名匠マーク・フォースター監督、最新作の主人公と同世代の15歳・女性に珠玉のメッセージ【第37回東京国際映画祭】
2024年11月4日 10:00
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第37回東京国際映画祭のガラ・セレクション部門での上映作品「ホワイトバード はじまりのワンダー」が11月3日、丸の内ピカデリーで上映され、マーク・フォースター監督、エグゼクティブプロデューサーのレネ・ウルフが上映後のQ&Aに参加した。
ジュリア・ロバーツ、ジェイコブ・トレンブレイ、オーウェン・ウィルソンらが出演した2018年のヒット作「ワンダー 君は太陽」の原作者R・J・パラシオが発表したアナザーストーリー「ホワイトバード」を、「ワンダー 君は太陽」の製作陣が再結集して実写化した本作。画家として成功した女性サラ(ヘレン・ミレン)が、過去に過ちを犯して心を閉ざしていた孫に向けて、それまで誰にも話せなかった秘密を語り始める。それは人の命を救うことさえできる“勇気あるやさしさ”の物語だった……。
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登壇したフォースター監督は、「日本の皆さんはわたしの作品をいつも温かく受け入れてくださるので、本日上映をしていただいてとてもうれしいです」と感激の面持ち。ウルフも「わたしたち映画をつくる者としては、こうやって皆さんが観ていただけることがやりがいにつながります。これから日本での公開が始まりますが、いろいろな世代の方に観ていただきたい作品です」と呼びかけた。
戦時下で行き場を失った人たちに向けて手を差し伸べる勇気について描かれた本作。世界中で戦争や紛争などが起きている現代だからこそ、そのテーマがより鮮明になった。ウルフが「実は2年前に公開しようと思っていたんですが、ちょうど時期的にハリウッドの脚本家ストライキなどいろいろあって公開することはできなかったんです。その時は残念だなと思っていましたが、逆に2年遅れとなった今の時代だからこそ、優しさの意味を考えさせられるような作品となった」と明かすと、フォースター監督も「確かにわれわれがこの映画をつくっていた時は戦争が起きていなかったが、今はいろいろなところで争いが起きています。こんな時代だからこそ、この物語を通じて優しさ、人間同士が信じ合うこと、問題を解決するための対話、希望などを感じていただけたら」と続けた。
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フォースター監督が本作の原作を読んだのはコロナ禍だった2020年の3月だったとのことで「この物語に共感したのは、自分たちもコロナ禍で外に出られなかったということもあります。わたしはあまり泣くことはないんですが、(戦時下で外に出ることができない)サラの気持ちがものすごく理解できて、最後の方は感情移入してしまい泣いてしまいました。過去に泣いたのは(ジョニー・デップ主演で『ピーターパン』誕生秘話を描いた2004年の)『ネバーランド』以来でした」と打ち明ける。
本作で、サラ(アリエラ・グレイザー)に救いの手を差し伸べるジュリアンを演じたオーランド・シュワートについて、「彼は集中したいから、現場にスマホを持ち込まないと言ったんです。15歳という若い子が現場にスマホを持ち込まないなんてありえないと思ったんですけど、それが彼のスペシャルな部分なのかなと思いました」と明かしたフォースター監督は、「しかもアリエラもオーランドもこの物語の時代背景をしっかりとリサーチしてくれたんです。自分たちなりに理解しようとしてくれましたね」と若きふたりの俳優陣の、作品に対する献身ぶりに感謝した。
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さらに、主人公たちと同世代となる15歳の女性から「わたしたちの世代に向けて言いたいことは?」と問いかけられたフォースター監督は、「いい質問だね」と笑顔。「この映画の主人公も最初は気付いてもらいたくない、人に見てもらいたくないと人を避けているところもありますし、いじめもテーマになっています。そんな中でサラは、ジュリアンのやさしさに気付いて、変わっていきます。人間はやさしさ、希望によって変わっていきます。そこは皆さんにも感じ取ってもらいたいし、もしも学校でいじめがあった時は、その人を助けるために手を差し伸べていただきたい」と語ると、ウルフも「小さいことでもいいから、自分が正しいと思ったことはやるべきだと思います。自分が正しいと思ってやったことは、それがやさしさとなって倍増していきます。それが光となり、希望になっていくと思います」と若者に向けてメッセージを送った。
第37回東京国際映画祭は11月6日まで開催。
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