや、困難が立ちはだかっても諦めずに立ち向かう勇敢さを持ち、嘘や偽り、羞恥に誤魔化されない清廉な心を持つ、格好いい男です。駿作品のどの主人公にも劣らない、素晴らしい人物です。
この物語は、菜穂子さんとのラブストーリーのように評価をされる方が多いですが、私は、そこに重きが置かれているわけではないと思いました。
日本が、貧乏で武力的にも弱い時代。堀越さんは、最初は美しい飛行機を作りたいだけだったかもしれませんが、そのためには、お金を工面するため軍が要望してくるような戦闘機を作らなければなりません。また、仕事を進めていく中で、日本と世界との飛行機製造技術の乖離を突きつけられ、いつしか日本の先頭で、飛行機製造を担っていくことになります。堀越さんは、決して聖人ではないと思います。自分の夢を叶えるために、戦闘機を作る覚悟もしていた。誰しもが経験したことのある、夢と現実との葛藤です。そして、多大な融資を受けた仕事を遂行する重責を感じる日々。その堀越さんのロマンに加えて、計算や、理論では推し量れない、菜穂子さんとの「愛」がある。この、温かく我儘な二人の愛は、言葉で片付けられません。
菜穂子さんが結核に侵されている時、堀越さんが煙草を吸うシーンがありますが、レビューでは、「堀越さんが冷たい」と書かれてあるものがありました。でも、物事の分別よりも今の二人の時間を優先してしまうことってあると思うんです。二人は、一日一日を大切に、人間的に生きていくことを望みました。堀越さんが冷たいのではなく、お互いを想う気持ちが止められなかった、ただそれだけだと思うのです。「美しいところだけ…」というセリフで、もちろんそれもあると思いますが、菜穂子さんは、堀越さんが飛行機を完成させるまで、一緒にいてあげたかったのかなとも思います。
最初は、なぜ今まで見ていなかったのか、とも思いましたが、社会を知り、愛を知り、今だから感動できた、という気持ちの方が大きいです。日本人、全成人に見てほしい素晴らしい映画です。
日本を背負って発展させた先人達に感謝を持ちつつ、私たちの使命を痛感しながら、堀越さんのように世界を先駆け、日本を支えられるよう、明日からまた精進していきたいと思います。
何を一番に見せたかったのかイマイチ分からない
アニメーションの完成度は文句なしですが、最近のジブリ作品同様、肝心のストーリー展開や人物描写に関しては焦点がバラけていると言うか、何を一番に見せたかったのかイマイチ分からないものになっています。
そもそも、主人公である堀越二郎氏が「戦闘機・ゼロ戦の設計者」であるという事を知った上で観に来るジブリファンがどれだけいるのでしょうか?そして知らない人に対して堀越氏の半生と偉業をどう伝えたかったのか?その辺が見えないので、単に宮崎駿氏が描きたかったものをツギハギしているだけの自己満足で終わっているように思えます。
他の人の指摘にもあるように、この作品は戦前〜戦中の飛行機開発の苦労を描きたいのか、少年の頃の夢を叶える情熱とサクセスストーリーを描きたいのか、ふたりの悲恋を描きたいのか、震災や戦争により疲弊していく日本の歴史の悲劇を描きたいのか、それぞれ焦点がバラけてまとまりが無く、どれも中途半端な扱いで描き切れていません。
結局、肝心の「ゼロ戦」を制作する過程や戦争の描写はほとんど描かれないまま終了。戦争に突入して行く当時の緊迫した時代背景の変化をきちんと踏まえたうえで、堀越氏の大好きな飛行機を作れる喜びや、その飛行機が戦争に使われる事の苦悩などを描かないと、こちらに訴えかけるものが無いように思えます。
何を伝えたい作品なのか分からなかった
ジブリの中では長い(120分超)のに薄く、正直退屈してしまった。
実在の人物を忠実に描くためには仕方ないのかと思ったけど、「堀越二郎」は名前と職業のみ借りていて、彼の中身は風立ちぬの作者とのこと。創作であればやっぱり微妙と思った。
「生きねば」というほど主人公が生きるために苦労しているように見えない。
この国はどうして貧乏なのかと言いつつどこか他人事のように見える。
美しい飛行機を作りたいという純粋な夢が殺戮に繋がることを、葛藤している描写が特にない。
ぼんやりしてて変わり者で優しいのは魅力的だけど、ただそれだけなので物語も平坦に進む。
他の人も話している声問題もやっぱり気になった。
耳をすませばの雫父もなかなかの棒読みでびっくりしたけど、あれはどこにでもいる普通のお父さん感があって逆にいいんだろうなと思えた。でも堀越二郎はこの作品の主人公でずっと中心にいるので、更に物語を平坦に感じさせる一因になっている気がした。そもそも青年役にしては声が重たいような、、
また、ヒロインは二郎に恩があり少ない交流の中で好きになる理由が分かるけど、二郎はなぜヒロインを愛しているとまで言えるのか最後まで分からなかった。
再会してからは紙ひこうきで遊んだくらいでは?
