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「パルテノペ ナポリの宝石」あらすじ・概要・評論まとめ ~より多彩な引用が埋め込まれ、笑える遊びも盛り込まれているナポリ映画~【おすすめの注目映画】

2025年8月21日 11:30

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「パルテノペ ナポリの宝石」
「パルテノペ ナポリの宝石」
(C)2024 The Apartment Srl - Numero 10 Srl - Pathe Films - Piperfilm Srl

近日公開または上映中の最新作の中から映画.com編集部が選りすぐった作品を、毎週3作品ご紹介!

本記事では、「パルテノペ ナポリの宝石」(2025年8月22日公開)の概要とあらすじ、評論をお届けします。


画像2(C)2024 The Apartment Srl - Numero 10 Srl - Pathe Films - Piperfilm Srl
【「パルテノペ ナポリの宝石」あらすじ・概要】

グレート・ビューティー 追憶のローマ」でアカデミー外国語映画賞を受賞したイタリアの巨匠パオロ・ソレンティーノ監督が、自身の故郷である南イタリアの街ナポリを舞台に、神秘的な美しさと悲劇を背負う女性パルテノペの生涯を丹念に描いたドラマ。

1950年、風光明媚な港町ナポリで生まれた赤ん坊は、ギリシャ神話に登場する人魚の名前であり、ナポリの街を意味する「パルテノペ」と名づけられる。美しく聡明で誰からも愛されるパルテノペは、繊細な兄ライモンドと深い絆で結ばれていた。年齢と出会いを重ねるにつれ美しくなっていくパルテノペだったが、彼女が輝きを増すほど、兄の孤独があらわになっていき、やがて悲劇が起こる。

主人公パルテノペ役には、本作がスクリーンデビューとなるセレステ・ダッラ・ポルタを抜てき。年老いたパルテノペをイタリアのベテラン女優ステファニア・サンドレッリ、パルテノペと運命的な出会いを果たす作家ジョン・チーバーゲイリー・オールドマンが演じた。ファッションブランド、サンローランの映画製作会社サンローランプロダクションが製作を手がけ、サンローランのクリエイティブディレクターを務めるアンソニー・バカレロが衣装のアートディレクションを担当。2024年・第77回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。


●より多彩な引用が埋め込まれ、笑える遊びも盛り込まれているナポリ映画(執筆:矢崎由紀子)
画像3(C)2024 The Apartment Srl - Numero 10 Srl - Pathe Films - Piperfilm Srl

パオロ・ソレンティーノ監督の代表作「グレート・ビューティー 追憶のローマ」の対角に位置する映画だ。「グレート・ビューティー」の主人公ジェップが初老の男性であるのに対し、本作の主人公パルテノペ(セレステ・ダッラ・ポルタ)は若い女性。大いなる美を追い求めたジェップに対し、パルテノペは「人類学とは何か」の答えを探し続ける。ジェップが初恋の女性の死をきっかけに過去を模索するのに対し、パルテノペは兄の死をきっかけに未来を模索する。そして、「グレート・ビューティー」がローマの映画であるのに対し、本作はソレンティーノの生まれ故郷であるナポリの映画だ。前者のベクトルは老境から青春へ向かい、後者のベクトルは青春から老境へと向かっていく。

画像4(C)2024 The Apartment Srl - Numero 10 Srl - Pathe Films - Piperfilm Srl

名前の由来であるギリシア神話の人魚のごとく、海からビキニ姿で上がってくる18歳のパルテノペは、若く、美しく、自由だ。のちにカプリ島で出会う作家のジョン・チーバーゲイリー・オールドマン)が指摘するように、パルテノペの美しさは、周囲に破壊をもたらすと同時に可能性の扉を開く。他者の視線を意識し始めたパルテノペは、美容整形に失敗した演技コーチから俗にまみれた聖職者まで、クセモノたちとの出会いを重ねながら人生を漂流する。その間、父親的なポジションでパルテノペを見守るのは、彼女の本質を見抜いている人類学の教授だ。

教授は、ある秘密を抱えている。彼がそれを明かすのは、パルテノペが「見られる人」から「見る人」へと移行するタイミング。教授の秘密を目にしたパルテノペの口からは、「とても美しい」という言葉がごく自然に発せられる。美は自ら見出すものであることを印象付けるこの場面こそ、この映画のハイライトと言っていいだろう。

画像5(C)2024 The Apartment Srl - Numero 10 Srl - Pathe Films - Piperfilm Srl

「グレート・ビューティー」は、フェデリコ・フェリーニ監督の「甘い生活」や「8 1/2」にオマージュを捧げているが、本作にはより多彩な引用が埋め込まれている。パルテノペと兄と幼なじみの三角関係めいた間柄は、ベルナルド・ベルトルッチ監督の「ドリーマーズ」を思わせる。パルテノペとジョン・チーバーの出会いの場面は、ルキノ・ビスコンティ監督の「ベニスに死す」のようだ。もちろん、巨大なものへの愛着など、フェリーニへのオマージュも万全。さらに、ナポリ市民をディスりまくる大女優を、ナポリ育ちのソフィア・ローレンそっくりに仕立てるという、笑える遊びも盛り込まれている。

執筆者紹介

矢崎由紀子 (やざき・ゆきこ)

「自分が気に入った映画をひとりでも多くの人に見てもらうこと」を日々の目標に、ウン十年間地味に原稿を書き続けている映画評論家。趣味はネイサン・レインの舞台の追っかけ。ミュージカル「プロデューサーズ」の初演を十回観たバカは私です。


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