ルイス・ブニュエル

スペイン出身。厳格なカトリック教育を受けて育ち、大学進学のため上京したマドリードで画家のサルバドール・ダリや詩人のフェデリコ・ガルシア・ロルカと交友関係を築く。

パリ移住後はジャン・エプシュタイン監督の助監督などを務め、1929年、ダリと共同脚本を手がけた実験的短編「アンダルシアの犬」で監督デビュー。切り裂かれる目玉をはじめ、悪夢的で奇怪なシーンの数々で知られる同作は、アバンギャルド映画の傑作として同時代の芸術家たちにも支持された。

その後パトロンを得て、長編監督第1作「黄金時代」（30）を発表。36年にスペイン内戦が始まると移民として米国に渡り、40年代後半にメキシコに移る。メキシコの現実を描いた「忘れられた人々」（50）でカンヌ国際映画祭の監督賞、20数年ぶりに祖国スペインで撮りあげた「ビリディアナ」（61）でパルムドールを受賞。

「小間使の日記」（63）以降は脚本家ジャン＝クロード・カリエールとタッグを組んで次々に名作を送りだし、「昼顔」（67）でベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した。「欲望のあいまいな対象」（77）を遺作とし、メキシコでがんのため83年にこの世を去った。