性別適合手術が違法とされた1960年代の事件から着想 飯塚花笑監督作「ブルーボーイ事件」25年秋公開、中川未悠、中村中、錦戸亮らが共演
2025年3月25日 11:00

「僕らの未来」「フタリノセカイ」「世界は僕らに気づかない」など、トランスジェンダー男性であるというアイデンティティを反映した独創的な作品作りで注目を集める飯塚花笑監督の新作「ブルーボーイ事件」が、2025年秋に公開されることが決定。あわせて、ティザービジュアルと特報が披露された。
1960年代後期、東京オリンピックや大阪万博で沸く、高度経済成長期の日本。国際化に向け売春の取り締まりを強化する中、性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けた通称ブルーボーイたちを一掃し街を浄化するため、検察は手術を行った医師を逮捕。手術の違法性を問う裁判には、実際に手術を受けた証人たちが出廷した。かつて実際に起きた“ブルーボーイ事件”に衝撃を受けた飯塚監督は、映画化を決意。当時の社会状況と事件について徹底的に調査し、裁判での証言を決意したトランスジェンダー女性サチを主人公に物語を構想した。
その渾身の企画に惚れ込んだのが、映画プロデューサーの遠藤日登思。「深夜食堂」シリーズをはじめ、「アヒルと鴨のコインロッカー」「岸辺の旅」「月の満ち欠け」など数々のヒット作を手がけており、飯塚監督らと何度も脚本の改訂を重ねながら、オリジナル作品として本作を完成させた。
「この物語を描くには当事者によるキャスティングが絶対に必要」という飯塚監督の強い意志のもと、主人公サチ役の起用にあたっては、様々な経歴を持つトランスジェンダー女性たちを集めたオーディションが行われた。多くの候補者の中から主演に選ばれたのは、ドキュメンタリー映画「女になる」への出演経験を持つ中川未悠。演技経験はないものの、自らの経験をもとにサチ役に見事に同化していく姿に感銘を受けた飯塚監督らによる大抜擢となった。
裁判の証人となるサチのかつての同僚たちを演じるのは、映画初出演となるドラァグクイーンのイズミ・セクシーと、連続テレビ小説「虎に翼」での演技が反響を呼んだシンガーソングライターで俳優の中村中。またブルーボーイ役として真田怜臣、六川裕史、泰平ら、注目の若手俳優たちが出演。サチに証言を依頼する弁護士の狩野役を錦戸亮が、彼と敵対する検事役を安井順平が演じるほか、前原滉や山中崇、渋川清彦ら、メインキャストを支えるため実力派俳優たちが勢揃い。撮影監督は、黒沢清、深田晃司、沖田修一、原田眞人、大友啓史ら日本を代表する監督たちの作品を数々手がけてきた芦澤明子、共同脚本として三浦毎生、加藤結子が名を連ねている。
コメントは以下の通り。
(C)2025「ブルーボーイ事件」製作委員会
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