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新作映画評論

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6月23日更新

ルビッチとロメールを融合させて色恋沙汰のねじれや反転をたっぷりと描く それでも恋するバルセロナ

  • それでも恋するバルセロナ
  • 恋愛はややこしい。三角関係はもっとややこしい。四角関係になるとさらに……といいたいところだが、意外にも、ここまで来るとガスの抜けることがある。事情は、よじりすぎた紐が真っ直ぐな紐に見えてしまうのと似ているかもしれない。もちろん、一本の真っ直ぐな紐は二度と戻ってこないのだが。 ウッディ・アレンの新作「それでも恋するバルセロナ」には、色恋沙汰のねじれや反転やジグザグがたっぷり詰まっている。... >>続きを読む

玉木宏は新境地を開拓したが、演出が空回り MW ムウ

  • MW ムウ
  • 「日本映画史上、規格外のアクション映画を撮ろう」という信念から敢行された、冒頭のタイ・ロケーション。その大作感溢れる大胆な試みは認めたいが、本筋ではなく、冷酷無比なテロリスト・結城のキャラを表わすシーンにしては、あまりに時間を割きすぎた。そのため、作品の命ともいえる、サスペンスとしての緊迫感が途切れてしまった。その流れは本筋に入ってからも変わらず、メリハリのない展開がただ続いていく……。 ... >>続きを読む

かすかな寂寥感と豊かな余韻を残す秀作 扉をたたく人

  • 扉をたたく人
  • 思わずイーストウッドの「グラン・トリノ」と比較したくなる、ほろ苦い後味を残す秀作だ。 妻の死後、頑迷なまでに自己を閉ざしてきた大学教授ウォルターが、シリアの移民青年タレクとの出会いによって、内面的な変貌を遂げていく。くだくだしい説明を廃し、ジャンベ(アフリカン・ドラム)の軽快なリズムを介して、異文化を背負った者同士が融和していくさまが簡潔に語られる。この省略と抑制こそが、「父親たちの星... >>続きを読む

6月16日更新

驚きと興奮の連続で、2時間30分を一気に突っ走る快作 トランスフォーマー/リベンジ

  • トランスフォーマー/リベンジ
  • 正義(オートボット)と悪(ディセプティコン)のトランスフォーマー軍団が、地球で全面戦争を開始。大学生活に期待を膨らませるサム(シャイア・ラブーフ)が、またも人類存続の鍵を握ってしまう──。 前作同様、設定はシンプル。だが、冒頭から始まる多種多彩なトランスフォーマーが入り乱れてのバトルは、オートボットと米軍精鋭部隊の息の合った連携もあり、驚きと興奮の連続。物語が進むに連れ、「インディ・ジ... >>続きを読む

映画作りという修羅場で長年命を張ってきた木村大作だからこそ描けた境地 劔岳 点の記

  • 劔岳 点の記
  • ビデオ撮りのピントの甘い画面や嘘臭いCG満載のデジタル映像が氾濫するなか、この映画はプロ中のプロが撮ったフィルムの威力をまざまざと見せつける。狂気ともいえる過酷な撮影を経てまさに命がけで捉えたその映像の数々は、デジタルでは絶対に表現できない色味と風合いで神々しく輝き、サウンドトラックに使用されている直球のクラシックの名曲の数々にも負けていない。 だが、大自然の豪快さ、苦行のような製作や... >>続きを読む

何かになりすまして生きている現代人の不安を、鶴瓶が体現 ディア・ドクター

  • ディア・ドクター
  • 「村の外れに脱ぎ捨てられた白衣」の理由をひもとくように語り始めるこの物語は、ニセ医者と彼を必要とした村人たちとの蜜月関係が温かくユーモラスだ。モチーフは僻地医療の現実。しかし、西川美和の過去作「蛇イチゴ」「ゆれる」同様、嘘と誠、善意と悪意をめぐって揺れ動くテーマは一貫し、可笑しくも哀しい人間の本性がさらに露わになっていく。村人の総意を受けて変容する鵺のような鶴瓶の造形はもとより、陰に陽に彼を... >>続きを読む

6月9日更新

苦悩の一生を送る主人公に、ドイツの戦後世代の誠実さを見たような思い 愛を読むひと

  • 愛を読むひと
  • 15歳の少年と21歳年上の女性の情事。性の目覚めを描く青春映画のごとき発端だが、ナレーターとして時折顔を出すレイフ・ファインズの沈鬱な表情が、この物語の行く末を暗示しているようで、胸がざわつく。その不安が的中。輝く夏の恋が終わりを告げてから8年、大学生になったマイケルは、かつて熱愛したハンナが、ナチス戦犯を裁く法廷の被告席にいるのを発見するのだ。 スティーブン・ダルドリー監督と脚本のデ... >>続きを読む

孤独とフェイクを絡ませながらロークが描いた優雅なハート レスラー

  • レスラー
  • ミッキー・ロークが演じるランディ・“ザ・ラム”・ロビンソンの本名は、ロビン・ラムジンスキーという。 と書いただけで「レスラー」の構造は読めるかもしれない。ここには、二重三重のフェイクが仕込まれている。生活のためスーパーマーケットで働くときはロビンの名札を付けさせられ、知人にはランディと呼ばれ、リング上ではラムとコールされる。ラムは、美容院で長髪をブロンドに染め、日焼けサロンで肌を褐色に... >>続きを読む

世紀の怪盗が登場する軽妙な犯罪映画の趣 マン・オン・ワイヤー

  • マン・オン・ワイヤー
  • フランスの大道芸人フィリップ・プティは、登山家が「山があるから山を登る」ように、天空にワイヤーをかけて雲の上を渡る。 ワールドトレードセンター(WTC)が同時多発テロの犠牲になって崩落したのは、忘れもしない2001年9月11日のことだ。プティはそれ以前のWTC建築中(1966〜73年)に、マンハッタンの摩天楼にそびえるビルの記事を読んで夢を抱き、73年に地上411メートルの高さを重さ3... >>続きを読む

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