6月30日更新
大味なディザスター映画とは一線を画す新味がたっぷり ノウイング

- VFXの技術向上が目覚ましい現代のディザスター・ムービーの観客は、建物や街がいくつか崩壊した程度では満足してくれない。というわけで、仰々しく“人類滅亡”や“地球壊滅”を謳ったこの手の映画が毎年1〜2本のペースでお目見えする。ところが太陽の異常活動が引き起こす天変地異を映像化したこの映画は、50年前のタイムカプセルから奇妙な数列メモが発掘される冒頭からして、すこぶる新鮮で面白い。そこには同時多... >>続きを読む
モンスターのほうが人間より幸せかも モンスターVSエイリアン

- 「シュレック」第1作で“モンスターは、人間のふりをしなくても、モンスターのままで幸せになれる”という世界を描いたドリームワークス・アニメが、これを一歩推し進めて“モンスターのほうが人間より幸せかも”という世界を描いてしまったのが本作。 しかもこの物語を“モンスターへの恐怖”が基本テーマだった50年代名作SFのコスプレで描いたところがポイント。主要キャラは一目瞭然な「妖怪巨大女」「大アマ... >>続きを読む
悲壮感を乗り越えてポジティブに生をまさぐる意思を感じさせる ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

- 新劇場版「序」ではシンジの性格付けに変化の予兆を感じさせたが、「破」はもはやリメイクとは思えぬほど感触が変わり果てた。14歳の少年が何とか自らを肯定して幕を引いたTV版と、世界を破滅させた旧劇場版——ロボットアニメというジャンルを装いつつ、庵野秀明が不安と焦燥にかられる自我をさらけ出した90年代後半の神話は、ゼロ年代末期を生き延びようとして必死な魂とシンクロするかのように変容した。 新... >>続きを読む
6月23日更新
ルビッチとロメールを融合させて色恋沙汰のねじれや反転をたっぷりと描く それでも恋するバルセロナ

- 恋愛はややこしい。三角関係はもっとややこしい。四角関係になるとさらに……といいたいところだが、意外にも、ここまで来るとガスの抜けることがある。事情は、よじりすぎた紐が真っ直ぐな紐に見えてしまうのと似ているかもしれない。もちろん、一本の真っ直ぐな紐は二度と戻ってこないのだが。 ウッディ・アレンの新作「それでも恋するバルセロナ」には、色恋沙汰のねじれや反転やジグザグがたっぷり詰まっている。... >>続きを読む
玉木宏は新境地を開拓したが、演出が空回り MW ムウ

- 「日本映画史上、規格外のアクション映画を撮ろう」という信念から敢行された、冒頭のタイ・ロケーション。その大作感溢れる大胆な試みは認めたいが、本筋ではなく、冷酷無比なテロリスト・結城のキャラを表わすシーンにしては、あまりに時間を割きすぎた。そのため、作品の命ともいえる、サスペンスとしての緊迫感が途切れてしまった。その流れは本筋に入ってからも変わらず、メリハリのない展開がただ続いていく……。 ... >>続きを読む
かすかな寂寥感と豊かな余韻を残す秀作 扉をたたく人

- 思わずイーストウッドの「グラン・トリノ」と比較したくなる、ほろ苦い後味を残す秀作だ。 妻の死後、頑迷なまでに自己を閉ざしてきた大学教授ウォルターが、シリアの移民青年タレクとの出会いによって、内面的な変貌を遂げていく。くだくだしい説明を廃し、ジャンベ(アフリカン・ドラム)の軽快なリズムを介して、異文化を背負った者同士が融和していくさまが簡潔に語られる。この省略と抑制こそが、「父親たちの星... >>続きを読む
6月16日更新
驚きと興奮の連続で、2時間30分を一気に突っ走る快作 トランスフォーマー/リベンジ

- 正義(オートボット)と悪(ディセプティコン)のトランスフォーマー軍団が、地球で全面戦争を開始。大学生活に期待を膨らませるサム(シャイア・ラブーフ)が、またも人類存続の鍵を握ってしまう──。 前作同様、設定はシンプル。だが、冒頭から始まる多種多彩なトランスフォーマーが入り乱れてのバトルは、オートボットと米軍精鋭部隊の息の合った連携もあり、驚きと興奮の連続。物語が進むに連れ、「インディ・ジ... >>続きを読む
映画作りという修羅場で長年命を張ってきた木村大作だからこそ描けた境地 劔岳 点の記

- ビデオ撮りのピントの甘い画面や嘘臭いCG満載のデジタル映像が氾濫するなか、この映画はプロ中のプロが撮ったフィルムの威力をまざまざと見せつける。狂気ともいえる過酷な撮影を経てまさに命がけで捉えたその映像の数々は、デジタルでは絶対に表現できない色味と風合いで神々しく輝き、サウンドトラックに使用されている直球のクラシックの名曲の数々にも負けていない。 だが、大自然の豪快さ、苦行のような製作や... >>続きを読む


