河瀨直美監督「たしかにあった幻」完成披露上映会で尾野真千子、北村一輝、永瀬正敏がリアルを追求する撮影現場への覚悟を語る
2026年1月23日 21:00

河瀨直美監督の最新作「たしかにあった幻」が、2月6日よりテアトル新宿ほかにて公開される。1月22日に完成披露上映会が都内劇場で実施され、河瀨監督をはじめ、出演者の尾野真千子、北村一輝、永瀬正敏が登壇。本作が完成を迎えた気持ちや、リアルな医療現場を追求した撮影時のエピソードなどが語られた。
本作は、“愛のかたち”と“命のつながり”をモチーフにして、日本の失踪者と心臓移植の現実を重ねて描く人間ドラマ。河瀨監督にとって6年ぶりとなる劇映画の最新作であり、オリジナル脚本としては8年ぶりとなる。物語を支えるテーマはふたつ。ひとつは、先進国の中でドナー数が最下位という日本の臓器移植医療について。もうひとつは年間約8万人にのぼる日本の行方不明者問題だ。河瀨監督は、旧来の常識や血縁とは異なる、他者との関係性の中に存在する「愛」を描いてきた。「死」が終わりではないという気づきの先に、移植医療が人の命を繋いでゆき、「生」の意味を問いかける本作は、第78回ロカルノ国際映画祭でワールドプレミア上映され、河瀨監督のマスターピース(傑作)と評された。
(C)CINÉFRANCE STUDIOS - KUMIE INC - TARANTULA - VIKTORIA PRODUCTIONS - PIO&CO - PROD LAB - MARIGNAN FILMS - 2025主人公コリーを演じたのは、「ファントム・スレッド」(2017)、「蜘蛛の巣を払う女」(18)などで知られるルクセンブルク出身のビッキー・クリープス。聡明な大人の女性であると同時に、時には少女のような無邪気さや脆さをうかがわせ、孤独と向き合う繊細な心の揺らぎとそれゆえの限りない優しさを全身全霊で演じ切る。コリーが屋久島で運命的に出会う謎めいた青年・迅に寛一郎、さらに尾野、北村、永瀬ら実力派キャストが顔を揃えた。
25年のロカルノ国際映画祭でのワールドプレミアを経て、この日が日本で初めてのお披露目。河瀨監督は「このような舞台挨拶ができるというのは、皆さんに映画をお披露目できる唯一無二の日です。河瀬組をいつも支えてくれる皆さんと一緒に舞台に立つことが出来て感無量です」と笑顔を見せた。ロカルノ国際映画祭での反響については「割れんばかりの拍手と『河瀨、帰って来た!』という愛を感じてグッときました。ロカルノ国際映画祭でお披露目出来て良かった」としみじみ思い出していた。
息子を亡くし、夫の亮二(北村)と共に病院にお弁当を届けているめぐみを演じた尾野にとって、俳優デビュー作「萌の朱雀」、そして「殯の森」以来、久々の河瀨監督作品。河瀨監督から「これまで何度かオファーを出しているけれど、大女優になっているからスケジュールが合わないの」とツッコまれて笑う尾野だったが、「河瀨監督から『主演以外やるの?』と言われたので『やるし!』みたいな(笑)。やると決まったら皆さんご存じの通り、恐怖の河瀨組の日々が始まります。それを知っているだけに何を勉強すればいいのか、どんな思いでいればいいのか、考えたけれど何もまとまらず。普通の役作りは通用しないので、身一つでいくしかないと。それが正解だと思って挑みました」と覚悟を覗かせた。河瀨監督は尾野のシーンに触れて「100点超え。河瀨組の一番強いところが出ました」と太鼓判で、尾野は「あざす!」と喜びを噛みしめていた。
(C)CINÉFRANCE STUDIOS - KUMIE INC - TARANTULA - VIKTORIA PRODUCTIONS - PIO&CO - PROD LAB - MARIGNAN FILMS - 2025めぐみと一緒にお弁当屋をする亮二役の北村は、長編映画としては初めての河瀨組参加。河瀨組の徹底的なリアリズム演出について「本物を撮ろうとすると当然きつくなる。それはもちろん理解して参加しました」と覚悟を語り、撮影前にお弁当屋に見学に行き、役のモデルとなった人物と対面したという。そんな経験を通して「上っ面で演じても通じないと思った。この映画の現場に入ってお芝居を見せるというよりも、この映画で描かれているような現実がある事を伝える人間として現場に入れば良いと思った。ただの人間として入って、感じるままに現場にいました」と回想した。
