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どこよりも早い日本アカデミー賞予想【コラム/細野真宏の試写室日記】

2025年2月27日 09:00

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「正体」に主演した横浜流星
「正体」に主演した横浜流星
(C)2024 映画「正体」製作委員会

映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。

また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。

更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)


2025年3月14日に、2024年公開映画で最も優秀だった作品・俳優らを表彰する「日本アカデミー賞」の結果が発表されます。

今回は一足先に「第48回・日本アカデミー賞」の主要部門の結果を予想します。 (日本アカデミー賞では第3回までは、本場のアカデミー賞と同様に「ノミネート」と表現されていましたが、第4回以降はノミネートを「優秀賞」受賞といった表現にしています。これは正直わかりにくいので、ここではアメリカのアカデミー賞と同様に、ノミネートと表現します)

●最優秀主演男優賞候補

これは「一択」で、横浜流星正体」の受賞となると思います。

“5つの顔”を見事に演じ分け、横浜流星のキャリア・ハイの演技をしていて「正体」が文字通りの代表作となるでしょう。

●最優秀助演男優賞候補

正体」で横浜流星演じる主人公を追い回す警察官を演じた山田孝之の演技も光るものがありました。ただ、「キングダム 大将軍の帰還」で主役を食う演技をしていた大沢たかおの存在感が役柄と共に強力過ぎて、こちらも実質一択で、大沢たかおキングダム 大将軍の帰還」の受賞でしょう。

画像2(C)原泰久/集英社 (C)2024映画「キングダム」製作委員会
●最優秀主演女優賞候補

これは、「石原さとみVS河合優実」という感じでしょうか。

ミッシング」で子供を誘拐された母親を演じた石原さとみは、新たな一面を見せたと話題になりました。確かに石原さとみの新境地でしたが、そもそもの石原さとみの演技力の高さを考えると「想定」を越えるまではいかなかったのかもしれません。一方の河合優実は「旬」であるが故の強さなのか想定を越えるような憑依を感じられ、河合優実に軍配が上がると思われます。

画像3(C)2023「あんのこと」製作委員会
●最優秀助演女優賞候補

ここは抜き出た候補がいなく激戦のように思えます。そんな中、「正体」からは2ノミネートと、作品の勢いが感じられます。実際に「正体」は「12部門13ノミネート」と“最多ノミネート”を誇っているのです。作品の勢いのまま吉岡里帆が最有力候補と言えるのかもしれません。大ヒットした「はたらく細胞」で感動パートを担った芦田愛菜も次点クラスの争いのように感じます。

画像4(C)2024 映画「正体」製作委員会
●最優秀脚本賞候補

これは一択で、野木亜紀子ラストマイル」の受賞になると思います。ノミネート作品を見ると、野木亜紀子が2作品でノミネートされる快挙を果たしている点が注目されます。特に興行収入約60億円の大ヒットを記録した「ラストマイル」を牽引したのは野木亜紀子の「オリジナル脚本」なので名実共に光っています。

画像5(C)2024「ラストマイル」製作委員会
●最優秀監督賞候補

ここは激戦部門で、塚原あゆ子ラストマイル」か藤井道人正体」のどちらが受賞してもおかしくないと思います。藤井道人監督は「新聞記者」で日本アカデミー賞の「作品賞」「主演男優賞」「主演女優賞」の主要3部門受賞を果たしていますが「監督賞」は受賞していません。作品的にも「正体」は監督の強いこだわりを感じる作品になっているので、ここで初受賞があるように思えます。ただ、「ラストマイル」で大きな振り幅を見せた塚原あゆ子監督も無視できない存在感があります。

画像6(C)2024 映画「正体」製作委員会
●最優秀作品賞候補

ここは順当に「正体」の受賞のように思いますが、これまで触れてこなかった「夜明けのすべて」の大逆転もあり得ると思っています。今回コラムとしてまとめている予想は昨年の10月に「正体」の試写を見た時点から全く変わっていません。ただ、年末にかけて映画賞のノミネート作品が発表されると意外にも「夜明けのすべて」の名前を見かけることになりました。意外にも、というのは公開日に関係しています。通常、映画賞は年の後半、特に年末近くが記憶の面からも有利になります。

そんな中、「夜明けのすべて」は2024年が始まってすぐの2月9日公開だったので、正直なところ「2024年の映画」という印象さえ薄かったのです。そこで改めて2024年前半も振り返ってみると、確かに個人的には「夜明けのすべて」は圧倒的に面白く興味深い作品でした。とは言え「夜明けのすべて」は興行収入が5.5億円くらいで、制作費の面からはリクープできたものの、世の中的にはそれほど大きな影響を及ぼしたわけではないのです。それにもかかわらず映画賞レースで顔を出しているのは、こぢんまりとはしているものの作品の完成度によるインパクトを映画業界には残しているのでしょう。

画像7(C)瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

正体」と「夜明けのすべて」のどちらが好きかと問われると、個人的には「夜明けのすべて」なのかもしれません。かなり判断が難しいので、ここからは日本アカデミー賞「作品賞」の経済的な意味合いも考えて分析してみます。

日本アカデミー賞で「作品賞」を受賞すると、その年の日本映画の最も優れた作品という位置付けになるので、作品の価値が将来にわたって大きく上がることになるのです。

具体的には「一生涯続く年間ベスト」という称号なので、配信、放送などで長期にわたって利益を生み出し続けることになります。

その結果、大規模な作品の場合には2億〜4億円、小規模な作品でも1億〜2億円といった規模で利益を生み出すことになっていくのです。

日本アカデミー賞とはそのくらいの価値のある賞レースなのです。

そのため、それぞれの候補作品にとっては「ボーナス的な収益アップのチャンス到来」という面があります。

“最多ノミネート”からも証明されているように「正体」は、そこかしこにこだわりが見えて総合力でも頭ひとつ抜け出ています。

このように見ていくと「正体」が最有力候補というのは間違いないと思います。

画像8(C)2024 映画「正体」製作委員会
画像9(C)瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

一方で「夜明けのすべて」は、大きな事件などは起こらない日常を丁寧に描いています。

なぜここまで惹きつけるのかというと、「PMS(月経前症候群)」で感情的になってしまう女性と「パニック障害」によって生きる希望を見出せずにいる男性とのやり取りが非常に興味深く、かつリアリティーもあり、作品に引き込まれ、いつまでも見守っていたくなるような作品になっているからでしょう。

加えて、宇宙の話まで見事に組み込まれていて、「名作」というレベルに昇華させているのです。

懸念材料としては、こぢんまりとしているので日本アカデミー賞の会員がどのくらい見ているのか、という根本的な話があります。

ただ、熱心な会員であれば投票前にキチンと見てから判断をすることになり、その流れの中では「夜明けのすべて」が正当に実力に見合った評価をされる可能性が高まるのです。

その流れが強くなれば、場合によっては「夜明けのすべて」が最優秀作品賞、最優秀監督賞という最も重要な賞を受賞する可能性もあると思います。

このように拮抗が予想される中、果たして3月14日にはどのような結果が発表されるのか。大いに注目したいと思います!

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