唯一、
周りの人が「健気だ」と当たり前に助けてくれるのは都合がいいなと思いつつ、
菜穂子が(おそらく)自分の限界を悟り束の間の夫婦生活を強行したところ、「美しいところだけ好きな人に見てもらったのね」という上司の妻の言葉には感動した。
ジブリ作品で一番好き
堀越二郎氏を誤解させる映画
作中に描かれるゼロ戦設計者の堀越二郎氏は、零式艦上戦闘機を設計するにあたって血を吐くほどの努力をされたと聞いています。その動機は、かつて自らが軍国少年だったと自嘲気味に語る宮崎駿氏が本作で描いた「美しい飛行機を作りたい」というようなファンタジックなものであるはずはなく、日本海軍の高すぎる要求性能に応えるべくまさに「戦争に勝つために作り上げた戦闘機」に他なりません。
私は本作の批評本ともいえる小川榮太郎氏の「永遠の0と日本人」を読みました。
宮崎氏の映画は代表作の一つの「風の谷のナウシカ」のように、「現代文明を否定しながらも現代文明をバックボーンにしてしか語れない」という重大な欠点を持つと小川氏は指摘しており、「風立ちぬ」も同種の事実誤認に基づく部分が見られると厳しい指摘をしていましたが、正にその通りだと感じました。
戦争とは凄絶なものです。繰り返してはならないと思うのであればこそ、その悲惨さに迫らなくてどうするのだ、と感じています。
宮崎氏はこの映画で「あの戦争のおかしさを描きたかった」と言っていましたが、そんな正面突破はどこにもなく、「勝つための兵器づくり→美しい飛行機づくり」と趣旨をまるですり替えてファンタジーにしてしまったのは大いに失望しました。
宮崎氏が本当に日本国を憂う人なのであれば、このような作品の作り方は逆にできなかったでしょう。残念な映画の一つです。
少年の夢
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少年時代から航空機の設計技師になりたかった主人公が、
見事にその世界のエリートとして日本初の飛行機を開発する。
でもその技術は零戦に使われる悲しき運命。
あと嫁も結核で早くなくしてしまう。
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少年時代の純真な主人公が夢をかなえる物語。
でももうちょい嫁のことを大事にして上げなさいよ。
と言っても今と時代背景が違うから、行動に違和感を感じるだけで、
彼は彼なりに妻を愛しているというのは伝わったからいいか。
タバコよりワシの感動を返してくれ
誰の同意も得られないけど…終劇すぐの私は、この作品を「君のおかげで何とか人間でいられました。」と書いてある、宮崎駿から自分の妻へ贈ったラブレターのように感じてしまった。涙が止まらず座席を立てずにいる私に「タバコ吸うかね普通(笑)」とパートナーが語りかけ、私の夢は醒めた。ティッシュを投げつけ拾わずに退席、パートナーがなにか言うのを無視して同じ階の共用イスに座りガラス越しの空を眺めていた。その時頭に浮かんだ言葉は「タバコ吸いてぇ」でした(嘘)…空を見ながら、煉獄で二郎を待ち続けた菜穂子が羨ましくもあり、自分にはあの若さはもうないんだと馬鹿なパートナーがやって来るまでの時間で妄想していました。駿さんの奥様とこの映画について少し話してみたくなりました。
菜穂子の命を貰い二郎が完成させた飛行機は「九六式艦上戦闘機」二郎曰く自身会心の作だったとの事です。「風立ちぬ」もやはり宮崎駿監督の会心の作であり、おそらく宮崎駿ベストの完璧な映画です。菜穂子の「生きて」という声に対して、その時々で異なった感想を持つ不思議な映画です。
庵野秀明の幻惑ボイスをディスる野暮な方もいますけど、エヴァQのあと鬱症状が強くなり、会社へ行けなくなった庵野を鈴木Pとパヤオが声のオーディションに強制参加させ、「風立ちぬ」に関わることで心が回復していったという逸話があります。お前らこの逸話でご飯三杯行けない奴はアニメファンじゃねーんだよ。バーカ。という映画です。
話は変わりますが、「九六式艦上戦闘機」の後継機があの「零式艦上戦闘機」であります。ジブリ「風立ちぬ」の後続作品があの「かぐや姫の物語」です。「ゼロ戦」も「かぐや姫」も空前絶後の大傑作ですが、その後の破滅を呼び込んでしまいました。エンジンの脆弱性=日本語使用人口の少なさと思い至ってしまい、気分が暗くなり生きるのが辛い。終わり。
面白かった
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