「夜明けのすべて」が3冠! 河合優実&横浜流星が主演俳優賞を受賞【第79回毎日映画コンクール】
2025年2月13日 16:37

第79回毎日映画コンクールの贈呈式が2月13日、東京・めぐろパーシモンホールで行われた。「夜明けのすべて」が日本映画大賞、監督賞、TSUTAYA DISCAS映画ファン賞の3冠を獲得。三宅唱監督は、第77回の「ケイコ 目を澄ませて」に続き、大賞、監督賞を受賞した。また、今回から男女の別が撤廃された俳優部門では、河合優実(「あんのこと」「ナミビアの砂漠」)、横浜流星(「正体」)が主演俳優賞に輝いた。
「夜明けのすべて」は瀬尾まいこ氏の同名小説の映画化で、パニック障害とPMS(月経前症候群)を抱え、生きづらさを感じる男女が特別な絆を築いていく姿を描いた。NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で夫婦役を演じた松村北斗と上白石萌音が再共演した。

三宅監督は「小説という大きな器の中で、映画を作らせてもらった」と感謝の言葉。主演を務めた松村、上白石からも喜びの言葉が届いたといい、「作品をつくっただけでも幸せだが、互いの仕事を褒めたたえ合って、また一緒に仕事したいねと言えることがうれしい」と感無量の面持ちだ。また、監督賞を授与された際には「本当にいい現場だったと言い切ってしまうと、若いスタッフは結構悔しい思いもあったのかなと。自分の仕事は、いい現場といい作品を両立させること」だと話していた。

横浜は「正体」(藤井道人監督)で、脱獄し姿を変えながら逃走する死刑囚・鏑木慶一を熱演。藤井監督とは、長編劇場映画では3度目のタッグを組み「出会って10年。お互い、何者でもなかった頃から走り続け『正体』は10年間の集大成になった」と、しみじみ。興行的にも成功を収め、「たくさんの人の心に届き、愛していただいたことが幸せ」と感謝を述べ、「これからも妥協せず、志を高く、映画人として映画業界を盛り上げられれば」と決意表明した。

「あんのこと」(入江悠監督)で日常的に親から虐待を受け、薬物中毒に陥る主人公・杏を、「ナミビアの砂漠」(山中瑶子監督)では世の中も、人生も全部つまらない。そんなやり場のない感情を抱いたまま毎日を生きている21歳のカナを演じた河合。スケジュールの都合で贈呈式は欠席となったが、「大切な2作品で賞をいただき、とても光栄に思います。全然違った志の作品ですけど、わたしたちにできたことを、一生懸命にやったつもり。(受賞し)背中を押していただく大きな力をいただいた」とビデオメッセージを寄せた。
また、代理で出席した山中監督は「本質を見つめる力、誠実さ、細やかさ、着実な努力のたまもの」と受賞を祝し、「光が降り注ぎながら、影を見つけることができる唯一無二の俳優」だと絶賛していた。

助演俳優賞には池松壮亮(「ぼくのお日さま」)、カルーセル麻紀(「一月の声に歓びを刻め」)、スポニチグランプリ新人賞には越山敬達(「ぼくのお日さま」)がそれぞれ受賞。15歳の越山から、82歳のカルーセル麻紀まで、幅広い世代の俳優陣が賞に輝いた。贈呈式では、池松&越山コンビが、カルーセル麻紀を紳士的にエスコートする場面もあった。


池松は「初めて個人賞をいただきました。いま、喜びが押し寄せております……これでも」とクールに挨拶。「敬達、本当におめでとう」と若き才能を祝福し、「この世界に物語を届けられること、この世界に必要な共感をもたらせること。そして、演じることを生業にできる幸せをかみしめて、これからも映画のなかで、真実を語り続けていきたい」と未来を見据えた。また、越山は「このうれしい気持ちを忘れずに、この賞に恥じないように、そして、この舞台に戻ってこられるように頑張ります」と笑顔で誓った。

「何しろ82歳ですから。この舞台に立てるとは思っていなかった。長生きして良かった」と喜び爆発のカルーセル麻紀は、「これを遺灰がわりにします」と受け取ったトロフィーを誇らしげに掲げていた。
毎日映画コンクールは1946年、日本の映画産業の振興に寄与し、国民に映画の楽しさを広く伝えることを目的に、毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社によって創設された映画賞。今回から、俳優部門で男女の別を撤廃するなど、賞立てや選考方法を改革。新たなスタートを切った。

第79回毎日映画コンクールの受賞結果は以下の通り。
「映画 ○月○日、区長になる女。」(ペヤンヌマキ監督)
「私は、私と、私が、私を、」(伊藤里菜監督)
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