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7月1日更新

未曾有の悲劇を深追いせず、映画的醍醐味が味わえる佳作に クライマーズ・ハイ

  • クライマーズ・ハイ
  • あの夏の惨劇――直後に動き出す地元新聞記者たちの闘い。編集局内の確執や販売局との対立といった事態に直面し、ブンヤ魂が熱くほとばしる。カオスの中、脇役たちが活写され、局内の管理職・蛍雪次朗、遠藤憲一、でんでんら個性派キャラは、ここぞとばかり全開だ。 単なる事件記者ものではない。あれから23年経った現在から、極限状態の中を無我夢中で生きた全権デスク・堤真一が、トラウマともなった過去を思い起... >>続きを読む

映画好きなら誰もが楽しめる、究極の娯楽映画 ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!

  • ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!
  • 「好きこそものの上手なれ」という言葉に宿る真理を、初めて心底、痛感させてくれたのはクエンティン・タランティーノだった。そしていま、そのタランティーノだって猛烈な嫉妬と称賛をわき上がらせずにいられない才能が登場! それが英国の天晴れな映画バカ、エドガー・ライトだ。 ゾンビ映画への愛を昇華させた「ショーン・オブ・ザ・デッド」も傑作だったが、同じ主演コンビ(サイモン・ペッグは脚本も共同執筆)... >>続きを読む

松田優作ならこの映画に何て言うだろう? カメレオン

  • カメレオン
  • 映画「野獣死すべし」やTVドラマ「探偵物語」で知られる脚本家・丸山昇一が、およそ30年前に松田優作のために企画した幻の脚本「カメレオン座の男」を映画化した作品だそうで、阪本順治監督×藤原竜也主演というので相当期待したが、ストーリーの根幹となるプロットが何も効果がなく、“ハードボイルド”というより半熟にもなっていない卵で、ぼくの映画観とは対極にある映画だった。 「オールド・ボーイ」のチェ... >>続きを読む

6月24日更新

“重力からの解放”と“速さの極限”を目指すことの快楽を体感させてくれる スピード・レーサー

  • スピード・レーサー
  • 遂に重力から解放され、疾走するレースカーの速度は観客の動体視力の限界に挑む。世界の彩度と輝度は極限まで高まり、人間の可視域を超える。それら、網膜と鼓膜が受け取る刺激のすべてを、ただ受け入れる。すると、ある種の化学物質を静脈に直接注入したかのような目眩く快楽が五感を充たすのが分かる。「速度」という名の主人公が操るのは自動車ではなく、これはカーレース映画ではない。これは、重力から解放されること、... >>続きを読む

家族の一日を描いて女の一生を語る、奥の深い映画 歩いても 歩いても

  • 歩いても 歩いても
  • チェーホフは、「おはよう、今日も天気がいいわ」というセリフで愛を告白すると、何かの本で読んだことがある。優れた戯曲は、何気ない日常会話でその人間の過去や性格、現在の心境までも表現してしまうということなのだろうが、この映画もまさしくその範疇に入る作品だ。何か事件が起こるわけでも、ドラマティックな展開になるわけでもない。初老の両親の家に、息子と娘がそれぞれの家族を連れて里帰りする。その夏の一日を... >>続きを読む

新人監督のユニークなセンスが際立つ“少女映画”にして“郊外映画” 水の中のつぼみ

  • 水の中のつぼみ
  • シンクロナイズド・スイミングをモチーフにした青春映画だが、華麗なシンクロ場面はほんのわずか。「ウォーターボーイズ」のように、登場人物が一致団結して何かを達成するスポーツ・ドラマでもない。セリーヌ・シアマというフランスの新人女性監督が、思春期の女の子3人の生態を生々しく綴った“少女映画”である。 何が生々しいって、少女たちの肉体の撮り方が生々しい。15歳の主人公マリーはガリガリのやせっぽ... >>続きを読む

6月17日更新

PTSDを題材にあくまでも“人間”を描いたポール・ハギスの新作 告発のとき

  • 告発のとき
  • イーストウッドの「硫黄島」2部作や「007/カジノ・ロワイヤル」などを手掛ける売れっ子脚本家であり、「クラッシュ」でアカデミー賞最優秀作品賞を受賞したポール・ハギス監督の最新作である。 感動してもらうよりも、大勢でディスカッションしてもらえるような作品を作りたいという彼は、今回イラク戦争からの帰還兵たちに急増しているPTSD(心的外傷後ストレス障害)を題材に選んだ。 行方不明にな... >>続きを読む

ただ日常的な営みを積み重ねることで、生きる力は呼び戻される 西の魔女が死んだ

  • 西の魔女が死んだ
  • これは傷ついた少女の魂が、祖母とのふれあいを通してゆるやかに変容する物語だ。学校に疲れ切った女子中学生が、田舎で暮らす“西の魔女”と呼ばれる英国人祖母のもとで、一夏を過ごす。生きづらさを乗り越える不思議な能力が身につくかもしれないと、少女は半ば信じていたのだろう。しかし、祖母が魔女になるために課したのは、ただ日常的な営みを積み重ねること。それは、しおれた植物を甦らせるのは魔法や超能力ではなく... >>続きを読む

様々な格差や壁を壊していくルコントならではの繊細なドラマ ぼくの大切なともだち

  • ぼくの大切なともだち
  • ルコントの新作の導入部には、この監督のスタイルを逆手にとるような面白さがある。「タンデム」や「列車に乗った男」では、男同士の友情や絆が、含みのある様々なエピソードを通してさり気なく描き出されていた。だが、この新作の場合はそうはいかない。 仕事だけが生き甲斐の美術商フランソワは、10日以内に親友を披露しなければ、高額な壷を失ってしまう。自信に溢れていた彼は、なりふり構わず友だちを探し、誰... >>続きを読む

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