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新作映画評論

1208件中 1~9件を表示

11月17日更新

タランティーノが広がっている。見たことのない戦争映画に挑んでいる イングロリアス・バスターズ

  • イングロリアス・バスターズ
  • タランティーノが広がっている。手馴れた安全地帯をみずから抜け出し、リスクを承知で新天地での勝負に挑んでいる。 「イングロリアス・バスターズ」を見て、私は思った。だが、見てすぐにそう感じたわけではない。時間が経ち、映画に仕込まれた語りや技のコクを反芻しているうち、その思いが強くなってきたのだ。 映画の鋳型はマカロニ・ウェスタンである。冒頭のシーンを見れば、だれしもセルジオ・レオーネ... >>続きを読む

過去の鎖を断ち切りたい女性の悲痛な叫び ゼロの焦点(2009)

  • ゼロの焦点(2009)
  • 「ゼロの焦点」は映画化が難しい小説だ。ミステリーではあるが、事件を解決するいわゆる探偵役がいないのだ。いくつかの伏線を手がかりに読者が謎を解くという構造にもなっていない。物語の担い手は夫の行方を捜す禎子だが、彼女は入手した情報をひたすら自分の中に溜めこんで、ああではないかこうではないかと想像するだけ。事件が終わった後も、犯行の具体的な手口が禎子の想像通りだったのか、裏付けもない。そんな彼女の... >>続きを読む

“カウフマン・ワールド”全開のハイセンスで知的なアート系映画 脳内ニューヨーク

  • 脳内ニューヨーク
  • 主人公はニューヨーク在住の劇作家兼演出家コタード。創作面での評価は高いものの、妻と一人娘に逃げられ、言い寄ってきた魅力的な若い娘をも取り逃がす彼は、原因不明の体調不良に悩まされ、私生活では崩壊の危機に瀕する。そんな彼が心気一転を図って取り組むのは、ニューヨーク内の巨大倉庫にニューヨークのセットを組み立て、そこで自身の日常生活の細部まで演劇として再現する……という奇妙なプロジェクト。ところが数... >>続きを読む

11月10日更新

自意識に囚われた哀れな現代人を描くゼメキス映画の本質を再発見 DISNEY'S クリスマス・キャロル

  • DISNEY'S クリスマス・キャロル
  • クリスマスシーズンに相応しいファミリーアニメにすぎないと思いきや、ここには映画ファンをも納得させる3つの“映画の精霊”が潜んでいた。 最初に訪れるのは、特撮技術の精霊。モーションキャプチャー×3DCGの欠点だったぎこちない表情や動きは格段に改善され、精緻に描かれた19世紀末ロンドンの格差社会の街へといざなってくれる。次なるものは、同時代性という名の精霊。守銭奴スクルージが改心し人生をや... >>続きを読む

メスリーヌのアナーキスト的資質を描き切った後編 ジャック・メスリーヌ/フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part.2 ルージュ編

  • ジャック・メスリーヌ/フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part.2 ルージュ編
  • バンサン・カッセルがフランス史上に残る犯罪者に扮した「ジャック・メスリーヌ」。次から次へと事件が起こる怒濤の日々を描いたPart 1に比べると、Part 2は落ち着いたテンポで、より人物描写に重きが置かれている。 今回はマチュー・アマルリック扮する脱獄の天才など、新たな相棒が登場。強盗、逮捕、脱獄を繰り返すなか、マスコミのインタビューに応じたり、一方で自分をごろつきと断罪したジャーナリ... >>続きを読む

スケール感より臨場感を重んじた香港でのサイキック・バトルは新味たっぷり PUSH/光と闇の能力者

  • PUSH/光と闇の能力者
  • まるでシリーズものの1作目を吹っ飛ばし、いきなり第2作から観せられたような錯覚に陥る奇妙な作品だ。ここで描かれる超能力者たちは謎の政府機関に育成され、ケネディ暗殺などの大事件に関わってきたという設定。にもかかわらず本作はそうした歴史的な背景を省略し、いきなり“第2世代”の若者たちを主人公にした物語を語り出す。なぜか香港が舞台という点も唐突感に拍車をかけ、さらにムーブ(念動力)、ディビジョン(... >>続きを読む

11月2日更新

マイケルを永久不滅のアイコンとして定着させるショウビズ界のしたたかさ マイケル・ジャクソン THIS IS IT

  • マイケル・ジャクソン THIS IS IT
  • これは幻となったロンドン公演を、リハーサル映像の巧妙な編集によって擬似的にスクリーン上で開催し、世界同時体感させる試みだ。マイケルへの想いが募る構成に唸らせられる。劇場パンフなき期間限定興行という宙づり感は、関連商品の購買意欲もそそるだろう。 リハーサル現場に立ち会い、息を潜めてマイケルの一挙手一投足を覗き見る錯覚に囚われていく。実力を温存したストイックな姿勢とスタッフへの謙虚さに魅せ... >>続きを読む

メスリーヌのカリスマ性を70年代フランスの社会的背景から浮き彫りに ジャック・メスリーヌ/フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part.1 ノワール編

  • ジャック・メスリーヌ/フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part.1 ノワール編
  • まるで映画の主人公になるために存在したかのような、彼の波乱に富んだ人生にまず驚かされる。フランスで“社会の敵 No.1”と怖れられた犯罪者ジャック・メスリーヌ。銀行強盗を繰り返し、4回脱獄を果たし、一度は法廷で傍聴者の見守るなか裁判官を人質に脱走。変装の名人で、警察に変装姿で出向いたこともある大胆不敵な輩。 ただしこの映画の見どころは、派手なアクション・シーンのみならず、メスリーヌ(演... >>続きを読む

誰もが抗し切れないアナ・ウィンターの実績の重み ファッションが教えてくれること

  • ファッションが教えてくれること
  • 2007年のパリ・ファッション・ウィークでサンローランのアトリエを訪れたアナ・ウィンターが、黒を主張するデザイナーに対して「色が欲しい」とダメ出ししている。その言葉通り、ショー会場のフロントローにはカラフルなプリントのワンピースを身に纏ったアナが陣取り、トレンド発信源はランウェイではなく自分なのだと主張している。そうして、世界中に色が溢れ返った。 言わずと知れたアメリカ版“ヴォーグ”の... >>続きを読む

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