心臓移植のドナーとなる少年の父親・雅也役の永瀬は、近年の河瀨作品の多くに出演。今回も「河瀨組だ!という日々」を感じたそうで「監督は物語の前後もお撮りになるので、映画に出てこない所からも詰ませてもらえる。改めて身が引き締まりました」と感激。俳優陣は初号試写を鑑賞したそうだが、河瀨監督曰く、初号、映画祭、日本公開という編集の異なった3バージョンが存在しているそうで、永瀬は驚きながら「日本公開版では出演していなかったりして…」と発して笑いを取っていた。
(C)CINÉFRANCE STUDIOS - KUMIE INC - TARANTULA - VIKTORIA PRODUCTIONS - PIO&CO - PROD LAB - MARIGNAN FILMS - 2025また、“人生において大切にしているもの”“心にずっと残っているもの”を「たしかにあった〇〇」として発表。北村は「たしかにあった津原さんの言葉」といい「仕事がない時に僕がお世話になった人。3、4年前に亡くなってしまいましたが、仕事のない時にいつも励ましてくれてゴハンにも連れて行ってくれた。何度もくじけそうになった時に『志は大きく持て!小さくまとまるな』などと色々な言葉をかけてくれた。その人がいなければ今の自分はない。津原さんの言葉は今も胸に刻んでいます」と追悼した。
尾野は「台本」といい「撮影が終わった台本は、日々スケや総スケも含めて全部取ってある。昔はスケジュールに一言コメントがあったりして、それが手書きのものだったり。それを全部取ってあるので押し入れパンパン!今後どうしていこうか悩んでいる」と深い愛着がある様子。
「想い」という永瀬は、心臓の病で実弟を失くしている事を明かしながら「先に逝った人たちの事を忘れちゃうのかなと思いきや、全然忘れられない。その時の想いなどは永遠に消えない。いなくなった気もしなくて、亡くなってしまって終わりなのかなと思っていたけれど、全然終わらない。想いがあったらずっとなんだと思う」と述べた。
(C)CINÉFRANCE STUDIOS - KUMIE INC - TARANTULA - VIKTORIA PRODUCTIONS - PIO&CO - PROD LAB - MARIGNAN FILMS - 2025一方、河瀨監督は「フランスロケ」といい「つまり日本公開バージョンはフランスロケが…という事です!」と何かを仄めかして、永瀬や尾野を「マジで!?」と驚かせていた。
最後に河瀬監督は「映画というものが無くなっていく時代に入ってくるかもしれませんが、2026年はもっと泥臭く、諦めない想いを持って突き進んでいく時代でもあるのかもしれません。本当に会いたい人に会いたいから会いに行くとか、夢を捨てたくないから諦めないとか、そのような気持ちでいっぱいになるような。そんな想いを主人公コリーの最後の瞬間に託しました。どうぞ最後まで楽しんでご覧ください」と呼び掛けて、舞台挨拶はあたたかいムードで終了した。
「たしかにあった幻」は2月6日よりテアトル新宿ほかにて公開。
(C)CINÉFRANCE STUDIOS - KUMIE INC - TARANTULA - VIKTORIA PRODUCTIONS - PIO&CO - PROD LAB - MARIGNAN FILMS - 2025
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
ジャッキー・チェンだよ全員集合!!
【祝・日本公開100本目】“あの頃”の感じだコレ!!ワクワクで観たら頭空っぽめちゃ楽しかった!!
提供:ツイン
辛口批評家100%高評価
【世界最高峰】“次に観るべき絶品”を探す人へ…知る人ぞ知る名作、ここにあります。
提供:Hulu Japan
なんだこの“めちゃ面白そう”な映画は…!?
【90分のリアルタイムリミット・アクションスリラー】SNSでも話題沸騰の驚愕×ド迫力注目作!
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
映画は、ここまできた。
【配信を待つな!劇場で観ないと後悔する】戦場に放り込まれたと錯覚する極限の体験
提供:ハピネットファントム・スタジオ
エグすぎる…面白すぎた…
【とにかく早く語り合いたい】だから、とにかく早く観て…そして早く話そうよ…!
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント